井上尚弥の進む道。無敗の王者しか眼中にないが、勝者が次期指名挑戦者になるのだから無視できない。あれほど問題を起こしたルイス・ネリがこの階級、この位置にいては、試合実現もやぶさかではないのか。
ルイス・ネリVSアザト・ホバニシャン
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | |
ネリ | 10 | 10 | 10 | 9 | 10 | 10 | 9 | 10 | 9 | 10 | 97 |
ホバニ | 9 | 9 | 9 | 10 | 9 | 9 | 10 | 9 | 10 | 8 | 92 |
1R
慎重な両者だがスリップでネリが倒れてからネリがうちに行く。
大振りで迫力あるネリのパンチだがホバニシャンは固いブロックで凌ぐ。
ネリが攻めるもホバニシャンがコンパクトに返す。
終盤はホバニシャンが前に出る。
ネリ10-9
2R
初回から結構バチバチ。
ホバニシャンがプレスをかけてネリがスウェーしながら対処する。
ネリがイラついているのでホバニシャンペースか。
しかし下がりながらのネリの手数が多く
ホバニシャンはガードに忙しい。
まだネリのボディを打てていない。
ややオーバーペースだが
ネリ10-9
やはりネリのパワーが上のよう。
3R
ネリが連打で会場を盛り上げるが
ペースとしては怪しい。フィゲロア戦と同じ匂いがする。
ホバニシャンは粘り強いがもっとネリのボディを打ちたい。
顔面狙いになっている。
有効打ではネリの派手なパンチが上回ったが、後半ネリは消耗しそう。
ホバニシャンのプレスが効いてきそうだ。
ネリ10-9
4R
ホバニシャンのプレスが強いので
ネリが手を出して応戦するという感じで
押し込んでいるのはホバニシャン。
時折ネリの顔面を跳ね上げる。
しかし上手いのはネリで、時折いいパンチを返す。
打ち合いの消耗戦になりそうで、そこに耐えた方が勝ちそうだ。
ネリはホバニシャンのファイトに巻き込まれている。
ホバニシャン10-9
5R
ホバニシャンのプレスをネリが捌きながら応戦している。
ホバニシャン目の下をカットしており、マウスピースも落としたり被弾のダメージはある。
ネリはL字やボディワークでダメージを逃がしながら打って来いとアピール
打たれ方、ダメージはホバニシャンの方が悪いか。
後半はネリが畳みかける。
ホバニシャンは屈しないがかなり打ち込まれた。
ネリ10-9
6R
ネリはオーバーペースで後半落ちそうだが、やはり上手くて強い。
ホバニシャンはネリのボディを削りたい。
ネリは髭でよくわからないが、顔面の被弾はスリッピングなどで上手く逃がしているのかもしれない。
どちらが倒れてもおかしくないようなパンチを入れているが
打たれ方は愚直なホバニシャンにやや分が悪い。
打たれているようで、ネリはコーナーでも座らない。
ネリ10-9
7R
ポイントはネリだが勝負の行方はわからない。
根性のうち比べになっている。
ネリの方がフットワークやボディワークを使い、上手くたちまわっている。
ホバニシャンは愚直。
ネリが小さいのでホバニシャンは熱くなると顔面を打つが、ボディを狙いたい。
ネリの顔面にも当たるのだが、効かせられない。
ホバニシャン10-9
8R
互角の打ち合いだが、ホバニシャンの方が打たれ方が悪い。
ネリもかなり消耗しているが、効いた様子はない。
やや静かなラウンドとなり両者のダメージが少し回復したかな。
ネリのスキルが上回ったが、ホバニシャンは左フックをネリに何度も打ち返す。
ネリ10-9
9R
ポイントはネリだがここからが勝負
ネリは顔面に左フックを結構食っている。
ホバニシャンは満身創痍だが、タフネスとしつこさが武器。
この回は積極的に攻めるホバニシャンに応戦しているだけのネリという展開。
ホバニシャンがパンチを上下に散らす。
やはりボディを打つとネリの足が止まる。
後半は意地の打ち合いだが、ホバニシャンの方が軸がしっかりしており
ネリはやや足元がおぼつかない。
ホバニシャン10-9
10R
ポイントではネリが逃げ切るだろうがホバニシャンに逆転のチャンスあり。
ネリももうフラフラ。
ホバニシャンがイケイケで攻めるも、ネリの有効打が直撃する。
ホバニシャンはネリのボディを徹底すれば倒せそうだが
いいパンチを食ってしまう。
ホバニシャンの方が気持ちが入っており、食っても精神力で耐え、打ち続ける。
しかしやはりネリがいいパンチを返し、ついにホバニシャンが笑いながら、効いたよとダウン。
どちらもフラフラなんだが。
最後にネリが決めにかかる。
ネリ10-8
11R
凄まじい試合。
ネリもホバニシャンも倒れそう。
ネリが決めに来るがホバニシャンも応戦。
ホバニシャンには逆転KOが必要だ。
ネリはホバニシャンの攻撃に耐えて反撃のまとめ打ち。
その反撃を受けて止まったところを立ったままレフリーがストップ
ホバニシャンのタフネスに大いに手を焼いたネリだが
上手さと打たれ強さを示した。
ネリは柔らかく、力を抜いた状態で攻防が出来る。
ホバニシャンはフィジカルタフネスで愚直に戦った。
被弾の仕方、ダメージの残り方に差があった。
しかしもうちょっとネリのボディを狙っていれば、ホバニシャンは勝てただろう。
今日のネリがナチュラルならば、やはり強いファイターだ。
ルイス・ネリ 33勝25KO1敗、井上尚弥がSバンタムで体格差が取り上げられるのであれば、この男も下から上げてきて、井上と同じかもっと身長は低い。
Sバンタム初戦は冴えない判定、ブランドン・フィゲロアのプレスとボディーに初黒星を喫し、カルロス・カストロに判定勝利とバンタム時代のような倒しっぷりは鳴りを潜めた。
それでも、この階級でもパワー優位で、上体柔らかく、なかなかのテクニシャンぶりをみせている。フィゲロアに倒されたのものの、序盤はネリが優勢だった。カストロを凌駕し強い部類であることは間違いない。
しかしパンチの振りが大きく、押し込まれると芸がなく、露骨に嫌がり、ボディが弱い姿は露呈した。上手くてパワーもあるサウスポーだが死角がないわけではない。
アザト・ホバニシャン 21勝17KO3敗はアルメニア発アメリカのファイター。戦績でネリに見劣りし、元王者のレイ・バルガスに負けた過去があるがファイトスタイルはネリとかみ合うだろう。プレス型のファイターでフィジカル、精神力が強く重厚なプレッシャーが武器だ。過去にロニー・リオスをノックアウトしたこともある。
井上尚弥とのスパーリングでも身体が大きく、プレスをかけて悪くはみえなかった。
数値ではネリ165センチ、ホバニシャン168センチとあるが、もっと差があるようにみえる。
フィゲロア戦のイメージ、自身のスタイルからして、プレスをかけてネリのボディを執拗に狙ってくるだろう。ネリの柔らかなボクシングとパワフルなパンチをどこまで無効化して潰せるかがホバニシャンの勝機といえる。
細かなスキルとWBCの優遇という点で判定、ポイント勝負はネリが有利とみるが、ネリがフィゲロア戦の教訓を生かして変わった姿をみせるのかやっぱりプレス&ボディに屈するのかが焦点だろう。
リー・ウッドVSマウリシオ・ララ
結果
明日、起きたころには試合は終わってるだろう。混迷のフェザー級を象徴するまだ無名といえる両者だが、熱戦が期待できる。
王者のリー・ウッド26勝16KO2敗は中国の徐を破って王者となるも、アイルランドのアイドル、マイケル・コンランにその座を奪われるためのアンダードッグだったが逆転KOで嚙みついた。コンランが失神しリングから落ちるほどのインパクトある幕切れ。
ウッドはかつてジェイミー・マクドネル対策として井上尚弥のスパーリングパートナーを務めたことがあり、のちに井上がパンチが強かったと語っていた。ウッド本人は双子の兄弟、ギャビンに負けた過去を持つ。根性、粘り強さは一流だが、スキルセットは盤石とはいえない、まだ新米の王者。
ここに勝てば、英国限定ビッグマッチ
VSジョシュ・ウォーリントン
VSマイケル・コンラン2
が待っているだけに意地でも落とせない。
マウリシオ・ララ 25勝18KO2敗1分 というのがよくわからないメキシカンだ。
30勝無敗の王者ジョシュ・ウォーリントンにはじめて土をつけ王者になっているのかとおもいきやそうではなく、再戦はカットで決着つかず、その後2戦をKO勝ちで掴んだチャンスになる。
ララは恐らくウォーリントンの咬ませ犬的な相手として英国に呼ばれ、アップセットを起こした。戦績にも傷がある。しかし、メキシカンに多いプロの叩き上げのような凶暴さ、荒っぽさ、タフネスを持っており、そのレベルは無敗のウォーリントンをも既に凌駕していた。
スピードもスキルも際立ったものはないが、倒し屋の嗅覚、野犬のような獰猛さが際立っており、KOの匂いをプンプンさせる荒くれ者だ。スタイルは全く違うがエドウィン・バレロを見た時のような既視感を覚えた。
ララにとっては敵地だが、既に次元の違う境地にいっちゃっているかもしれない。