KOを狙わず判定で勝つというイメージがあります。ドネアは最高のボクシングIQを備えた偉大なボクサーでノックアウトは難しいです。彼を打ち負かすためには私も持てるリングIQを駆使せねばなりません。
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[st-card id=86135 ]横浜の大橋ジムでセンセーショナルな日本の世界王者、井上尚弥(18勝16KO)の公開トレーニングがあった。11月7日のWBSS決勝、WBAスーパー王者ノニト・ドネア(40勝26KO5敗)との戦いの準備をしている。同日にはWBCバンタム級王者、ノルディン・ウバーリVS井上拓真の試合も組まれている。拓真は尚弥の弟だ。
井上はフィリピンのトップクラスのボクサー、アルバート・パガラ(32勝23KO1敗)とジェネシス・セルバニア(33勝16KO2敗)とスパーリングしている。
井上
「より慎重に満足いく方法でトレーニングしています。減量はスムーズです。体調の浮き沈みもありません。これから合理的な方法で減量していきます。」井上はノックアウトアーティストとして知られているが、ドネアに対してノックアウトを狙っていくつもりはない。
井上
「ドネアとの試合ではノックアウトを狙いにいきません。スマートにボクシングを行い判定勝利を目指しています。12ラウンド、全てのラウンドを獲りに行くつもりです。KOを狙わず判定で勝つというイメージがあります。ドネアは最高のボクシングIQを備えた偉大なボクサーでノックアウトは難しいです。彼を打ち負かすためには私も持てるリングIQを駆使せねばなりません。しかし、敢えてKOは狙わずとも、ドネアをノックアウトするパンチを当てることに全力を注ぎます。」
あくまでドネアに敬意を表した社交辞令と受け取っておこう。
マクドネル戦、ロドリゲス戦は試合前の怒りもあり、密かにノックアウトを狙っていたようだが、パヤノ戦は流れの中の最初の一撃だった。パヤノの距離やクセを見極めた上での結果だった。
ドネア戦は怒りのムードにはならないだろう。
個人的にはボクサーのピークというのは永遠ではないから、絶好調の時はそのボクシングを信じて勢いに任せた方がいいという持論だ。
試合が長引くと様々なアクシデントが起こりえる。
井上の試合では結果的にパヤノやロドリゲスといった強敵よりも、試合中に怪我をしたタイ人やカルモナ、足をつったアドリアン・エルナンデス戦の方が苦労した。ドネアがこうして決勝に進出したのも、特に初戦、ライアン・バーネットの故障が大きい。あの試合は趨勢がまだみえなかった。
相手が100戦練磨の伝説ノニト・ドネアだから、リスクをかけて強引に行くよりも、専守防衛、打たれない丁寧な試合をしようという意図だとおもうが、一瞬の隙をみつけたら一気に攻め落とした方がいいという考えは変わらない。
そういう瞬間の見極めや速さが彼らの年齢差だ。
ノニト・ドネアも決して玉砕的なファイトはしてこないだろう。井上が出てくるところに罠をはってカウンターを狙ってくる。経験に裏打ちされた慎重なファイトをしてくるに違いない。ドネアが言う井上の弱点とは、駆け引き、あるいは超攻撃的な時の隙、これしかないはずだ。
長引かない方がいいという考えは変わらない。