ウラジミール・クリチコの王座陥落よりもこちらのアップセットの方が胸騒ぎがしたのだから仕方がない。
イマムはまだベルトを巻いてる王者という訳ではなく一ホープに過ぎないのだけども。
アミール・イマムは次世代のスター候補として全勝ですでにビクトル・ポストルへの挑戦が決まりかけていた。
なのにこういう試練といえる試合に立て続けに出るのだから本場はすごいとおもう。
アマチュアホープだが、五輪は同国のライバルエロール・スペンスの壁で代表にはなれず。
長身でスケールのあるイマムはよくよくみると最近強敵相手にそれなりに苦戦続きではあったのだ。
ドン・キングのプロモートやガードの低さなど危うさもあったのも事実だ。
対するグラナドスは戦績でイマムに劣るしホープのかませ的立場に甘んじている選手だが、フランキー・ゴメス、フェリックス・ディアス、ブラッド・ソロモンととびきりホープにスプリットやマジョリティデシジョンで完敗というものがない。日本の岳たかはしには完勝しておりただの雑草ではない。
試合は2回にセンスのいいイマムのカウンターが当たりダウン奪取、技術と距離で分が悪いグラナドスは肉弾戦を選択。
そして天才肌のイマムは低いガードとロープに下がりつつの上手さで対抗。
と天才と雑草の典型的な試合展開となる。
さらには雑草が天才を食う、これまた典型的な展開でグラナドスがイマムを体力と根性でねじ伏せてしまうのだ。
イマムは確かに天才の系譜の選手だが、プロとしての自覚が足りないか過信か負けるべくして負けた。
逆にグラナドスは今までのキャリアが生きたのだろう。まさにプロとしての戦いをみせて吠えた。
こういう試合はまるでデジャブのごとくよく起こる。
ロープに下がる選手、ガードが低い選手、勘に頼る天才肌の選手は頑丈、屈強な雑草選手の肉弾戦をさばききれない。
辰吉VSラバナレスも同じタイプの試合と言っていい。
予定された世界挑戦も今後も一旦白紙で全てを仕切り直しのイマム、ショックはでかいだろうが、この敗戦を経て学んだことを生かせば強くなって帰ってくることができるだろう。
殊勲の星をあげたグラナドスだが、彼がポストルに挑戦しても同じ戦法は通用しないだろう。が、チャンスはあっていいとおもう。お見事なアップセット、これは実力、必然だ。
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クリチコが長期王座からついに落ちたが、試合内容がグダグダで40歳のヘラクレスボディのスタミナのないボクシングはもういらない。
タイソン・フューリーのボクシングもまた然り。アンソニー・ジョシュアなどの台頭を待つまでのつなぎでしかない。
よくほえるフューリーのこの言葉は含蓄あるなとおもったが・・・
「だからといって、別になんとも思わない。結局のところ、薬物を使うことにどれだけの覚悟があるのかっていう話だからね。禁止薬物を使用し、体をムキムキにしたら命を縮める。そうだろう?」
「ボディービルダーや重量挙げの選手が、何人も若くして心臓発作を起こしているじゃないか。あまりに体を大きくしすぎるから、心臓が耐えられないんだ」
元フェザー級世界王者のバリー・マクギガン(Barry McGuigan)氏は先日、薬物検査で陽性になった選手は、競技から永久追放とすべきだと話した。しかしフューリーは、むしろすべてのスポーツで薬物使用を認めるべきだと考えている。
「スポーツの薬物使用は全面的に合法、ということにすればいいのではないか。全員が薬物を使えば完璧なフェアになる。違うかい?」
「みんなが薬物を使用すれば、もっとフェアになる。99パーセントのスポーツ選手が薬をやっていないなんて言葉はでまかせだ。対戦相手のオリュンポス十二神みたいな肉体を見せられればね」
「俺にはわかるんだ。俺は子どものころからずっとトレーニングを続けてきた。ヘビー級の世界王者を目指して戦ってきた。だけど俺の体はゼリーみたいにぶよぶよだ。それが自然な体なんだよ」