すみません、試合を観戦せずに書きます。動画があがったらじっくり観てみたい。なぜなら、難解で得体の知れない強さをみせる清水が全勝ホープ相手にまた圧勝したらしいから。あとはとても気になるカードがあったから。
このカードと同じ選手3人が出場していたので気になっていました。
清水聡VS上原拓哉
たしか全日本新人王だった河村真吾戦よりも圧勝で清水のKO勝利とのこと。これで未だ全KOか。出世を急いだ村田の時間が止まり、同じ五輪のメダリスト、清水はこれから・・・感慨深い。しかも剛腕村田よりも細くてひょろい清水が100%KO男とはボクシングは難解だ。
和製、セレスティーノ・カバジェロ、いやもっと見栄えはよろしくないかもしれない清水。強さが伝わりづらい。食っているようにみえて外しているディフェンス、手打ちで軽そうなのにボコボコ相手が傷つくパンチ・・・独自の高等テクニックと当て勘、強烈に強いロボコンパンチはレベルを上げた舞台でどこまで通用するのだろう。トップアマチュアで五輪メダルの実績があれば、誰にも通用するようにも、細いアゴに食らって何もできずに瞬殺されてしまうようにもみえてしまう。しかし32歳、もう完成された独自スタイルなので10戦未満の世界挑戦だとしても歓迎だ。
対戦してくれそうな王者選びが難しそうで、ヘスス・マヌエル・ロハスやジャック・デポラになる予感。日本はもう卒業でいいだろう。阿部麗也という選手くらいかな。
丸田陽七太VS溜田剛士
間違っていたらすみません。溜田というのはヨネクラジムの最後のランカーかなにかで廃業とともに大橋ジムに移籍した選手かな。生で観た溜田という選手は想像以上にイカつくて、小柄マッチョなパワーファイターでした。こういう昭和を感じる古風な選手は好みで、きっと頑丈なんだろうなぁ、和製バランチェクのような凄みを感じていましたが、一番大事なスピードに欠けるという課題がありました。
対する丸田というのはイケメンホープという事しか知りませんでした。とても有望でキャリアを急いでいましたが、はじめて観たのが大竹戦。こりゃアカンとおもいました。長身だがとにかく線が細く、ヒョロヒョロで典型的な日本止まり、世界に行く選手ではないという既視感を感じたのです。昔の八尋のような・・・
それが、階級を上げて和製バランチェクと戦うという興味深い一戦は、レフリーのブレーク後の気の緩みだったそうですが、丸田のシャープなアッパーで溜田がダウンし追撃ラッシュでストップと、ヒョロヒョロのイケメンが勝利したようです。
過酷すぎる減量をせず、適正階級で己のシャープさを研ぎ澄ませていけば強いんだな。話題先行、イケメンというのはいけすかないですが、強気な試合をこなして結果も出していく、そんな姿勢なら大歓迎で応援させていただきます。でも清水と同じ階級なんだな。
ジョン・ジェミノVS中澤奨
ジェミノは17勝(8KO)11敗1分という雑草選手ですが、来日ははじめてか。わかる者はわかるとおもうが、いわゆる日本に来ない、フィリピンのガチな方の選手である。戦績は悪いが、ホープのトカ・カーン・クレーリーを初回で沈めて初黒星をつけたり、超ホープのニャンバヤル相手に粘ったり、本場米国ではカマセだが、戦績で侮ってはいけない超強打者である。
対する中澤というのは、かつては辰吉の後継者ともいわれた大阪帝拳のホープにしてアマチュア王者でもあったというが、紆余曲折を経て、大橋ジムに移籍して観た試合では、これまた、こりゃアカン選手だったのでした。
そんじょそこらのグリーンボーイよりはしっかりした基礎のあるボクサーだが、どこかスランプなのか、輝きを失ったのか、ホープと呼ぶにはスピードがなさすぎ、直線的で単調、被弾も多い。アマチュア王者の影すら感じさせない凡庸なファイターに映ったのだ。
そして、やはり当然の結果。
両者の真の実力を知るものであれば、勝ち目のないマッチメイクであった。中澤という選手が、敗北も味わい、キャリアのステップ、集大成として挑んだチャレンジマッチであったのなら納得だが、この相手を通過点と捉えていたのなら大きな過ちである。
観戦もせずに書いてしまいましたが、以前生観戦した選手に対する印象を固めたくて、結果だけ知り書いてしまいました。
清水は相変わらずユニークだ。世界戦ではボロ負けも完勝も想定されるロボコンファイター。でもこんな選手日本にいなかったから面白い。あの身体、打ち方にして内山ばりのKOばかり。本当にボクシングは奥が深い。日本では全KOの清水だが、それこそジョン・ジェミノのような選手も倒せるのか、打たれないのか、試すのもアリだとおもう。やはり個人的にはニャンバヤルの方が評価は上だから。
丸田VS溜田というのは自分の決めつけが間違っていた。あんなにヒョロイ若者に野獣溜田は全く効かないとおもいこんでおりました。
そして中澤の敗北・・・これは相手次第であろうと想定してました。一番やっちゃいけない、鬼門な相手でした。
大橋ジムは今特に日本で一番有望な若手、トップアマが集うジムになっています。
大橋会長の人徳、実績、井上尚弥の傍で吸収したいという憧れがあるのでしょう。
しかし、トップアマ、ホープと呼ばれる選手達、やはり生で観ないとわからないことだらけです。
何が、どこがよくてトップアマだったのか、そこを見極めるのも醍醐味です。
日本、世界王者になるには、やはり一番大事なのはスピードです。スピードがないと厳しい。
次に勝負勘というか、一気に詰めて試合を決めてしまう、ラッシュ力、洞察力、獰猛さ、野生の感覚・・・とでもいうのでしょうか
ある種の凄みがないと難しいと感じます。
ホープの中にもキラリと光るものもあれば、あれれというケースもまた多いのです。