日本人にはやや遠い、英国人同士の試合ですが、やっと決まった組み合わせです。両者のキャリアもなかなかまともなのではないでしょうか。世界戦にふさわしい王者VS指名挑戦者の試合です。
セルビー、フランプトンと2戦連続アップセットで結果を出してきたウォーリントンはアマチュアのキャリアもあるようですが、今時珍しいパワーレスだけど根性のラッシャーという日本人的、昭和的ファイトでここまで来ました。
対するガラハドは天才肌にみえますが、アマではウォーリントンに負けているんだな。なかなか難解なボクサーです。
英国のジョシュ・ウォーリントンは6月15日、リーズアリーナでIBFフェザー級の2度目の防衛戦に指名挑戦者キッド・ガラハドを迎える。
地元のウォーリントン(28勝6KO)はリー・セルビーから王座を奪い、元2階級王者のカール・フランプトンを下すアップセットを起こした。
ウォーリントン
「みんな急に俺がフェザー級を制圧できると言い出した。その通りにしてやろうじゃないか、でも今は100%この試合に集中するよ。アマチュアの頃からバリー(ガラハド)を知ってるけど、当時はまともな奴だった。でもここ何年かで変わってしまったね。スーパーバンタム級じゃあいい選手かもしれないけどフェザー級では何もしてないじゃないか。俺に対する嫌がらせや挑発で完全に敬意を失ったね。俺はフェザー級を統一したい。今いい立ち位置にいる。今回はガラガドを相手にするけど次は他団体の王者とやりたいね。」
ガラハド(26勝15KO)はカタール生まれだが、人生のほとんどをシェフィールドで過ごしてきた。有名なブレンダン・イングルの元でトレーニングを積み、今は息子のドミニクが彼のヘッドトレーナーだ。
ガラハド
「ジョシュの大きな強みは人々が皆彼を過小評価している事だ。ジョシュは強い。タフで頑丈でメンタルも強い。でも俺にはスキルとメンタルタフネスがあるから彼に勝てる。ジョシュとはアマチュア時代に戦ったことがあってはっきりと俺が負けたよ。でも再び戦うことになるとおもっていたんだ。これはプロボクシングだ。どうして俺がジョシュに勝てるかと言えば、精神的に次元が違うレベルにいるからだ。英国で最高のボクシングチームにいるからだ。
ジョシュは深刻なダメージを受けて、親父がタオルを投げるだろうね。6ラウンド、7,8ラウンドくらいかな。」
人気のウォーリントンと日陰の実力者ガラハドの英国決戦ですが、ガラハドにとっては念願の世界戦だろう。フランプトンやクイッグやセルビーの頃はなかなかチャンスに恵まれなかった。そして薬物のサスペンドもあったりした。グレーだ。
過去試合では同胞のケル・ブルックに通じるセンスの良さを感じたが、パワーがあるのかわかりにくい。格下を圧倒しているだけ、カリ・ヤファイみたいなファイターかもという疑問があった。
トカ・カーン・クレーリーとの挑戦者決定戦をみて少し全体像がみえた。距離感が巧みな変則テクニシャンだな、決してパンチャー、倒し屋ではなさそうだ。当たりそうで当たらない距離を作るのが抜群だ。パワーはあるが手打ち、本気で振ってこない、やや当て逃げの職人。
https://www.youtube.com/watch?v=TKOZ7QWl17o
対するウォーリントンは正直ここまで結果を出すとはおもわなかった。ガラハドとは真逆のラッシャーでガンガン前に出て手を出すが、連打の選手であり一発の威力はない。それがこのKO率であり、最近のボクシングでこのKO率では厳しいのに日本の天笠からフランプトンまで攻略してしまった。
典型的な善戦マンで終わるタイプがそこを突き抜けて王者になった。
ガラハドが言うようにメンタルの強さが一番の武器だろう。
フランプトン戦は、クールな技巧で差をみせたいフランプトンに初回から襲い掛かり、応戦せざるをえなくなったフランプトンが打ち合いに応じるもウォーリントンの気迫に負けて有効打を食い、初回から狂ってしまった試合だった。ウォーリントンのラッシュをやり過ごせる、いなそうとおもっていると巻き込まれるようだ。開き直って打ち合いに応じてももうウォーリントンの気迫が上なのだ。
個人的には、変則で職人的技巧を持つガラハドを支持するが、ガラハドはまさにフランプトンがやりたかったスタイル、打ち合ったりせずウォーリントンをいなす、技術で捌こうとするだろう。それで無事でいられるかどうかだ。
「ジョシュの大きな強みは人々が皆彼を過小評価している事」
この言葉は相手をよくわかっている証明であり、ドツボにはまらない賢さの表れだ。
英国とはいえ、熱狂的なファンベースを持つウォーリントンの地元、ガラハドははっきりと差をみせなければ勝てない。議論を呼ぶ判定などはごめんだ。
[st-card id=45325 ] [st-card id=15244 ]