
戦争のあとの静寂、昨日の世界戦などなかったかのような井上尚弥フィーバーで沸いている日本です。ここも私の記事よりコメントの方が盛り上がりました。
What a week it was. Top Rank is absolutely excited beyond belief that we have added to our roster the great Japanese star @naoyainoue_410.
— Bob Arum (@BobArum) November 10, 2019
Another one of boxing’s pound-for-pound best is now with us, and we can’t wait to make him a star in America in 2020. pic.twitter.com/cilxvPae0C
デザイナークールだな、流石や・・・
WBSS優勝と共に、噂通りトップランクと契約した井上は今後は海外2試合、日本1試合を予定しているそうです。しかしまずは骨折等重症であったといわれる怪我の治癒に専念して欲しいものです。右眉のカットが慢性化しませんように。その他、単なる怪我だけで深刻なものがありませんように・・・
ツイッターか何かの海外記事で、今後井上との対戦が見たい選手として出されていた選手が私の気持ちと同じだったので軽く触れておきたいとおもいます。魅力的な選手がいるのに対戦がなかなか実現しないスーパーバンタムもいいですが、バンタム級も十分魅力的です。
ルイス・ネリー 30勝24KO
まず海外(アメリカ)ではこの男が真っ先に出てくるのは仕方のないことです。
日本では薬物疑惑が一生拭えないいわくつきファイターですが、本場ではボクシング界トップに君臨するカネロでさえ同様ですから、巨大ビジネスになるのであれば灰色のまま事は進むだけ。
日本開催はないですが、アメリカでビジネスとして成立するなら避けては通れないのかもしれません。しかしネリーにはロドリゲス戦や、順当ならウバーリとのタイトルマッチがありますので、その動向次第です。
本音ではロドリゲスが勝つだろう、いや勝って欲しいと願っています。
ネリーで不気味なのは、井上の方が速い、短時間でパヤノを粉砕した、問題ないという確信がある一方、最近のネリーは時間はかかろうが、効いたところが全くない、どんなパンチでも当てれば相手は問答無用で倒れるというのがあります。決して打ち合いにはならず一方的に倒して終わりです。
マックジョー・アローヨはまだ余力がありましたが、これはヤバい、壊されると感じて棄権しました。ああいうのはなんか異常に感じます。究極の本音は、「ドーピング野郎とはやらん方がいい」です。
残念ながらメキシコは「牛肉」を免罪符にそういう文化があるようです。最近も2人が引っ掛かりました。(レイ・バルガス、フリオ・セサール・マルチネス・・・マルチネスの強打者ぶりはいわゆるそういう事なのだな)
ゾラニ・テテ 28勝21KO3敗 31歳
https://www.youtube.com/watch?v=KBuQLdXy52M
「俺とやらないと本当のキングじゃない」「井上はドネア戦で我々に弱点を晒した」など強気な発言で日本のメディアに登場するテテさんですが、本当はもうちょっと謙虚です。「私もWBO王者という存在だからバンタム級のベストというなら私と戦って欲しい、でも自分はまずカシメロという義務を果たさねばなりません。」「ドネア戦で井上も無敵の怪物ではないことがわかってほっとした」そんなニュアンス、WBSSでは井上にポテトチップスをくれたいい人です。
11月30日のジョンリエル・カシメロ戦が重要です。順当ならテテでしょうがブランク明けですし、カシメロにはテテを倒すスタイルがあります。というかカシメロはフィリピンの元祖怪物君、野蛮なノックアウトパンチャーです。KOすることだけがテテに勝つ道です。
これを鋭いスナイパースタイルで圧倒するならテテは脅威でしょう。しかしドネアがあんなに強かった現実を見届けるにつけ、準決勝は対戦してもドネアがテテに勝っていたかもしれません。辞退はラッキーだったのかもしれません。
テテの場合、遠距離のスナイパー、スタイルマッチになることがわかりきっているので見どころは食うか食われるかだけでしょう。テテに勝てばカシメロも候補になるのかな。
ギジェルモ・リゴンドー 19勝13KO1敗 39歳
12/7に行われるリボリオ・ソリス戦はスーパーバンタムではなくWBAのバンタム級であることが明らかになりました。フリオ・セハに勝ち、レイ・バルガスへの指名挑戦権を獲得したのは何だったのでしょうか。井上もドネアに勝ってWBAの正規王座が正式に空きました。(何が正規じゃスーパーじゃ)
リゴンドーにとっては、恐らく日本で天笠とやった試合が最高のおもてなしだったのだろう。もう一度日本で、今度はミリオンマッチを最後のキャリアにしたい、という気持ちはわかります。ドネアに勝ってもブレイク出来ず、ロマチェンコには散々な目にあった。アマチュアの頃から自分の階級であったバンタム級が一番居心地がいいというのは本音とも強がりともおもえます。
しかし、ドネアがもうすぐ37歳で、リゴンドーに至っては40歳なので、これとやっても井上の相手はピークを過ぎた年寄りばかりと言われかねない。リゴンドーは井上とのビッグマッチに真剣でこの少ないチャンスに賭けているだろう。40歳でダメージなく、バンタム作れるのは異常な節制です。ピークのドネアに勝ったリゴンドーはやはり無視されたレジェンドです。
エマニュエル・ナバレッテ 29勝25KO1敗 24歳
こちらはスーパーバンタム級で今年ブレイクした新しいメキシコのスター。12月にまた試合をするそうです。個人的にこの男が一番不気味です。大柄な変則で、ライト級並の底なしの体力がありそうです。
フィジカルが尋常ではありません。技術的にはスローだし大振りだし、変則規格外ですが、メキシコにはこういうファイターが出てきます。よく言えばサルバドール・サンチェス、悪くいえばビクトル・ラバナレス・・・
しばらくはこの男がどれだけのものか見届ける必要がありそうです。2020年の対戦はないだろう。サンタクルスやバルデスよりガチ強いのでは?
その他、現在2冠の井上には、指名挑戦義務もあるわけで、WBAはリゴンドーVSソリスの勝者ですが、IBFにはマイケル・ダスマリナスなんかもいます。WBAは大人の事情、金でルールなんてあってないようなものですがIBFはわりと厳格なので義務を果たさねばはく奪もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=AypnYrxAuHM
IBF2位にはトップランク一押しのジョシュア・グリーです。井上のアメリカデビュー、お披露目にはもってこいかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=4TFsQ2P6eqw
色々な選択肢がありますが、遂に井上尚弥は対戦相手が逃げる、見つからない状態から、誰からも対戦を志願される存在になりました。100%完全に怪我を直し、ボクシング人生の新たなステージで羽ばたいていただきたい。
井上尚弥が歩む道はかつての日本人がだれも到達しなかった前人未到の領域です。
これが本当の世界ボクシングです。
ドネア戦で井上やボクシングを初めて知った方には、ココを強調したいです。