英雄(ヒーロー)/カリ・ヤファイVSローマン・ゴンザレス

敗北、長いレイオフ、私が払った犠牲にはそれなりの価値があったとおもっています。私は再び前進し続け、より多くのチャンスがやって来ると神に誓っています。

https://www.youtube.com/watch?v=yaaOCtD7h6E

ローマン(チョコラティート)ゴンザレスはアナハイムの小さなカフェでひっそりとコーヒーを飲んでいた。
記者たちは近年最も偉大なファイターに気づくことなく、デビン・ヘイニーの取材に夢中だった。

チョコラティートは今週土曜日、テキサス州フリスコで、WBAスーパーフライ級王者、カリ・ヤファイに挑む。この試合は2017年から議論されてきたが、ゴンザレスを取り巻く状況は当時とは異なる。

シーサケット・ソー・ルンビサイに連敗した後にヤファイとの戦いが議論されたが、当時でさえゴンザレスはまだトップレベルの力を備えていると考えられていた。

しかし、その後の怪我による長いレイオフで、チュコラティートは人々から忘れられた。彼が栄華を極めていた時はHBOボクシングの看板選手の一人だったが、今はHBOも存在しない。

今週土曜日は新世代の軽量級のひとりであるフリオ・セサール・マルチネスも出場する。彼ら新世代の台頭により、ローマン・ゴンザレスは過ぎ去った過去の遺物のように扱われる。

ゴンザレスをBサイド(アンダードッグ)として評価するのは忍びないが、今週の戦いではそうなる。実際、彼は挑戦者の一人に過ぎない。

ゴンザレスは過去のリカルド・ロペスやイバン・カルデロンよりも、軽量級に注目と尊厳をもたらした功労者だ。ロペスやカルデロンもその時代のP4Pのリストに登場したが、ゴンザレスはボクシング関係者に認められ、P4Pトップの評価を勝ち取った。

ゴンザレス
「軽量級が認知され、多くの若いファイターがどんどん出てきてチャンスを掴んでいくのがうれしいです。」

軽量級は金にならないという常識を考慮すれば、ゴンザレスは成功者といえる。シーサケットとの2試合で60万ドルを稼ぎ、1994年のマイケル・カルバハルとウンベルト・ゴンザレス以来の大金を獲た。

多くの軽量級選手はたとえトップレベルの力を備えていても決して稼ぐことができない。例えば土曜日にマルチネスと対戦する英国の無敗プロスペクトのジェイ・ハリスは、世界王者の夢を追いかけながらAmazonの倉庫で働き続けている。

マルチネスやハリス、特に対戦相手のヤファイのようなファイターにとって、ゴンザレスは軽量級のファイターがより広く世間から認知され、尊厳を獲得できるという希望のシンボルとなっている。

ヤファイは、ゴンザレスの事を何度も自分のヒーローだと言った。

ゴンザレス
「彼ががそのように言ってくれるのはとても光栄です。しかし試合は別です。リングでは戦争です。」

チョコラティートをヒーローという現役のファイターはヤファイだけではない。ゴンザレスの名前は、好きなファイターを語る時、技術論を語る時、多くの選手の口から頻繁に出てくる。その意味においても、ゴンザレスはプロから高い評価を受けている、もっと稼ぐべきミュージシャンのようなものだ。

テレンス・クロフォードのようなボクサーは打たせない、芸術的なアウトボクシングを志向しているが、ゴンザレスは勇敢に打ち合うファイターなので親近感が湧く。軽量級のファイターたちはまるで兄弟のようだ。その中でもチョコラティートは彼らのリーダー的存在だ。

ゴンザレス
「今までリングで戦ってきた相手はみんな友人だとおもっています。スーパーフライ級ではヤファイ以外のファイターみんなと戦ってきました。それはとても険しく激しい戦争になるでしょう。勝利し統一戦に向かうことで戦争の激しさはさらに増すでしょう。」

ゴンザレスが勝つのはレアケースだ。スーパーフライ級のファイターが30歳を超えて大きな成功を収めた例はほとんどない。そこには生理学的理由があるのかもしれない。偉大な選手も次の若い世代の踏み台になっていった。カオサイ・ギャラクシー、渡辺二郎、文成吉はいずれも敗北し、32歳以下で引退している。(カオサイは勝ったまま引退している)

全盛期のゴンザレスはビデオゲームのファイターのように完璧なテクニック、スピード、ハイパーアクション、高次元のコンビネーションを放つリングのユニコーンだった。

時が過ぎ、対戦相手が大きくなるにつれて、ゴンザレスは傷つき、怪我を抱えるようになった。彼は適正体重に戻そうとはしない。年齢とともに変化した身体構造は変えることが難しいのだ。

2017年以降の長いブランクは、トレーニングのミスに起因しているが、ナイフで膝を切ったことが大きかった。

ゴンザレス
「今までずっと自分でコンディションを整えてきました。だからといってもう慣れているというわけではありません。より一層厳しいトレーニングに励まねばなりません。具体的な計画もなくトレーニングしてしまったから怪我をしたのだとおもいます。しかし、膝を手術したことが、いいリセット、休養になりました。若いほどエネルギーに満ちていることはわかっています。」

チュコラティートにはあとどれくらいのエネルギーが残っているだろうか。永遠の師匠であるアレクシス・アルゲリョ、長年のトレーナーであるアルヌルフォ・オバンドを相次いで亡くした。ゴンザレスはかつてと違い孤独で厳しい戦いを強いられる。

カフェでコーヒーを飲むゴンザレスは朝食を注文しようとしてやめた。

ゴンザレス
「敗北、長いレイオフ、私が払った犠牲にはそれなりの価値があったとおもっています。私は再び前進し続け、より多くのチャンスがやって来ると神に誓っています。」

https://www.youtube.com/watch?v=RqkntIft_Q0

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