アンディ・ルイスがジョシュアに勝って与えたインパクトは我々日本人には計り知れません。海外ボクシングウォッチャーの自分には毎日多くのこの試合に関するニュースが目に止まりますが、とても全て読む気になれません。今も昔もアメリカは何とか追えてもイギリスのボクシング事情までは目が届かないのであります。日本がそうであるように、イギリス、ヨーロッパのボクシングも、アメリカデビューし結果を残した者だけが本物中の本物であるといえるだろう。
エリスランディ・ララと引き分けたブライアン・カスターニョが物議を醸した初戦を経てミシェル・ソロと再戦するが(ほとんどの人が知らないだろうが)、カスターニョがあれほどやれるならソロだって米国スーパーウェルターの主流に食い込めそうだ。
かつてのリッキー・ハットンのように本場にグイグイ食い込んでいったヨーロピアンは再び現れるだろうか
アンソニー・ジョシュアの牙城が崩れた今、個人的に密かに注目しているのがこの試合
横綱ジョシュアとホワイトを除く大関、次世代のトップツーによる激突です。
上位ランカーやリオ五輪組などと絡んでみないとどこまで強いのか本当の意味ではわからないのですが、動きを観る限りこの2人、特に21歳のダニエル・デュボアはジョシュアよりいいんじゃないか、今のヘビー級トップよりいいんじゃないかとおもえるところもあったりして・・・
ダニエル・デュボア
Daniel Dubois
11勝10KO
アマチュア69勝6敗
身長196センチ
リーチ198センチ
21歳
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ジョシュア(ロンドン金)ジョイス(リオ銀)ときて東京五輪代表候補だったがプロ転向。
https://www.youtube.com/watch?v=7IgGKTfL4Bk
特別速い訳でも一発の威力が凄まじいわけでもないが、積極的でよく手が出るし右も左もボディ打ちも上手い。総合的なまとまりがある。この身体と筋肉を上手く機能させる若さと身体能力が備わっており、ジョシュアのような硬さや脆さがない。ここまで濃密に攻められるとほとんどKO勝負となるのはわかる。
ネイサン・ゴーマン
Nathan Gorman
16勝11KO
身長191センチ
リーチ185センチ
22歳
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無敗のベアナックルファイターバートリー・ゴーマン、「ジプシーの王」の大甥という。
子供の頃から巨漢で11歳で70キロ、15歳で95キロあった。アマでは11勝の記録しかないが世界ユース選手権の準決勝までいき、顎の怪我で棄権した。
キャラとしてはこちらの方が人気があり、リッキー・ハットンが指導し今回自信を持って送り出す大器。アンディ・ルイスに倣って今はポッチャリアンコ型が流行りなのだとしたらこっちが主役だろう。ルイスと同じく”動けるデブ”でコンビネーションが速い。上下の打ち分け、フットワークもいい。若さの成せる技だろう。デュボアよりさらに一発ではなく連打で倒すタイプで、パワーでは劣るがより柔軟なのはこちらかもしれない。見た目に反しホンモノだ。
両者に感じるのは若さ、積極性、速さだ。190センチ台でこれだけ速く動ける者は30を過ぎるとなかなかいない。ヘビー級は比較的高齢てもいける階級で、最近は彼らより大きく破壊的、硬質なイメージの王者が頂点に君臨してきたが、これくらい躍動感に満ちた方が面白いし可能性を感じる。タイソン・フューリーのような逃げもない。
190センチ台と決して小さくはないが、大きすぎず、固すぎず、若く躍動感のある王者の世代交代がまもなくみられるだろう。マイク・タイソンの頃のように。
ちなみにローカル王座は多数保持している両者ですがこの試合は英国ヘビー級王座決定戦。
素晴らしい組み合わせ。