今年のチャンピオンカーニバルの目玉、世界の期待がかかるスケールの大きな両者の試合は期待通りかそれ以上の濃い内容の素晴らしい試合となりました。
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身長、体格もほぼ同じ両者でしたがリーチの長い岩佐の腕とあごの細さが若干気になりました。
試合は天才肌の岩佐が意外とフットワークを駆使せず中間距離からジャブの付き合いで堂々と山中とやりあうやや予想外の展開。
それでもイーグルアイと呼ばれる岩佐の目と当て勘は素晴らしく2ラウンドには左ショートで山中をぐらつかせたりもしました。
最初の3ラウンドはわずかな差ながらも全て岩佐がとったでしょう。
予想通り、それ以上にセンスある素晴らしい21歳でした。
しかし徐々に岩佐の動き、パンチに慣れた山中は4ラウンドからボディも交え、優勢に試合を運びはじめました。
技術、ポイントでは拮抗しているもののパンチへの慣れ、左を中心とした攻撃時の迫力で優位に見えるようになってきました。
それでも細かな点では岩佐がいいタイミングでパンチを当てており、余裕はないもののクロスゲームを展開。
どちらにもいつでもKOを演出できるシャープさとタイミングがあり緊張感のある展開が続きました。
左強打が強調されがちの山中ですが右ジャブが岩佐と互角に機能しており、そこから流れで放たれる左の迫力、すごみが強烈で距離感に優れる岩佐もクリーンヒットは許さないまでもよけきれずヒットされており顔面を腫らしていき苦しい後半となってきました。備わっている能力が高いのでうまく対応していましたが展開を自分から変えるだけの余裕がなくなっていきました。
クロスゲームが続きましたが岩佐のボクシングに慣れた山中の方にやや余裕が感じられる後半、岩佐の素晴らしいパンチも帝拳得意の首をひねってよける動作などで対応し山中の自信が感じられる展開になっていったような気がします。
最終回KO、タオル投入と劇的な幕切れとなりましたが唐突なものではなく、余裕をもった山中陣営と万策尽きたセレス陣営という感じで最終回の結末は予想されるような状況で起きたとおもいます。
注目の一戦は世界戦並みにハイレベルで見ごたえある熱戦となりました。両者の完成度を改めて確認できてよかったです。
両者とも世界が見込める有望な選手だと誰もが確信した試合でした。
言い尽くされた言葉ですがやはり経験値の差が出たようにも感じられるし、スタイルは違えど先日のアコスタVSリオスのように底力、馬力の差が出たような内容に映りました。
勢いに乗る帝拳勢の力は本物です。
勝利者インタビューで世界をアピールしていた山中、本当に今やらせたい筆頭株ですが、ふさわしいターゲットが一人しかいません。
最高に世界を望まれる選手、タイミングなのですがWBAスーパー王者のモレノはドネアと交渉しているようだし、この王者は山中をしても曲者かもしれません。その他はドネアかビッグ4トーナメント中だしAやCではないから無理・・・
ファンの誰もが期待している相手との対戦は本部から義務としなければ逃げられてしまいそうです。
世界を期待できる山中ですが前途はどうなるのでしょうか。これはツニャカオにも言えることです。
WBAとJBCの責任でもあるとおもいます。
とってもクレバーで破壊力満点の左を持った山中、攻撃のバリエーションはシンプルでアッパーとか打たないですが世界到達できるでしょうか。
皆期待しているとおもいます。
敗れた岩佐にとっては痛恨の一敗ですがむしろ評価を上げた、恥じることなき敗戦です。
若さ、バランス、総合力という点では将来の大物世界王者を見たといえるほど素晴らしかったといえます。
こういう本物たちに未来と栄光が与えられるような道を作っていって欲しいものです。
その他G+では前座の試合や長谷川、西岡、粟生の過去試合が流れました。
木村は帝拳のアマエリート軍団のひとりですが今までずっとスキルは高いがパンチがないという印象は変わらず。
何か革新的なパワーアップかスタイルチェンジが欲しいところです。
中川は涙の復帰、相手がやや小さかったのでこれから日本タイトル奪回を目指して頑張って欲しいです。
勝っても負けても引退という34歳のハラダジムの選手に心情的にドラマを感じてしまいました。
最高の興行でありました。
山中、岩佐、両者に輝かしい未来を感じました。