諸刃の剣を捨てる時/岩佐亮佑VSエルネスト・サウロン

ジェネシス・セルバニアがトップランクと契約をしました。オスカー・バルデスに試合には負けましたが、その素質、ボクシングは見捨てられなかった。フィリピンではESPNの放送も観れるそうで、そういう意味からも金沢のカシミジムでやっているより多くのチャンスを掴むだろう。

日本人は外に出ずともそこそこ稼げる
日本のTV局ベッタリサマサマでやっていける
世界のニュースも発信しない

そんな夢のない現実が立ちはだかっている以上、なかなかセルバニアのようにはいかない。
世界はPPVの時代である。

さて、本題

これ以上ない快勝にみえた小國からの戴冠で念願の王者になった岩佐だが、約半年ぶりの試合となる。相手は普通に考えたら安パイだ。地方ジムではこれが文化、伝統なのかもしれない。岩佐には、山中VSネリのため勢いをつけてもらわねばならないし、山中の進退が微妙な現状、その意思を引き継いで欲しい選手の筆頭である。体格もいい。

以前コメント欄で、岩佐がエロール・スペンス化して欲しいと誰かが書いていたが全くの同感である。両者のボクシングには似たところもあるようにおもう。左の貫通力、決定力は素晴らしい。

エロール・スペンスに感じる強さは、技術よりも攻めの姿勢である。相手に猛チャージして分厚い攻めで潰してしまう。その攻めの中に細かなスピードやディフェンステクが光っている。勇ましい、頼もしいファイトをする。

一方の岩佐はスペンスに似た決定力や技術を持っているが、単発で消極的。流れるようなコンビネーションは打たない。お見合いからのカウンター一発を狙う駆け引きのボクサーだ。打ち合いのボクシングをしないので、打たれた時は一発で効いてしまう、諸刃の剣。

果たしてスペンスは打たれ強い、タフだからああいう強気なボクシングができるのだろうか?そういう面もあるだろうが、日々の練習や試合の中で培われたものだと推察する。技術に加え、こうした馬力、体力、屈強さを誰よりも感じるからウェルター級でトップ評価なのだ。(個人的に)

岩佐にも各要素でスペンスに似たような部分があるとおもう。しかしスペンスのように相手の攻撃を受け止め、流し、吸収し、何倍も強いアタックを仕掛けるほどの逞しさはない。今は相手に触れさせない事に全神経を注ぐボクシングだ。

スペンスは違う。がっつり打ち合って打ち勝つ。少々の被弾も気にせず相手を圧倒していく。これが、今後の練習と経験により岩佐に少しでも身につくことがあれば、きっと素晴らしい王者になるだろう。

やっと初防衛戦。現状はレイ・バルガスやマグダレノらに及ばぬ3,4番手の王者だ。それをこれからひっくり返していって欲しい。

初防衛の相手エルネスト・サウロン
21勝8KO2敗

フィリピンだから戦績以上に重いパンチを持っているだろうが、大振りの一発を食わぬ限り岩佐の勝利は手堅いレベルだ。こういう相手に今までのようにカウンターやスキルで上回るだけでなく、プレスと連打で潰すようなファイトができれば逞しい。何をどうしたって勝てるくらいモノが違うと。

いつもどんな相手にも、諸刃の剣ボクシングはしなくてもいいはずだ。

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