
この試合だけボーナスみたいな興行でしたが、大橋ジムのホープ、中嶋一輝が踏み台にするつもりだった過去の人ドヘニーが勝っちゃって、井上のスパーリングパートナーとして日本にコネクションが出来た俊才ラミドにちょうどいい相手として組まれた経緯かとおもいます。
日本人の誰でもなくラミドというところが、ドヘニーへの警戒、この男への畏怖を物語っています。
10回戦ったら9回はラミドが勝ちそうな戦前の予想でしたが、10%の奇跡、衝撃の結末となりました。
まだ初回、あまりにもパーフェクトな一撃でしたが、レフリーの心情としては大混乱、若き無敗のラミドに回復して欲しかったのか、続行させましたが、キャンバスに頭をぶつけるほどのダウンで、立ち上がろうとして何度もよろけ、再び倒れていますので、即ストップすべきでした。コンスタンチン・ジューVSザブ・ジュダー、ノニト・ドネアVSビッグ・ダルチニアンと同じ、脳震盪を起こしています。
ドヘニーはこんな来歴で不遇、母国でチャンスを掴めずジャーニーマンとなり、食うためにオーストラリアに移住していたはずですが、日本が第二の、いや第三の故郷、夢の国となりました。日本では全勝、アメリカで高橋にも勝ってます。
ドヘニーの世界王座は短いものでしたが、ダニエル・ローマンにも勝ちかけていました。高齢なので後半のスタミナとボディに難点があり、試合が長引けばラミドの完封ペースで試合が進んでいただろうし、そのように予想した識者が多かったことだろう。
それが初回の見事な一撃で決めました。
普通の踏み込みではなく2段階踏み込んでからの美しい軌道のビューティフルパンチでした。
ドヘニーは技術もあるしKO率以上のパワーがある、このパワーが恐らく一番の武器だろう。
これにダウン含む大差で勝ったサム・グッドマンはフルトンとどっちが上かわからなかったほどのライーセ・アリームも下していますから、本物の実力者とみていいだろう。
そして、TJ・ドヘニーVS井上尚弥を個人的には望みませんが、大橋ジムは黙ってはいられない。
ホープの武居はバンタム転向なのかもしれませんが、大きいしドヘニーあたりを乗り越えないと先はみえない。
もう過去の人と見限られた苦労人の大ベテランが番狂わせを起こすのは痛快です。
ジェフ・ラミドにとって悔しすぎる敗北ですが、素晴らしきテクニシャンで未来はまだまだ明るいとおもいます。これは貴重な経験、事故的な敗北です。強いていえば、己のスピードとテクニックを過信しすぎ、素晴らしい才能だが判定型の選手であることが唯一のネックだ。
スキル、スピード、判定型のトップアマチュアは、メイウェザーやシャクール並の次元でないといつかポカる。ザブ・ジュダー然りだ。
Sバンタムで井上尚弥の総合力には誰も通用しないとおもうので、タパレスもこういう一発をきっと磨いて磨いて狙ってくるだろう。
ボクシングの怖さを感じる瞬間でした。
その他の試合、下町×石井は熱戦、大激闘だったようですが、西田とか堤とか力石とかその他大勢、世界戦待ちといわれる多くの日本人プロスペクトがいますが、みんなこのくらいのレベルかなとおもっています。
ものすごく骨のある世界ランカー、それこそTJ・ドヘニーのような選手を下してはじめて世界と言って欲しいものです。
終わってみれば、このドヘニーこそ、タパレス対策のスパーリングパートナーに最適だったりして。