見過ごされたプロフェッショナリズム/チャーロ兄VSコロボフ・チャーロ弟VSハリソン

この試合は地味だろう。15日のカネロ戦に比べたらギャラも興行規模も小さなものだろう。しかし、真のボクシングファンにとってはずっと崇高で緊張感のある、ハイリスクなマッチメイクである。これこそが世界タイトルマッチというものだ。

世論というのは複雑で、いつのまにか、ジャーメル・チャーロ<ジャレット・ハードという認識になっているのかな。ハードが王座を2冠統一したからか?

俺のとは違うなぁ。

ハードファンではあるけれど、チャーロの方が怖い。
そして、この試合はハリソンを、コロボフを応援しているけども。

ジャモール・チャーロ

「対戦相手が変わったと聞いて、それでもやらねばならないとおもっていた。それがプロフェッショナルというものだ。俺は断るような事はしない。予定とは別の相手との試合になった。コロボフがこの急なオファーを受けてくれて嬉しい。いい試合になるだろう。

どんな試合もタフなものだ。コロボフを放ってはおかない。コロボフをぶっ倒す。

これは俺がファンにアピールするいいチャンスでもある。失望はさせない。コロボフはモンローとはタイプが違う。でもどんなスタイルにも準備できている。

俺はミドル級では見過ごされている男だ。ミドル級で十分な実績がないといわれ続けている。でもそれは、ベストと戦うチャンスを与えられないからだ。

相手によって異なるゲームプランで戦う必要がある。コロボフは俺を倒そうとあらゆる手段で立ち向かってくるだろう。俺は打ち負かされない。それが俺の義務だ。

俺もジャーメルもハングリーだ。俺たちがボクシング界のベストである事を知って欲しい。遅かれ早かれその事がわかる日が来るだろう。

コロボフは元々アンダーカードに出る予定で、急遽決まったこの試合に人生を賭けてくるだろう。そういうチャレンジはいい。準備はできているさ。そういう全身全霊の相手に対して、俺のプロフェッショナリズムをみせてやろうじゃないか。」

マット・コロボフ

「私との試合を受けてくれたジャモール・チャーロを尊敬する。そして土曜の夜はベストを尽くして戦うことを誓う。ジャモールの試合をチェックした。やはりタイトルを持っているだけあってすごいスキルを持っている。

しかし俺も土曜の夜を素晴らしいものにするスキルを持っている。全てを注いでファイトする。俺はずっとチャンスに恵まれずリングの外にいた時間も多かったけど、こういう瞬間を夢見て常に準備だけはしてきた。今こそその想いをぶつける時だ。

本当にこのイベントに参加できて嬉しくおもう。急遽電話でこのオファーを知らされたけれど、直ちにイエスと答えた。これこそ俺が導かれた仕事に他ならない。」

ジャーメル・チャーロ
「土曜の夜は俺が他のボクサーとは異次元なのを目撃するだろう。この舞台で12ラウンド戦えば、ジャーメルは何にも勝るファイターだというのがわかるだろう。リングに上がるたびに、俺は人生のラインに自分を乗せている。

俺はハングリーだ。全てはこの男を破壊したい。常に支配的に、この男をただただ破壊したい。

チャーロ兄弟は大きなチャンスを迎えている。負けは許されない。俺たちにとってボクシング界でアドバンテージを握る重要な試合だ。チャーロ兄弟が年末を締めくくるのは間違いない。

土曜の夜は素早く仕事をしたい。リングで全てをもたらし素晴らしい試合を披露しよう。

素晴らしいトレーニングキャンプをしてきたから何も心配していない。トニー・ハリソンに俺の邪魔はさせない。ハリソンは俺を打てないしアウトボックスもできない。俺がこの階級のベストだからだ。

この階級のベストが俺かどうか疑っている声こそが俺に火をつける。その他のファイターはただ、俺の進む道に突っ立っているだけだ。

どんな試合もゼロ対ゼロだとおもっている。余分な知識や事前予想なんて必要ない。2人が戦って勝つのが俺だということだけさ。」

トニー・ハリソン
「ブルックリンのファン、FOXテレビの多くの視聴者の前で戦えることを楽しみにしています。素晴らしい爆発的なファイトになるだろう。

ジャーメルはジャレット・ハードよりもテクニカルなファイターだとおもう。けれど俺は(ハード戦より)いい答えを導きださねばならない。彼らの比較対象にはなりたくない。

一貫性をもって激しいトレーニングをしてきた。より一貫性をもって。だから、どんな時でも素晴らしいパフォーマンスが発揮できるとおもう。

外野の声やノイズは気にしていない。俺は過去最高のトレーニングキャンプをしてきた。その土台はチャーロより高いだろう。チャーロにはある種の心理的プレッシャーがあるだろうが、俺はとてもリラックスしてこの試合のためにやるべきことに集中できる。

ジャレット・ハードとの再戦に勝るものはない。この試合に勝って全ての道はハードとの再戦に繋がる。」

例えに出すのが憚れるが、日本で亀〇がぬくぬくと安易な相手に防衛を重ねていく中で、その他のホンモノといえる王者は時に強敵と相まみえ、敗れ去っていく。ボクサーの栄光というのは先が長いようで一瞬で終わることもある。いいボクサーほど短命で消えていくこともあるのだ。

チャーロ兄弟は、なんで米国での人気が微妙なのか不思議なほどに強くて華があるとおもっている。風貌やコメントではなく試合自体に華がある。

しかし、ジャモールが言うように

俺はミドル級では見過ごされている男だ。ミドル級で十分な実績がないといわれ続けている。でもそれは、ベストと戦うチャンスを与えられないからだ。

大物に避けられているが故、ハイリスクで見返りの少ない試合を繰り返しているうちに、負けてしまうリスクも抱えている。

カネロVSフィールディング
スペンスVSマイキー

そんなメガマッチも素晴らしいが、リスクを天秤にかけるのであれば、チャーロ兄弟に用意された、これらの試合の方がずっと危険だろう。メディアやファンの注目を度外視すれば。

大金の動く人気者がずっとその地位を享受している間に、それに勝るとも劣らぬ実力者が険しい試合の果てに負けていく、短命に終わる。

不遇からやっとチャンスを掴んだコロボフ
慈善活動がクールなハリソン

今回はそんな彼らを応援してしまうが、チャーロ兄弟に土がつくとしたらボクシング界にとっては大きな損失だ。それで微笑む王者が増えてしまう。

こんな不条理を感じるのも、スポーツビジネスの光と影なのだろう。

ジャーメルが言うように

チャーロ兄弟が年末を締めくくるのは間違いない。

試合ではあろうが、対戦相手の資質も含め、これはハイリスクでプロフェッショナリズムに溢れた試合である。

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