どちらの勝ちもありえる際どい試合だったにも関わらず、ニエテスのコメントは強気だな。パリクテ戦が引き分けで、井岡戦が勝ちになる。つくづく勝負は時の運、ジャッジ次第である。
前回パリクテ戦で勝ち同然を引き分けにされたニエテスへの償いを少し感じてしまった。
こういう事態にならないためにも、ジャッジに委ねない、ノックアウト、あるいは誰がみてもわかるはっきりとした差を出していかねばならない。それが昨年強く感じたボクシングに対する不安と決意である。
マカオで最後の鐘が鳴らされた時、ドニー・ニエテスのチームは、どちらが勝者であるか関係なく”アハス(コブラ)”ニエテスを担ぎ上げて祝福した。対する井岡はコーナーで静かにジャッジの集計を待っていた。
そのボディランゲージは、スプリットデシジョンのコールが響くまで続いた。両者が各々コールされ、最後の一人の集計を待っている間、ニエテスは腰に手をやり、井岡は祈るように両手を合わせていた。
フィリピンの小さな町出身の36歳が最後にコールされ、ニエテスはマニー・パッキャオ、ノニト・ドネアに継ぐフィリピンの4階級王者になった。
ニエテス
「自分がリードしているとはおもっていたけど、コールされて驚きました。」ビラモア(トレーナー)
「井岡は(態度からして)試合後に負けたとおもっていたんじゃないかな。」ニエテスと彼のチームはフィリピンのセブ島に帰国するための香港国際空港で試合を振り返った。試合序盤はニエテスのショートカウンターが井岡に有効だったが、井岡は4ラウンドから足を使って動き、ニエテスとの打ち合いを避けた。
ニエテス
「井岡のスタイルが途中から変わった。私のパンチが効いたからだろう。それは難しいことではなかった。想定済みだったからね。今後はベルトを統一したい。36歳だけど24歳のように感じています。」トレーナーによると第一候補はタイのKOパンチャー、シーサケット・ソールンビサイだという。1月31日のアストン・パリクテVSホセ・マルチネスの結果を受けて、パリクテと再戦する可能性もあります。
4階級制覇を成し遂げたニエテスは将来のボクシング国際殿堂入りの確率を高める偉業を成し遂げた。ニエテス自身もいつの日か殿堂入りすることを望んでいる。
しかしそれがカナストータへの鍵(ボクシング国際殿堂博物館)といえるかどうかは、パッキャオやドネアが引退するまではわからないと明言を避けた。
ドネア
「組織がどう判断するかです。私を評価してくれれば光栄ですが・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=AwSflPudqxA
[st-card id=49998 ]個人採点ではドロー、もっともいいパンチは11ラウンド、井岡の右2発であったとおもう。
それでも試合全般を通じ、老獪でクールなスキルとパンチの鋭さをみせたニエテス、細かなボクシングの質が評価されたのだろうか。内山や大橋会長のいう、パワー、パンチ力の差
そのどれもが当てはまるような結果であった。
2018年最後のファイトがかなり高度な技術戦で、勝敗を超えて堪能できる素晴らしさだったが、両者ともにスーパーフライ級ではパワーに欠ける。他の王者(シーサケットやアンカハス)とはタイプが違う。それが今後のスーパーフライ級戦線でどう作用していくか興味深い。
前戦、、パリクテのサイズとパワーの前に前半デイフェンス以外ほとんど何もできなかったニエテス。井岡が後半用いたフットワークにも手を焼いて強引なところがみえた。
職人的技巧派なのは当然として、ニエテスや同じく36歳のムザラネのようなベテランには遠距離とフットワーク
これが有効なんじゃないかな。打ち合いは滅法強いけど、追い足が足りない。疲れてしまう年齢を感じます。
打ち合うならやはりシーサケットや井上のような破格のパンチやエストラーダのようなゾンビのようなタフネスが必要で、アローヨを完璧に倒しても元気に立ってきたように、井岡にはそれが足りない。
それを差し引いても、スーパーフライのトップ戦線で十分、堂々やっていけるスキルを持ったハイレベルな両者でした。トム・ロフラーも、「勝敗など気にしない。井岡の勝ちという声も多い」
と言っていました。
負けても全然後退にはならない、素晴らしい試合。
あとはジャッジに委ねない、決定力、説得力。