キャリア、技術的幅の違いが出るのか、若さ、勢いが凌駕するのか、リングで対峙してみないとわからない両者ですが、やはり準備、対策次第であろう、イスマエル・サラスの戦術眼が鍵だとおもわれる。アローヨ戦は井岡共々見事であった。
熟練したボクサーパンチャーである井岡一翔は大晦日、マカオで空位のWBOスーパーフライ級タイトルを自身と同じ元3階級王者のドニー・ニエテスと争う。
両者ともに4階級王者を目指した意識の高い試合になるだろう。
彼らは今年の9月に「SuperFly3」で共演した。ニエテスは同国のアストン・パリクテを相手に4階級制覇を賭けるも引き分け、井岡はマックウィリアム・アローヨに10回判定勝利でした。
井岡
「アローヨ戦では多くの問題がクリアになりました。今回の試合では、より強く、速く、スマートに、かつてないほどに快適に戦えるとおもいます。前回の試合後、2、3週間しか休まず次の試合に向けて準備してきました。」29歳の日本のヒーローは、ニエテスに対して、勇気、精神力を試そうとしています。
井岡
「ドニー・ニエテスを尊敬しています。試合が実現し大変光栄におもっています。素晴らしい試合になるでしょう。異なるボクシング人生を歩んできた二人が、マカオでお互いの4階級制覇を賭けて戦うことに運命を感じています。私自身は歴史の転機にいます。日本に4階級を制覇した世界王者はいません。いつかは多くの日本人ボクサーがこの偉業に挑む日が来るでしょうが、歴史を創るために最初にこの舞台に立てることはとてもエキサイティングです。」36歳のニエテスは上質なワインのような技巧派で階級アップをしながら進化を繰り返してきた。元、ジムの用務員でありながら、偉大なキャリアを構築してきた。
井岡は、ライバルのニエテスを賞賛し、彼の才能に敬意を表しています。
井岡
「ニエテスはとても完成されたスマートなベテランです。アローヨとの試合で評価されたように戦う意外に、ニエテスに対して具体的なプランはまだないのが実際のところです。」アローヨとの試合では、井岡はイスマエル・サラスと共にトレーニングを積み、今回もサラスが井岡に多くを注入しています。
マネージャーのナガシマは、日本やフィリピンだけでなく、アジア全体に訴求できる偉大な試合を開催できることを光栄におもっています。彼の視線はさらなる未来に注がれています。
ナガシマ
「我々、ALAジム、トム・ロフラーなどが協力してこの試合が実現できたことが光栄です。これはアジアボクシングが世界に発信する偉大なメッセージです。日本やフィリピンだけでなく、アジアボクシング界にとって朗報です。
井岡がこの試合を勝ち抜いて4階級制覇を達成しエリートポジションを獲得したら、新たなドアを切り開いていきたいと考えています。具体的には、WBA王者のカリ・ヤファイをターゲットにしていきたいとおもいます。」
ニエテス陣営は
[st-card id=48820 ] [st-card id=47829 ]こちらで紹介済みのように、科学的なコンディショニングの専門家を取り入れつつ、ALAジムの才能豊かな選手から、井岡に近いタイプとの実戦練習を積んでいるのだろう。ALAジムには有望な若手が多いです。井岡よりパワフルな選手もいるだろう。一番の課題は井岡のスピード対策に違いない。
対する井岡陣営は
やはり、トレーニングは日本か米国で積んでいるのでしょうか、ニエテスに似た選手というのはなかなかいない。ディフェンスが巧みな熟練の技巧派です。不足分を、サラスのシンプルで確かな戦術、若さと順応力で補っていくのでしょうか。
別の記事で井岡は、出来るならばアローヨ戦ほどアグレッシブで被弾覚悟の打ち合いはせず、より知的にスマートに戦いたいと言うようなことを言っていました。ニエテスはアローヨほどがむしゃらには攻めてこず、井岡の穴を探すまでは探り合いの静かなペースで試合は進むだろう。スロースターターです。
明らかにニエテスよりも井岡の方がスピードがあり、パンチも大振りではなくコンパクトにまとまりがあるが、唯一の敗戦、アムナット戦ではアムナットのシャープなパンチと狡猾さの前に踏み込めなかった、スピードがあるといってもパンチの回転だけで、追い足、フットワークが機能しませんでした。
ニエテスは小柄ですが、距離感、防御感に優れています。パリクテの距離の長い強いパンチに対しても、捌くのはかなり達者でした。相当に熟練しています。しかし、相手を分析し打ち返すパンチはわりと大振りです。小さな選手の宿命かフィリピン人特有か、回転力は遅い、一発一発の繋ぎが大きい。その分威力はあるが。
だからこそ、強烈なボディやカウンターで派手なダウンも奪ってきたのでしょうが、細かな精度でより隙がないのは井岡だろう。
負けてしまいましたが、ジャーメルとハリソンでは、中間距離でのスピードは互角、リーチの長いハリソンのジャブが効果的でしたが、接近するとジャーメルの躍動感、回転力、野性味、柔軟性が上でした。
ニエテスは確かにボクシングマエストロのような技巧派の達人ですが、ボクシングがややクラシカルで高齢です。これを打ち破るには細かな部分でのスピード差。中間距離での技術戦では有利に立てないが、接近戦でのスピード差、回転力は井岡が上ではないか。アローヨに当てたドンピシャなカウンターを炸裂させたい。
パワーはパリクテでもスピードや機動力、スキルは井岡の方が上です。ニエテスが井岡の出入り、スピードについていけないというのが理想だ。ジョシュ・ウォーリントンがフランプトンにやったように、序盤から相手の戦術を狂わせたい。焦らせることだ。冷静に余裕を持たれるとニエテスは強い。
その差をみせつけるべく、プレッシャー、距離を支配できれば井岡に勝機は十分にある。
距離を支配されたり、フットワークを無効化されたら、アムナット戦の二の舞だろう。
アムナット戦より柔軟に踏み込んでいけるのかどうかが鍵となる。
この記事では、カリ・ヤファイを目指すと言う井岡陣営だが、勝者にはアストン・パリクテとホセ・マルチネスの勝者との対戦が指令されています。
私は今でもニエテス6-4です。
直前で変わるかな。