血と汗と涙の川と/シャフラム・ギヤソフ
JOSHUA-POVETKIN PROMOTION WEMBLEY STADIUM WEMBLEY, MIDDX PIC: LAWRENCE LUSTIG SHAKRAM GIYASOV VS JULIO LAGUNA WELTERWEIGHT CONTEST @10ST 9LBS.

最激戦区のスーパーライト級はWBSS勢、現王者以外にも猛者がたくさんいる。その中でマニアにブレイク中なのが、ウズベキスタンのショージャホン・エルガシェフ。そんなエルガシェフのライバルであり格上の存在、世界に飛び出しでアマチュアで数々の勲章を勝ち取ってきた男こそギヤソフだ。

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シャフラム・ギヤソフ
25歳
出身地:ブハラ、ウズベキスタン
階級:ライトウェルター級
身長: 5フィート9½(176センチメートル)
アマチュア: 300勝18敗
プロ: 7勝6KO

シャフラム・ギヤソフはプロキャリアの中では昨年8月のアルバート・メンサー戦が最もお気に入りだ。

ギヤソフ
「完璧でした。メンサーは過去一度もストップ負けがない選手でした。練習の成果を試すには十分な耐性がある相手でした。2戦目などはファンの前で興奮してKOを狙いすぎていました。(判定勝利)でもそれもいい経験です。今なら同じ相手をKOできるでしょう。」

ギヤソフは4月26日、ダニエル・ローマンVSTJドヘニー、シーサケット・ソールンビサイVSファン・フランシスコ・エストラーダの前座でエマニュエル・テイラーと戦う。これまでで最も厳しいテストになるだろう。試合はDAZNで生中継される。この試合はウズベキスタンのアマチュアスター、ギヤソフにとって初の10回戦でもある。

28歳のエマニュエル・テイラーはこれが約2年ぶりの試合だ。ルーカス・マティセに5回KOされたのが唯一のKO負けで、レイモンド・セラーノやビクトル・カヨ、カリム・メイフィールドらに勝利している。クリス・アルジェリ、エイドリアン・ブローナー、アントニオ・オロスコには敗れたが、どの試合も競争力があった。2年弱に及ぶ休養がテイラーにとって良いものであったなら、ギヤソフに対する試練になるだろうが、恐らく無理だ。ギヤソフ相手では判定負けがオチだろう。

ギヤソフは3つの世界大会で勝ってきたトップアマだ。2016年リオ五輪銀メダル、2017年世界選手権金メダル、2014年ワールドカップ優勝、2016、2107アジア選手権金メダル。2016年にはアジアのスポーツマンオブジイヤーに輝いた。ギヤソフはボクシングに注いだ情熱や献身、犠牲がこのような結果に結びついたと考えている。

ギヤソフ
「15年かかりました。血と汗と涙の川を泳いできたのです。」

プロになってから、ギヤソフはブライアン・カスターニョ、ルーカス・マティセ、ファビアン・マイダナのアルゼンチン3人衆とスパーリングを重ねてきた。

ギヤソフに一番の強みを聞くと彼は「やめない事」と答えた。

ティモシー・ブラッドリーのトレーナーであったホエル・ディアスがギヤソフを指導している。

ディアス
「ギヤソフはパーフェクトです。しいて言うならスピードが一番の武器でしょう。」

マネージャーのヴァデイム・クルニコフはアマチュアの実績からギヤソフの勝負を急ぎたいと考えている。

クルニコフ
「10戦目か11戦目で世界戦がしたい。そのために最善を尽くす。」

ギヤソフは様々なスタイルを持つアマチュアで傑出した実績を出してきたので、弱点があるようにはみえない。

ギヤソフ
「必要なのはプロの味付けだけです。本物の試合で多くのラウンドを消化すること。私はアマチュアであらゆる経験を持っているから必要なのはチームを完璧に信頼することだけです。」

ディアス
「ギヤソフはアマチュアで300勝以上している。もっとリラックスしてリングに入る必要がある。時に興奮しすぎるからね。それが課題といえば課題です。」

トップアマチュアであっても一部のファイターはプロで大成しない例もある。ギヤソフが今後どのような活躍をみせるのか注目だ。

ギヤソフはウズベキスタンのブハラで生まれた。ブハラは中央アジアで5番目の大都市で世界遺産に登録されている。

ギヤソフ
「ブハラは美しい歴史的都市です。家族も円満です。決して金持ちではなかったけど、貧困にあえいでいたわけでもありません。」

ギヤソフは7歳でボクシングをはじめた。

ギヤソフ
「父がボクサーでしたので家で父と一緒にトレーニングをしました。10歳になると父の許可なしでジムに行きましたがジムのコーチに追い出されました。親父と一緒に出直してこいと言われました。わかりました。必ず出直します。次世代のロイ・ジョーンズになって戻ってきますと。コーチは笑っていました。」

ギヤソフのヒーローはロイ・ジョーンズだ。

ギヤソフは独身で妹がいる。

ギヤソフ
「ボクシングこそ我が人生です。食って寝て息を吸い、ボクシング、これだけです。」

リオ五輪後に多数プロ化してきたウズベキスタンのアマチュアホープの中でも、このシャフラム・ギヤソフが本命だろう。国内ライバルで今世界を震撼させている、ショージャホン・エルガシェフよりも国際的な実績で大きく上回る。

しかし階級は最激戦区のスーパーライト級。WBSSだけでなく今にでも世界戦に出たい無敗ホープがゴロゴロしている階級だ。その輪に入ってあと数戦で世界戦ができるかは不透明だ。

https://www.youtube.com/watch?v=FhpRiqPIShY
完璧だったというアルバート・メンサー戦

個人的にはリオ金メダルのダニヤル・イエレウシノフより強く見える。

“All I need is pro seasoning,”プロの味付け・・・正直格下ばかりではギヤソフが速すぎて強すぎて真価がよくわからない。パワーがあるのか、勢い、回転力だけなのかもわからない。その意味でエマニュエル・テイラーというのは丁度いい査定試合になるだろう。

懸念すべきは、上記にある通りアマチュアの頃からアドレナリン全開で興奮気味であること、心酔しているというロイ・ジョーンズのようなミラクルな動き、パンチを指向しているそぶりがみえるところくらいか。

しかしここまでの内容やアマチュア実績を考慮しても、WBSS優勝候補の一角といわれるジョシュ・テイラーあたりよりもずっと格上。ギヤソフのような選手がいたらWBSSも成り立たなかったかもしれない、それくらいの本命、怖い存在だろう。

だからこそ、スーパーライト級はヤバい。

モーリス・フッカー?そこそこにいい選手だね、くらいの序列なのかもしれない。

ウェルター級だったらなぁ・・・将来的な転向もあるかもしれないが、PBCのアメリカン対決ばかりではなくこういう猛者が交わるウェルターが観たいのだ。

4月26日はギヤソフだけでなく、同胞のムラトジャン・アフマダリエフ(リオ銅、まだ5勝なのに世界戦真近)も出ます。

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