三浦の初防衛戦にして相手のホームで1位指名挑戦者
これぞ世界戦というべき舞台でした。
セルヒオ・トンプソンはホルヘ・リナレスを破って浮上してきた強打者。リナレスの出血が酷く負傷TKOという内容であったがトンプソンのボクシングはリナレスとは正反対でスピード、テクニックはたいしてないがタフでパンチが重い。まさにリナレスの壁、苦手タイプ、誰にとっても鬼門となりそうなタフガイだ。
勝利のほとんどがKOで2つの敗戦も接戦の判定、KO負けのないファイターである。
三浦は日本王座も苦労した。小堀、矢代の壁に苦しんだのは、一撃必殺の左を狙いすぎ手数が足りない、歯がゆい展開が多かったからだ。
内山との世界戦では意地のダウンを奪ったがそれが唯一の見せ場で左ジャブ一本で顔面をボコボコに破壊された。
必殺の左に頼りすぎなスタイルが限界を感じさせたが、帝拳に移籍し少しづつ修正、成長も遂げ、粟生の陥落で巡ってきたチャンスを見事にものにした。
ガマリエル・ディアスとの試合では得意の左が何度も火を噴いた。
内山戦がなかったら今の三浦はいなかったであろう。
強打者同士の試合は白熱、激戦となった。
2回の三浦の連打でトンプソン早くもダウン、一発が効いたというより三浦のプレスやボディなどしこたま受けて早くもかなりダメージ蓄積、消耗を感じさせるダウンだ。
しかし三浦もトンプソンと打ち合ってプレスをかけていくので被弾多く消耗は同じ。
以降、強打者同士の根性合戦となった。
タフで諦めないトンプソンの意地は称賛に価するが裁定されたダウンよりも多く実質ダウンを重ねている。
一撃の有効打というよりは我慢の限界で倒れたようなシーンが多く、それをレフリーはほとんどスリップと見逃した。
コンパクトにシャープにいけたらストップできそうなチャンスは三浦に何度もあったが、仕留めたくて大振り、力みすぎ、正確性に欠き、結果相手を生き残らせてしまった。
前戦も今回ももっと早く試合を終わらせることができたのに逃し派手なダウンも食らった。
別に相手が立てないほどにダメージを与えずとも一方的に追い込んでいればレフリーは止めざるをえなくなる。
結果だけみるとダウン2-1、終始我慢比べの激戦であったので敵地でギリギリの判定勝ちとなったが、5ポイントは差をつけた馬力勝ちといえる内容であった。
トンプソン寄りな採点、レフリング、空気の中、どうやってもトンプソンの勝ちにできない差をつけた。
三浦のいいところ、悪いところ、現状のMAX全てが発揮された試合だ。
どうしても力みが目立ち、狙いすぎ、チャンスで精度が悪くなる。
チャンスで狙わず、冷静に力を抜いて連打すれば逆に仕留められるとおもうが・・
チャンスの時は一発狙いでなく逆にコンパクトな連打にして欲しい。
昔からの課題で日本時代よりずっとよくなってきてはいるが・・・
三浦のパンチはタイミングもよくドスンパンチで重いのでダウンはよくとれる。
しかし重さの衝撃で倒れるので意識を狩るような質ではなく相手は何度も立ち上がってくる。
トンプソンに比べよかったのはプレスの際重いボディもうまくミックスさせていたからだろう。
決して超一流のスキルを持つ挑戦者ではなかったが、敵地であれほどのたたき上げのタフガイに馬力勝ちしたのは称賛に価する。
この試合のキャリアは三浦を益々強くするだろう。
敵地でほとんど実績のない日本にとり貴重な勝利となりました。
超絶技巧とかスピードがやばいとかというレベルではないですが、これが世界戦の12ラウンズというものです。
何度も書くが、勝者も敗者も無傷でピンピンしている世界戦なんてありえません。
あるとしたらそれはマス・ボクシング契約の見世物でしょう。
三浦のこの激闘を見た人がそこに気付いて本当のボクシングを見直してくれることを切に願います。
命を削って戦っている三浦やトンプソンの姿に、腐ったTBSにも目を覚ましていただきたいものです。