今週末はこの一試合だけなので、ゆっくり堪能できそうです。Sライト級ウォーズ、負けたら一歩脱落です。
インドンゴ戦の圧勝で、レジス・プログライスが専門誌ではこの2人を抜いてトップ3の評価に上昇してますが、本来はマイク・リードを圧倒したラミレスが上位であったとおもいます。
負けるまではエロール・スペンス以上に期待され出世の早かったイマムですが、この屈辱をバネに挽回できるでしょうか?
ホセ・ラミレス
26勝16KO
ロンドン五輪米国ライト級代表で2回戦でリオ金メダルのファズリディン・ガイブナザロフにポイント負け。世界選手権ではロマチェンコにポイント負けした過去があります。9-16
ロンドンはガイブナザロフも3回戦で韓国人に負けてます。韓国すげぇなぁ。(決勝でロマチェンコに負け)
178センチとマイキーなどより大柄で、メキシカン(米国育ち)らしく好戦的で豪快です。パンチのモーションが大きいですが、不思議と精度も的中率もよく、長い腕から放たれるボディが特に強烈です。このモーションの大きさが脅威とも隙ともいえ、ロマチェンコやプログライスのようなコンパクトで俊敏な選手との相性が悪そうな気もします。前戦のマイク・リードも小柄でスリックな黒人エリートでしたがラミレスと伍するにはパワーが足りませんでした。
迫力があって勝負強く精神力も強そうなので、同じメキシコ系のグラナドスに敗れたイマムを攻略するとおもいますがどうなるでしょうか?
アミール・イマム
21勝18KO1敗
ラミレスより長身でリーチも長い本格派の黒人ホープ。
どうしてもライバルのエロール・スペンスに勝てず国内止まりのアマチュアでしたが、つまりはラミレスより階級上でした。世界王者の有力候補として無敗街道でしたし、たしかビクトル・ポストルとの試合も決まっていたものの伏兵のアドリアン・グラナドスにKO負けして後退してしまいました。しかしこの敗戦には伏線があり、その前も、小原が引き分けたウォルター・カスティーリョに苦戦していました。頑丈なファイター系に粘られると逆転負けする弱さが残っていました。
本来、長身強打でとても筋のいいボクサーなので、時代やタイミングで王者になってもおかしくないレベルですが、アマではスペンス、プロではドン・キングプロモートと、どこか、スターになりきれない立場のような気がしてしまいます。
当時王者のビクトル・ポストルとの試合が内定していたのに、危険な最終テストマッチに向かい、痛恨の敗北を屈したイマム。ラミレスはグラナドス同様にプレスの強いファイターです。グラナドス戦を参考にするのでしょうか?
ラミレス
「その試合を通して観てはいません。要点だけチェックはしましたが。練習でバッグを打つように簡単にイマムに対して上手くいくとは限りません。イマムの過去の試合や敗北にあまり注意を払わないようにしています。」イマムはその敗北以来3連勝です。
ラミレス
「イマムはいずれ世界王者になるような選手です。それが私を奮い立たせ、ハードなトレーニングにかきたててくれます。グラナドス戦よりもいい状態のアミール・イマムを想定することが私のモチベーションになります。私は常に過去のどんなものよりも優れたものをもたらそうとするファイターです。私はイマムとの試合で何をもたらす事ができるかに焦点を当てています。なぜなら、自分の技術に頼りすぎると、敵に対し上手くいかない時に集中力を切らしたりするからです。」
ラミレスの考えに共感します。
イマムが自身の長身強打のスリックなボクサーとしての技術に酔いしれ、ポイントを抑えていったとしても、2番底があるラミレスに粘られれば逆転される。過去の試合と2人の特徴を想定するとそう考えられます。
イマムが才能だけでシャットアウトできる相手とはおもえません。ラミレスには不屈の闘志があります。
イマムのような挫折はプロでは本当によく起こります。
マーク・ブリーランドケースといいますか、この試合はマーク・ブリーランドVSマーロン・スターリングのような構図です。
しかし、ラミレスの特徴とこの姿勢に対し、イマム自身が何を考え、敗戦から何を学び、どう変わったかも試合の焦点でしょう。アマのライバル、エロール・スペンスのように技術とセンスに酔いしれるだけでなく、当たり負けしない心身のタフネスや打ち勝って潰すような根性ファイトが出来るようになれば、壮絶な打ち合いの果て、見栄えと精度のいいイマムが勝ち残る可能性もあります。
ラミレスも五輪代表のトップアマですが、この対決はどちらがプロなのかが問われる根性勝負でもあります。