この知らせは僕のような古いマニアにはうれしい。
日本のエースと呼ばれていたころと違い今はリナレスを入れれば9人もの世界王者がいる中で
かつてのエースは己の誇りのみを背負い、余計な重圧は全て捨て去って欲しいと願う。
自分は身体的に限界、ダメージの蓄積での引退というのは周りが言うのではなく本人が自覚すべきものであるとおもうし、海外を見渡せば、長谷川に勝ったものの、ドネアに痛烈に沈められ、長谷川以上の辛酸を舐めたともいえるモンティエルだってフェザー~Sフェザーでまだ諦めていない。
ドネアも、キコ・マルチネスもその後負け、階級を下げての復活を模索している。
引退のいの字も見せず、まだまだ挑戦を諦めていない。
長谷川だけが彼らに比べ甚大なダメージをため込んだ訳ではなく、皆激戦を経て調整を重ねている。
むしろ日本のマスコミだけが過剰に進退を取り扱うだけだろう。
長谷川自身「まだ未完成だから」という言葉がうれしい。
長谷川のボクシングは確かにまだ未完成だ。勘とスピード頼り、ジャブもなく決まった型がなかった。
ディフェンスも巧みだったが、攻撃偏重なので打たれないようなディフェンスとは違う。
距離の遠い相手、大きな相手にはファイターになってしまう。
毎試合がタイミングと相性で勝負していたところがある。
速効決着や派手な打ち合いをしてきたから激闘型のイメージもあるが
長谷川のスタイルの究極系はギジェルモ・リコンドーにあるとおもう。
ジャブから組み立てるボクシングではなく、距離勘とボディワークと速く大振りなパンチ。
スピード系サウスポーのボクシングの究極の形だ。
長谷川と違いもっとリングを縦横無尽に使い無理をしない。打たれないことに重きを置いている。
長谷川とリコンドーは同じ歳だ。内山はもっと上。
まだ、自分のスタイルを見直し、進化できる余地がある。
減量苦は代名詞のようなのでフェザー級あたりで復帰するのだろうが
現状のままでは通用しない階級だ。
ドネアでさえ、見直しを余儀なくされた階級だ。
王者の顔ぶれをみても厳しい。
(ジョニゴンにリベンジしたいのかな?グラドビッチのような選手ならひょっとするが)
本当の王者はロマチェンコでありウォータースだといえる。
しかし長谷川の再起は王者になることというよりは、
自分のボクシングを完成させること
強い相手に挑んで高いレベルのボクシングを感じること
そしてなによりも納得のコンディションで最高の試合をやりきること
そこが重点であり、今辞めると悔いるところなのだろう。
再起はファンとしてうれしい、全力で応援できる選手がまた復活だ。
しかし、ボクシングオタクとしてどうしてもいいたいのは
パッキャオのような力強く面白い試合をすることよりも
リコンドーのように打たせないボクシングを追求することだ。
それが唯一、少しでも長くボクシングが出来る術であるし
フェザー級ではそれが絶対条件となってくる。
長谷川ボクシングが未完成だとしたらそれは、ノックアウトすることではなく
打たれないボクシングを完成させることだ。
そこが未完成部分であり、基本に戻りジャブから見直すことではない。
打たれない足、目、勘、スキルがあれば、同時に相手を圧倒できる。
リコンドーのようなボクシングを目指すことだ。
それが無謀なことではないほどに長谷川のスタイルはリコンドーのそれに近く、才能もあるとおもう。
アマチュア含めたキャリアが違うだけだ。
内山は現状打破のため、海外修行に行きたいと言っていた。
長谷川もできれば、環境を変えた方がいいのだが・・・・・・