我らが伊藤雅雪がWBO王座に君臨するスーパーフェザー級の世界ランクについては何度も書いてきた。アンドリュー・カンシオのアップセット以外、大きな変化はないだろう。
久々の登場となったジェルボンタ・デービス、相手が3週間前に試合をしたばかりの階級下のウーゴ・ルイスでは、推し量れない面もあれど、あの勝ちっぷりはヤバかった。強気なルイスはどこへ行った?手が出なかったのではなく、目の前のデービスのオーラに出せなかったのだろう。
そんな、ジェルボンタ・デービスを熱く語るために書いたのではありません。最近ゴージャスな試合を観まくって観戦疲れしている私が個人的に好きになった選手、立派な王者なんですが、微妙といってもいい立ち位置にいる
ミゲル・ベルチェルト
について、書いてみたいなぁと昨晩おもったからであります。昨晩ふと。
ミゲル・ベルチェルト
35勝31KO1敗
三浦の挑戦を退けた憎きメキシカン。
王者になる前の試合、その後の試合を観ても、基本的には熱く、打ち合い大好きな超攻撃型だが、今にしておもえば三浦戦だけ違ってた。三浦の豪打に怯えてあからさまなアウトボクサーだった。あの日だけ・・・
三浦をクリアしてからは、いつものイケイケベルチェルト、強打の嵐で得意のKOを連発している。大きな試合の影に隠れていたが、昨年のライバル対決、ミゲル対決は個人的2018ベストバウドといえる程に痛快で、あの試合でベルチェルトが好きになりました・・・というのに昨晩気づいたのだ。
試合時はミゲル・ローマンを応援していた。
三浦が破った雑草王子、オルランド・サリドを継承する小さなブルファイターに一矢報いてもらいたいと願っていた。
試合はお世辞にもハイレベルとはいえぬもので、メキシカンらしい意地と意地のぶつかり合い。大きく、連打が止まらないベルチェルト特有の先制攻撃に初回を失敗するも、タフなキャリアのローマンが正面突破で逆襲していく。おもえば三浦もベルチェルトの初回にやられた。ベルチェルトというのは普通の選手より、いつもより連打が続くのだ。彼の教科書にワンツーはない。ワンツースリーフォーまでが叩き込まれている。
確実にベルチェルトの決定力やしつこさが少し上をいきつつ、ローマンの逆襲も効果的で、双方ボコスカパンチを食うシーソーゲーム。世界戦というより、どこか子供の意地のケンカみたいな様相の中、やっぱり最後を締めたのはベルチェルトのしつこい連打、もう終わりにしてよというところからさらに打ち込んでくる厄介なスタイルだった。
そろそろ安定王者の域に来たベルチェルトは、フランシスコ・バルガスとのリマッチが予定されていたが、怪我で延期か中止だそう。ベルチェルトにはメキシコ内での試合の他、選択肢がたくさんあり、伊藤も対戦を望んでいる。
たぶんKO率通り、パンチが一々強いのだろう。
それでいて10連打くらい平気でかますし、下がっても走りながらストレートを打ってくるほどしつこいので、どんな相手も辛いだろう。左のダブル、トリプルはこの男独特の武器です。
それでもお茶目な欠点は色々あり、棒立ち、直線的、カウンターをよく貰うなど、付け入る隙も結構ある。ベルチェルトがジェルボンタが君臨するこの階級を統一するとはおもっていない。
なのになんで好きなのか、試合が面白いからだ。
連打が実にしつこい。左のダブル、トリプルはあるが、たいていは左右交互にわかりやすく連打してくる。そろそろ止まるだろ、辞めるだろというところでさらに連打してくる。そこに、すさまじい攻撃力と防御の隙が同居していてチャーミングなのだ。
三浦のようなメキシカンキラー、漫画のような怖い相手には違うファイトもみせるベルチェルトだが、基本的にはこのイケイケドンドン、止まらない連打で面白い試合をみせ続けて欲しいとおもう。格下相手だと圧勝が多く序盤で決まり物足りなさも残るが、彼がイケイケである限り試合は絶対単純で面白い。
そして、いぶし銀のアンドリュー・カンシオやウィテカーになれんのかテビン・ファーマーや共産圏のミステリアスな実力者がいるこの階級の中で、ベルチェルトと同じかそれ以上に不気味な
[st-card id=39489 ]こんな若き怪物も控えている。
王者に先駆けて、GBPと契約、アメリカデビューが決まっているこの大器の強さが実はまだよくわからない。のっそりして、天才の煌めきが何もないようでいて圧勝続き・・・
ジェルボンタ・デービス一強だけじゃない、ノンアマのパワーレスから躍進した伊藤雅雪の止まらぬ進化も含め、この階級は面白さが詰まっている。
第2章と書いたのは、日本人の立場で内山、三浦時代が完全に終わったからです。
ベルチェルトの魅力、私にしか伝わらないかもしれませんが、
https://www.youtube.com/watch?v=g-lJfb-grDU
この試合に凝縮されていますので、お暇な時にでもどうぞ・・・