無印の男/バフラム・ムルタザリエフVSティム・チュー

昨日はこんな試合がありました。ライブ観戦出来ませんでしたが、恐らくオッズでは挑戦者のティム・チューが有利だったのではないでしょうか?

ティム・チューはセバスチャン・フンドラにアップセットで敗れましたが、フンドラが急遽の代役だったこと、大量の流血に悩まされた試合だったこともあり、親父の血を継ぐ本物のスラッガーと評価されていました。スター候補だからこそ、即世界戦が組まれました。

バフラム・ムルタザリエフは何年も前に個人的に第二のセルゲイ・コバレフと自分は表現していましたが、ロシアの無敗で無骨でパワーがある得体のしれない男、コバレフの弟分的な立場で活動していたからそう言っていただけで実力はやや不明でした。元々王者から無視、敬遠される存在、コロナ禍やロシアの戦争参加などで、試合枯れとなり忘れかけたプロスペクトでした。顔はどっちかといえばコバレフよりはベテルビエフ寄りですな。

王座の戴冠も古豪のジャック・クルカイとの決定戦で地味なものでした。(試合はエキサイティングでした)

それが、この結果です。

ティム・チューがフィジカル、攻撃偏重のシンプルなスタイルすぎ、ディフェンスが疎か、ブロックやパリングと距離感のみで頭をあまり動かさないのが難点か、シンプルな打ち合いの中のカウンターの左フック、この最初のダウンでほぼ決まってしまいました。

3ノックダウン制なら2回で終わり、何度もチューを立たせて続行させたレフリーでしたが、死に体となったチューは回復することなく3回にもダウンを追加し、それでも止めないレフリーをセコンドがタオルで試合は決まりました。いかにレフリーや(ジャッジ)がチューに勝たせたかったがわかります。

フィジカル、パワー自慢の男が、同じタイプに返り討ちされたという印象で、フンドラ戦の敗北よりもダメージの残る、完敗となりました。

ティム・チューが、バージル・オルティスJrでも同じ残像を残しそうなインパクトでした。

Sウェルターはやはりゴツイ。

テレンス・クロフォードはイスラエル・マドリモフに大苦戦しましたし
バージル・オルティスJrもセルヒー・ボハチェクにギリギリの勝利
セバスチャン・フンドラも今はまだとても安定王者とはいえず
一番無名で地味なバフラム・ムルタザリエフはこの試合で声明を出しました。

ウェルター級王者のジャロン・エニスがここに参戦してくれれば、全階級屈指のエキサイティングな階級になりそうです。

今回はムルタザリエフのいいパンチがチューより先に当たっただけで、再び戦えばどうなるかわからない実力差かなとはおもいますしムルタザリエフに器用さはあまり感じませんが、この男の拳は本物でした。

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