多くの挫折、苦労があったからこそ、岩佐亮佑の勝利を信じている。
無敗の2冠統一王者、相手に不足はない。
https://www.youtube.com/watch?v=Eva9kR5JlVE
DAZNと契約するマッチルームUSAのエディ・ハーンは、11月27日か28日(日本時間28日か29日)に予定される興行に、元世界ミドル級王者でWBO世界スーパーミドル級3位、WBC4位、WBA5位、IBF8位のダニエル・ジェイコブス(米)が出場する事を示唆。DAZNは年内に英国での放映サービスを開始する予定で、対戦相手はWBA6位、WBC7位のジョン・ライダー(英)が有力。同じイベントでIBF世界スーパーバンタム級暫定王者岩佐亮佑(セレス)選手と、正規王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)による王座統一戦も計画されている。
ボクサーの究極の目標は、階級の統一、または誰もが認める世界王者になることだ。これは同時に巨額のファイトマネーも保証する。
アンソニー・ジョシュア、アルツール・ベテルビエフ、ジェイソン・ロザリオ、エロール・スペンス、ホセ・ラミレスとジョシュ・テイラー、ワシル・ロマチェンコ、井上尚弥らが階級の統一を一部実現している。
そしてもう一人、2団体世界王者がいることをご存じか、人々にはあまり知られていないが、スーパーバンタム級のWBA/IBF王者、ムロジョン・アフマダリエフだ。ウズベキスタンの25歳はダニー・ローマンを破り、1月30日にプロわずか8戦目でこの偉業を達成した。
「MJ」として知られるサウスポーはメジャーな世界王者とは言い難く、カジュアルなファンにはほとんど知られていない。本当のボクシングオタクしか彼の事を知らないが、試合をみればいかにホンモノかはすぐにわかる。2016年リオオリンピック銅メダリストであり、数々のアマチュアタイトルを獲得しているアフマダリエフはプロキャリアが少ないにも関わらず、積極的にプロモートされ、最速で統一王者に到達した。
ダニー・ローマン戦でアフマダリエフは自分が何者であるかを証明した。このサウスポーは近中遠、全ての距離で戦うことが出来る上、パンチ力があり注目に値するファイトをする。しかし、現在まで彼を無名たらしめているのは、コロナウィルスの影響によるキャリアの中断、これからという時に物事は氷上に据え置かれた。
しかし、徐々にボクシングが復活しイベントが定期的に開催されるようになったことはアフマダリエフにとって朗報だ。エディ・ハーンのマッチルームによってプロモートされている彼は近い将来のブレイクに期待している。
スーパーバンタム級において、ボクシングの政治が邪魔をしてアフマダリエフがWBC王者のレイ・バルガス(負傷、離脱)やWBO王者のアンジェロ・レオと統一戦を行う見通しは立たない。しかしエディー・ハーンはアフマダリエフへの投資を諦めたりはしない。次の試合はIBF暫定王者、岩佐亮佑との試合を予定している。
その後、ローマンとの再戦もありえるだろう。初戦は再戦に値する接戦だった。
ボクシングオタクだけが「MJ」が誰であるかを知っている。しかし2020年の最後、2021年には、彼は世界的な名声を確立するかもしれない。
https://www.youtube.com/watch?v=8JfEguwJHcU
まさにその通りで、ジェイソン・ロザリオとムロジョン・アフマダリエフは初挑戦で2冠王者を破っての棚ぼた統一王者なので、次、またその次をみてみないと評価に値しない。(ジュリアン・ウィリアムスもそうだった。)
そして、ムロジョン・アフマダリエフVS岩佐亮佑は、指名試合として避けては通れぬ必須の試合だ、やるべき試合だ。
8戦目での統一王者、トップアマ出身のムロジョン・アフマダリエフはまだ25歳で井上尚弥よりも若いニュージェネレーションだ。(かつて田中恒成と同じ大会に出ていたこともある。)
2016 リオデジャネイロ 銅
2016 世界ボクシング選手権 銀
2015 アジアアマチュアボクシング選手権 銀
2017 アジアアマチュアボクシング選手権 金
プロデビュー直後から地域タイトルを獲得し8戦目で迎えたダニー・ローマン戦が試金石だったが、これは際どい判定となった。
[st-card id=98842 ] 個人的にはローマンの勝利パワフルでアグレッシブに攻めてくるサウスポーでテクニックも一流だが、中盤から後半はダニー・ローマンの粘りのボディやフィジカルに苦労し、ごまかしテクニックと時々まとめ打ちをする印象点で乗り切った。
たしかに完成度が高く一流のファイターだが、とびぬけて強いというインパクトはなかった。アマチュアの経験値でわずかにダニー・ローマンを前半の貯金で退けたようにおもう。
それでも、次世代のビッグネームを目指す全勝の若きアフマダリエフにとって、世界戦で勝ったり負けたりを繰り返す元王者の岩佐亮佑は単なる通過点としか考えていないだろう。オッズも7-3や8-2くらいが現実的ではないか。
岩佐の敗北は全てサウスポーで、直近のマーロン・タパレス戦で遂に一皮剥けた、克服したような豪快なTKO勝利を収めた。世界王座をTJドヘニーに奪われてから、ほぼ引退を覚悟していた岩佐が現役に踏みとどまったのは、ある種の開き直り、負けてもいいから自分のためにボクシングを楽しもう、悔いなくやりきろうという理由だったというが、そのころからやってきたフィジカル改造が身を結びつつあるようだ。普段は山中よりも大きい。
海外でのサバイバル、セサール・ファレス戦での打ち合い、タパレスとの打ち合い、少々被弾しても問題ない、いっちゃえ、やっちゃえという心構えで結果を出してきたらしい。
今の岩佐こそ一番強い、前戦のマーロン・タパレスはムロジョン・アフマダリエフにも似た強打のサウスポーだったが、岩佐のベストといえる内容での完勝だった。これがあるから、相手が強いといえど期待してしまう部分がある。
それでも、ロープ際で打ち合う岩佐にはヒヤヒヤするし、アフマダリエフは全体的にはタパレスより2回りくらい強いとおもわれ、オッズ通りだろう。
かつて粟生が五輪メダリストのビタリ・タイベルトを圧倒したように、相手の実績に怯むことなく堂々と戦えば、岩佐はアフマダリエフがおもっている以上の強敵となって立ちはだかるだろう。世界的なアマの実績はなくても日本人はそれを超えていくことがある。
だから、岩佐が勝ってしまう、勝つと信じてその日を待っている。
やはり岩佐亮佑は和氣あたりとはレベルの違う、山中慎介並の大器なのだ。
多くの挫折、苦労があったからこそ、岩佐亮佑の勝利を信じている。
無敗の2冠統一王者、相手に不足はない。