世紀のビッグマッチ、無敗の4階級制覇王者39勝30KOのマイキー・ガルシアについに黒星がついた。最も落胆しているのはマイキー本人であり、家族だろう。しかしこの家族は違っていた。
24時間も経たないうちに、ボクシング人生で最も困難な事態に遭遇したにも関わらず、ロベルト・ガルシアは職場に復帰した。飛行機の折り畳みシートに腕を傾け少し休んで、外科医が患者を休みなく診察するように。
日曜日、ロベルト・ガルシアはテキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで弟のマイキーがエロール・スペンスに敗れたセコンドを務めた後、ニューヨークのマジソンスクエアガーデンのHULU劇場に直行し、再びセコンドを務めた。
聖パトリックデーのマイケル・コンランのアンダーカードで、教え子のジョセフ・アドルノら3人のセコンドを務め、皆勝利に導いた。
ロベルトは午前6時のフライトでダラスを出発し、飛行機で11時にニューヨークに到着、11時30分にホテルに到着、シャワーを浴びて歩いて13時に会場に到着した。その間、コーヒーを飲み、2時間眠っただけ。前夜6試合のセコンドをテキサスで務めた。なんて過酷なスケジュールだ。
ロベルト・ガルシア
「簡単な事です。この仕事が心の底から好きなんだ。前夜に何が起きても俺の選手たちを失望させるわけにはいかない。この仕事が大好きで狂ったようなスケジュールで世界中を回る。でもこれしか俺には出来ないんだ。正直にいえば昨晩のマイキーのファイトが彼にとって、ボクシングキャリアにおいてどんなに過酷で困難なものかわかっている。でも俺の弟は一流のビジネスマンなんだ。敗北はボクサーを絶望させる。でもマイキーは違う。実は昨晩の試合で親父(エドゥアルド・ガルシア)は後半棄権しろと言ったんだ。でもマイキーは止めるな、俺はまだやれる、もう一ラウンドやれせてくれと言った。マイキーがどんな奴だかわかっているんだ。
俺たちは恐らく世界ナンバーワンのファイターと12ラウンド戦った。マイキーは試合後病院にはいかなかった。打たれたけど深刻なダメージを負わなかったんだ。一発、ボディがすごく効いたとは言っていたけどね。」
ロベルトは深夜2時にアーリントンのホテルに戻り、シャワーを浴びて朝6時のフライトで旅立った。
ロベルト
「俺の選手に失望させたくないんだ。セコンドにいることが特別なんだ。もし家に帰れ、必要ないといわれてもここに来るだろうね。俺の選手達は俺の子供であり家族なんだ。」アンダーソン博士(ロベルトが現役時代のカットマン)
「ロベルトは驚異的な人物だ。ロベルトもガルシアファミリーもよく知ってるから昨晩の敗北は辛かった。誰でも仲間の敗北をみるのは辛い。しかもマイキーはロベルトの弟というだけでなく生徒でもある。かけがえのない存在だ。ロベルトは誠実で誰に対しても真摯に対応するんだ。マイキーが負けるのをみるのは辛かった。階級が困難だったしスペンスはとても強かった。スペンスには誰も勝てないだろう。でもマイキーもロベルトも特別な奴だったろ、ガルシアファミリーは善良なんだ。」翌日、ニューヨークのHULU劇場で勝利し12勝10KOとしたジョセフ・アドルノはこう言った。
アドルノ
「ロベルトは試合にもボクサーにもすごく真剣に専念してくれる。彼は俺たちを特別な気持ちにしてくれる。とてもロベルトらしいね、マイキーの敗北の後でもすぐに俺のセコンドに来てくれたよ。」これが世界的なトレーナーがしていることだ。どんな過酷な状況でもロベルトはいつも選手の傍らにいる。
すごいですね。
海外の地理と時差等を正確に把握しているわけではないですが、最近では英国のユーバンクJrとデゲールの試合の後のディレルVSイユリディンだったっけな、両試合ともにジミー・レノンJrがリングアナをやっていたような気がします。(すみません、不鮮明です。)同日です。一体どうなっとるんじゃ?とおもいました。すぐに試合に集中したのでよく覚えておりませんが・・・
こんな美談の裏では、先日のキース・サーマンVSホセシト・ロペスの試合、ロペスのセコンドにロベルトはいず、娘の誕生会だか結婚式に出席、なんて話も聞きましたが・・・
まぁ、よくわかりませんが、いつか日本人がロベルト・ガルシアやフレディ・ローチの選手になって欲しいなぁとおもいます。それだけで強くなるわけじゃないでしょうが、やっぱりすごい、特別なトレーナーであるという気持ちは変わりません。環境も・・・
もうおぼろげですが、ロベルト・ガルシア、現役時代もいい王者でした。マイキーと同じでオーソドックスな完成度の高い王者でしたが、サイズ感もマイキーと同じでやや小柄でした。
そんなガルシア、なぜか日本でプロデビュー、その後3試合日本で戦っているんです。なんでやねん・・・