バム取り合戦/ジェシー・ロドリゲス

軽量級は日本が活況ですが、たった一人、本場メキシカンの大物がいます。ジェシー“バム”ロドリゲス、次戦は井岡でも田中でもなく、ペドロ・ゲバラに決まりました。

ペドロ・ゲバラ

42勝22KO4敗1分 35歳

日本にもなじみある、息の長い選手になりました。

八重樫東に勝ち
木村 悠に負け
寺地拳四朗に負け

という記録がありますが、ぶっちゃけ全部勝ちでもいいような内容でした。強いて言えばオーソドックスで粘り強いが特徴のない選手ともいえます。速くもなく、破壊的でもない。しかし端正でリカルド・ロペスっぽいスタイリッシュさもほんのちょっと感じます。

寺地拳四朗に負け以降は粘り強くキャリアを続け、カルロス・クアドラスに判定負けだけで12勝もしています。そして直近ではアンドリュー・モロニーを食って暫定王者に復活しました。

恐らく長いゲバラのキャリアハイ、負けたら最後の試合になるのではないでしょうか、そのくらいのチャンスです。かつては弁護士を目指している文武両道な選手だったかとおもいますが、このキャリアでKO負けがない、頑丈な選手です。

ジェシー・ロドリゲス

20勝13KO 24歳

飛ぶ鳥落とす勢いの現WBC世界スーパーフライ級王者
今メキシカンで一番強い、目立つ、才能ある王者といえます。P4Pランクにも入っているとおもいます。

長く君臨していた絶対王者、ファン・フランシスコ・エストラーダを圧倒し世代交代を果たしました。その他でもかなり手ごわいサニー・エドワーズなどもノックアウトしています。ゲバラが負けたクアドラスにも大差で勝っています。シーサケットも攻略しちゃいました。

ジェシー・ロドリゲスがすごいのは、スタイルに華があることです。一見して特別な才能であるとわかります。パンチ、アングルが多彩で器用です。前後だけでなく上下左右に動き、打ち分けしてきます。その動きに相手はついていけません。エストラーダでさえすべての反応に遅れをとり完敗してしまいました。

どこかメキシコの伝統にロマチェンコのテクニックが加わったような天才的なファイトスタイルです。

今回の試合も直線的なゲバラに不利なオッズになるだろう。だからこそゲバラを応援するのだが。

この次世代のP4Pナンバーワン候補のジェシー・ロドリゲスは、日本の帝拳ジムと契約しており、たびたび日本に訪れているが、残念ながら試合はしたことがない。

今のところフライ~Sフライの選手だが、那須川天心とほぼ変わらない体格で、軽量級全盛の日本人に恰好のターゲットといえる。井岡が勝っていれば統一戦をやる話もあった。

次のアマプラ興行は2日間に渡って開催されるビッグイベントだが、予定調和で日本勢が全勝するんじゃないかなマッチメイクともいえる。彼らのターゲットに是非ジェシー“バム”ロドリゲスを加えて欲しいとおもう。彼こそがラスボスといえそうだ。

本人は将来的に井上尚弥との対戦も夢にみている。
今は階級が2つ違うが井上はLフライから上げてきた選手であり、ライバル不在のSバンタムで続けていくなら相手がジェシー“バム”ロドリゲスの方がずっと興味深いし奥深い技術戦になるだろう。

個人的な印象は、技術的には王者の中でも超一流の域だが、KO連発しててもフィジカルやパワーに頼りなさを感じる。ほとんどの日本人が勝てないレベルだが、中谷と井上尚弥には歯が立たないとおもう。しかしまだ若く才能と勢いがあるので、変貌するかもしれない、という印象だ。

かつて日本人は本場メキシカンの軽量級とはほとんど交わってこなかった。バレラやモラレス、マルケスと戦った日本人は皆無、イスラエル・バスケスもなく、西岡だけがラファエル・マルケスとやったくらいか、ジョニー・ゴンザレスやフェルナンド・モンティエルにはエライ目にあったなぁ。

ジェシー“バム”ロドリゲスを乗り越えずして、軽量級の絶対王者は名乗れない。
バムもやる気は十分なはずだ。

彼の存在は日本人にとって壁であり大いなるチャンスなのだ。

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