頑張れ、40歳、キューバの最高傑作、ジャッカルよ。
ノニト・ドネアが度肝の内容でWBCバンタム級王者、無敗のノルディン・ウバーリをノックアウトし、ライバル達が視線を送る中、涼しい顔で指名挑戦者のマイケル・ダスマリナスを圧倒した井上尚弥
そのあたりから、第2のシナリオが動き出し、WBO王者、ジョンリエル・カシメロの相手はWBAレギュラー王者、ギジェルモ・リゴンドーからWBC新王者、ノニト・ドネアに変更された。彼らの勝者、2冠王者同士で井上尚弥とバンタム級の統一、頂上決戦だと。
しかし、ジョンリエル・カシメロのドーピング疑惑と陣営の態度にドネアは対戦をキャンセル
8月14日は、元から決まっていた
ジョンリエル・カシメロVSギジェルモ・リゴンドー
でリスケジュールされた。
ややこしいが、ドネアが絡んでこなければ元に戻っただけなのでシンプルだ。軽量級では金を生むドネアがわがままで割り込んだのか、ビジネスだったのか、ドネアは選択肢があるが、ギジェルモ・リゴンドーには何もない・・・
そんな黄昏四面楚歌のリゴンドーは、ミステリアスなメッセージを残した。
「私たちは期待のレベルまで上昇するのではなく、トレーニングのレベルまで低下します」
8月14日
ジョンリエル・カシメロVSギジェルモ・リゴンドー
これでいい。これがいい。
アンダーカードの
ゲイリー・アントニオ・ラッセルVSエマニュエル・ロドリゲス
をなくさないためにも。
かつてSバンタム級の絶対王者にして、ノニト・ドネアにも勝っているリゴンドーを推すが、もう40歳。ホームなき負けたら終わりの亡命者、リゴンドーは強くてつまらないから人気がなく試合枯れが続く。井上尚弥と変わらぬプロキャリア(試合数)しかない。
ワシル・ロマチェンコとの五輪2度金メダル同士の対戦で体格差を痛感したリゴンドーはSバンタムのベルトまではく奪され、バンタム級まで下げてきた。体格からはここが本来の適正なのだ。人気のなさを解消しようと、柄にない打ち合いを選択し、ここ数戦の出来はイマイチだ。本当はパンチャーなので打ち合いも強いが、打たれなれていないから脆い面もある。
フリオ・セハとド付き合いを演じ、リボリオ・ソリスを圧倒しようとするも、よもやの抵抗を受けて塩に戻すなど危ういシーンをみせている。日本で天笠と戦った試合も、ポカをしたな。
私は世間で嫌われている、ジョンリエル・カシメロがLフライの頃から好きだし、立派なキャリアだと尊敬している。(ドーピングがなければの話)しかし今回ばかりは、黄昏四面楚歌のギジェルモ・リゴンドーを応援せざるをえない。
ノニト・ドネアはドーピング疑惑もあり無鉄砲で荒くれ、ギャラの少ないカシメロなんかを経由するより、最高の名誉とギャラを保証する井上尚弥と戦いたいのだ。
リゴンドーは今そこにあるチャンスを掴むしかない。選ぶ、選ばれる権利すらない。バンタムに下げてきたのは、いつか井上尚弥という金のスターと戦いたいからだろう。天笠戦で待遇のよかった日本で再び、一桁違うギャラを掴みたいのだろう。
ジョンリエル・カシメロVSギジェルモ・リゴンドー
両者共に、負けたら大きな後退だ。特に40歳試合枯れのリゴンドーにとっては引退の2文字もチラつく大事な試合となる。最近のリゴンドーのスタイル、内容をみると有利とも言えず、カシメロの得体の知れないパワー突破は危険なムードが漂う。
それでも今回ばかりは、自身のスキルをフル動員し、決して無茶な打ち合いをせず、カシメロを涼しく空転させ続けて欲しい、勝ちに徹して欲しい。判定でいいので勝利を掴んで次につなげて欲しい。
誰よりも偉大なるアマチュアのトップファイターであり、ノニト・ドネアにも勝っている、リゴンドーには頂上決戦に絡む資格がある。
しかしもう40歳、勝利、全ては彼自身の戦い方にかかっている。
やれば、こんなに傑出したエキサイティングなファイターなんだ。
環境、境遇ゆえに、プロでは冷遇され続けてきたに過ぎない。
頑張れ、40歳、キューバの最高傑作、ジャッカルよ。