この試合だけLiveで観れなかったので後日鑑賞。アップセットと言われるのは仕方ないが、試合自体は高度な技術戦であり、タパレスが別人のように上手くなったなという印象です。
アフマダリエフは骨折明けで試合は久々でしたがコンディションは悪くないように見えます。よくまとまっているし、相変わらずパンチもフィジカルも強い。久々なので序盤は飛ばさず、様子見だったのがまずかった。わずかな有効打の印象で序盤のポイントを全部タパレスに持っていかれた。
対するタパレスは、あれ、こんなに上手くて丁寧な選手だったっけというくらいテクニカルになっていました。必殺の左はぴったりガードでコンパクトに収納、右でコントロールするのが格段に上手くなっている。大振りも減って動きがキビキビしている。
そして何よりもディフェンス、上体をよく振り、フェリーシェルスタイルでのカバーリング、スリッピング、ダッキングが抜群に上手くなっています。これだけ丁寧でジャブを起点に遠距離で戦え、破壊的なパンチを持っているので相手はやりにくいだろう。
アフマダリエフのエンジンがかかるのが遅すぎた、あるいは最後までエンジンがかからなかった展開ですが、これはタパレスが予想以上に上手い、強かったからでしょう。一部で消化不良で退屈な試合だったという声も聞かれましたが、私的にはかなり高度な技術戦にみえました。
互いが自分のコピーかのごとき、低身長のサウスポーで一撃必殺の強打の持ち主ですので、かみ合わなかったというかかみ合い過ぎたというべきか、鏡と戦っているようで、印象的な単発ヒットを多く奪ったタパレスの勝利で問題ないと映りました。
多くの日本人には、アフマダリエフ大したことない、タパレスじゃがっかり、フルトンの方が全然強いと言われるのでしょうが、個人的にはタパレスの急成長に驚かされました。タパレスはまだ31歳で、40戦しており、敗北は昔のものと岩佐に喫したものしかありません。
かなり上手くなりましたし、パワーは間違いなくフルトンの比ではありません。
このパワーです。
37勝19KOとKO率は目立ちませんが、KOのインパクトが強く、大森の顎を破壊したり、相手の意識を刈り取るような豪快なKOを何度も目撃しています。間違いなく破壊的です。勅使河原戦のタパレスと比較してもアフマダリエフ戦はかなりテクニカルに成長してました。(特にディフェンス)
両者はよく似て拮抗しており、再戦すればアフマダリエフが雪辱しそうな地力も感じますが、判定決着であっても両者の確かなスキルとパワーというのは十分に感じました。
何より不気味なのはタパレスの技術的な成長です。パワーは十分なので、ますますテクニカルになり、大振りフックに頼らなくなり、もっと強くなりそうです。
163センチとかなり小さいし、クリンチ等は下手そうだし、井上尚弥の脅威とまではおもいませんが、かなりハイレベルで怖い存在になったなと感じました。
カシメロと同じくらいのパワーでカシメロより真っ当にテクニカルじゃないでしょうか?
オラスクアガをチェックした時も感じましたが、今のマーロン・タパレスはかなりヤバいでしょ。井上という前に誰かと戦うのをみて、その確認をしてみたいものです。
フィリピン恐るべしですが、もういいかげん、フィリピンはええよ。