虚脱/井上尚弥VSマーロン・タパレス

やっぱり翌日は脱力ですねぇ。結果も内容も想定の範疇でしたが。

一番気になっていたことがクリアになりました。

タパレスはパンチが強い。打たれた相手は呼吸器吸入、記憶が飛ぶ、そんなシーンを何度も目撃してきましたが井上に対しては杞憂でした。井上が打たれ強いのはもちろんですが、まともに食うことなどなかった。そして井上の方が遥かにパワフルだった。

ムロジョンやネリやカシメロもパワーという点でタパレスを大きく超えるものではないとおもわれます。

ちょっと大味、雑にみえたのはタパレスのような相手には少々強引だろうとパワーで威圧して心を折る方が得策だったからではないでしょうか。フルトンやドネア、ロドリゲスの時ほど相手の実力が未知数というわけではありませんでしたので、ある程度査定できたら強引にいこうというのがあったのかなとおもいます。

プロも素人も好き勝手な事を言うのが常ですがスーパースターとなれば必然です。
その中でも京口紘人選手の言葉に共感です。

京口
「意外にモンスターが上半身と下半身がうまく連動していなかった。ちょっと浮き足じゃないけど前のめりになるというか、気持ち先行でパンチ頼りになる、らしくない、ちょっとムキになるパンチがあったから珍しかった」

私も上手く表現できないが、これを感じていました。序盤は特に下半身がついてこず、上半身だけ前のめりでした。しかしこれもタパレス対策だったのだろうとおもいます。慎重でガードを上げ前に出てこない、しかも後ろ重心、序盤は相手を警戒、どんなタイミングとパワーかを見極めるために、少し遠目から探りを入れていたのだとおもわれます。それにしても身長もリーチも井上より短いタパレスは遠かったです。そして色々と戦術を変えてきました。

1:ハイガード

上手く機能していましたが、それでは勝てないので、中盤以降は右手を下げるように変えてきました。そしていい攻撃を何度も仕掛けてきました。

2:後ろ重心

これが実に上手く機能していました。相手からは絶望的に遠い上、元々フック系のブンブン丸だったタパレスですので、後ろ重心からの体重ののったオーバーハンドは威力抜群です。足の位置も常に井上より外、重心を低くして広く使っていました。タパレス得意のオーバーハンドライト、これで何人もKOして来ましたし井上にも一発いいタイミングのこれを当てましたが、若干芯を外されたようでした。井上が一発効いたというのはこのパンチだったのかな。

3:ショルダーロール

スリッピングや肩でいなすのが上手かったです。アフマダリエフ戦でみせたスタイルは井上戦でも同じかさらに進化していました。試合後は傷跡が痛々しかったですが、かなりディフェンスの名手でもありました。

結果は井上の圧勝も、いつもより大味、雑な印象も受けた試合でしたが、それはアラン・ディパエン戦でも感じたことなので、相性によるものでしょう。スタイルは違いますが、効き方、効かせ方が似ていました。

https://the-ans.jp/news/207341/

試合前も試合後も何かいつもと違う雰囲気を感じたのは、単なる勘違いか、白いトランクスや控え目な喜び方も、「通過点」の試合という意味合いが強かったせいかもしれません。「勝って当たり前」という楽勝ムードが一番厄介です。それはディパエン戦も同じでしたから。

試合後はネリもアフマダリエフもネット上で反応したそうですが

ネリはタパレスよりもっと隙がありますし、タパレスと互角だったアフマダリエフも内心は複雑でしょう。

アフマダリエフの心の声
「あのタパレスが俺の時と違い、はっきり倒されて負けた。ポイントもほぼシャットアウト、やべぇ、今の俺じゃ客観的に勝つ要素ゼロじゃん。全て井上の方が上じゃん。メチャクチャ練習して何か変えないと無理だな。」

アフマダリエフには全体的にはタパレスよりパワフルで強靭でベースのしっかりしたところを感じますが、タパレスほどのディフェンスワークがなく、足もスピードも井上に劣る、愚直に強いがダニエル・ローマンあたりにも大苦戦していたので問題あるまい

ネリは全体的にはタパレスより隙が多いので問題あるまい

目先の敵はネリ、アフマダリエフ、グッドマンなのだろうが、彼らが対戦して、1人、ないし2人に絞って欲しいものです。

しばらくSバンタムでやっていく路線のようですが、全てのベルトを保持したままというのは現実的ではないので何か動きがあるものとおもわれます。

いずれにせよ、素晴らしい試合を堪能させていただきました。

井上、タパレス、両者に敬意を表します。

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