
井上尚弥VSラモン・カルデナスで色々な意見が聞かれました。
昔はボクシングはマニアの世界でこんなに話題になることはなかった。
だから逆に私は興醒めしてしまいます。
君は2012年10月2日、井上尚弥のデビュー戦、クリソン・オマヤオ戦を観たことがあるのか?
もっと田舎のやせ細った青年みたいな風貌で、すさまじいスピードと連打で圧巻のデビューでしたが、若さに任せた手数の選手で、倒し屋という印象ではなかった。
あの頃からトップアマチュア上がりで別格の強さだったけど、井上尚弥ほどプロで進化、成長したファイターを知りません。今では五輪金メダリストも軽くKOしてしまうようなP4Pナンバーワンの風格が漂います。
昔ではとうに引退しているであろう、32歳になった井上尚弥がさらにスピードアップしたり反射神経が向上することはないだろう、しかし余りある経験値と練習の賜物で、戦術や多様性は増すことだろう。
そういう意味では、予想通りの圧勝よりも、あのダウンはいい経験になったと捉える。
ドネア①で食ったパンチも、ネリもカルデナスも、全部左フックだった。
これは井上尚弥のクセと考えた方がいいだろう。
相手を読んでイケるとおもったら、序盤からちょっと強引に威圧していく、相手の気持ちを折る序盤の先制攻撃は効果的だが、相手はまだ怯んでいない、身体も元気だ、エイや!と渾身の左フックを投下してくる。
あのポジションであの右手の位置では誰だってあの左フックは避けられない
そんな、井上対策として練習しまくった、渾身でいてやけくそなカルデナスの左でした。観ないでぶちかました一発にみえました。
そんな井上尚弥に残された時間はそう多くはなさそう、かつて35歳を目処に、あるいはSフェザーを終着点に語っていましたが、もう次戦はセットされています。
9・14名古屋 IGアリーナ
WBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ
アフマダリエフは井上戦までに緩い試合を挟むそうですが、元王者であり五輪メダリストでもある彼は、井上尚弥に勝つためだけの練習をしてくるでしょう。肉体が分厚くて、パンチの威力は過去最強のサウスポーと言えます。しかもトレーナーはラモン・カルデナスと同じ模様。
だったら
ラモン・カルデナスVSムロジョン・アフマダリエフ
ってどうなのよ、スパーくらいしたことあるのかな、トレーナーの本音はどっちかな?なんて知りたいですが、そこは謎です。
個人的に井上尚弥の戦い方は大体わかってきました。変則自在な匠の技を色々備え、左右自在にスイッチもできる器用さですが、基本的にはシンプルなオーソドックスでやりにくさはありません。教科書的なスタイル、オールドスクールの究極です。
スティーブン・フルトンとの戦い方、あれが理想だとおもいます。あるいはTJドヘニー戦も悪くない。
対峙するだけで、ジャブの差し合いだけでも、相手を萎縮させる井上のパワーとスピードで、序盤から相手を威圧していく井上ですが、相手を見切るのに1回や2回ではなく3回、4回くらいまで時間をかけた方がいい。
そこまで時間をかければ、もはや序盤に事故的なパンチを食らう可能性も消え去るだろう。
5回あたりからギアを上げていけば良い。
もちろん、ファン・カルロス・パヤノ戦のような駆け引き中の一撃はアリだが。
ムロジョン・アフマダリエフは恐らくSバンタム最後の宿題、過去の誰よりもフィジカルやパワーがありトップアマチュアの下地を持つ男
その次と言われるフェザー級のニック・ボールは極度にビルドアップされた豆タンクのような鬼フィジカルの厄介者
さらに次と言われる中谷潤人はネクストモンスターと言われる変則自在なサウスポー、掴みどころがない。しかも井上と対峙するころにはナチュラルで井上よりデカい、重いだろう。
さらには20センチも背が高い、反則級のアッパー野郎、ラファエル・エスピノサ、デカいだけでなくゴリゴリ身体も強いのがさらに厄介だ。
彼らは、パッキャオ、バレラ、モラレス、マルケス、ハメド時代のようなビッグネームではないが、それは時代の宿命、仕方がないことだ。知名度は低くとも、実力で劣るわけではないかもしれない。
10年以上見続けてきた井上尚弥のキャリアもいよいよ最終章、ラストスパートかもしれない。
生涯2度しかしていないというダウンはここ最近、Sバンタムで経験した。
いよいよ井上尚弥を研究しつくし、パワーやフィジカルで劣らない相手も台頭してきた。
それでも、井上尚弥のダウン、ピンチはすべて似たようなシチュエーション、パンチで起きたことをふまえると、この男は無敗でキャリアを終える
井上尚弥はもうダウンしない
と考える。
私の中ではP4Pナンバーワンです。