テオフィモ・ロペスの天敵、ライト級には日本の中谷正義がいる。今回の相手も痺れるほどに難関だが、中谷の方が成熟した大人であり、ボクシングIQの高いファイターである。
土曜日のラスベガスでは、日本の中谷正義はプエルトリコのフェリックス "ザ・ダイアモンド "ベルデホのライバルにはならないだろう。
ライト級の絶対王者となったテオフィモ・ロペスに2019年唯一の敗北をしたばかりの中谷は、かつてトップランクのトッププロスペクトと目されていたベルデホが輝きと自信を取り戻すための鍵となる。また、いわゆるアメリカのライト級のエリート達に強いメッセージを送る瞬間でもある。
ベルデホは土曜日にラスベガスのMGMグランドホテルで行われるラ・ブルブージャで中谷と対戦する。トップランクのプロモーターにとって今年最後のイベントとなる。また、無敗のスーパーミドル級エドガー・バーランガも出場する。
ベルデホ
「何度も言うように、途中で悪い失速をしたのは私のせいです。多くのファンを失ったが、必ず取り返すと断言する。私は使命を持ってここにいます。それは世界チャンピオンになることで、土曜日に中谷相手にそれを証明します。」自信に満ちたベルデホは、ラスベガスで過去3戦のトレーニングを行い、キューバ人イスマエル・サラスのコーチを受けている。
ベルデホは、27勝17KO1敗、7月にはウィル・マデラをTKOで破っている。中谷との戦いは、2012年にプロ入りし、未だ世界王座を獲得していない元オリンピック選手のレベルを理解するためのバロメーターになるだろう。
ベルデホ
「かなり快適にラスベガスでトレーニングをしてきました。献身的にトレーニングしてきました。気が散るのを止めるためにプエルトリコを後にしました。ここでは、ジムから家、家からジムに行くだけです。自分が世界一であることを証明するという使命に集中しています」トップランクの役員、トッド・デュボフは、今後の展望として、ベルデホへの期待が今でも大きいことを認めた。ロペスやロマチェンコのようなビッグネームの話をするときは、ベルデホも外すことは出来ないと言う。
デュボフ
「フェリックスは素晴らしい才能を持っています。オリンピック(2012年ロンドン)が出てきたときに見た彼の姿をみれば一目瞭然だ。テオフィモ・ロペスやワシル・ロマチェンコの話をするときには、ベルデホも入れないといけない。彼も会話の中に入ってくるんですよ。」中谷は18勝1敗12KOの戦績を持ち、ヴェルデホとの一戦は、シャクール・スティーブンソンVSトーカ・カーン・クレーリーと共同開催となる。
今週末に行われる、今年最後のトップランク興行は日本人が締める。
今をときめくライト級の4冠統一王者、無敗のテオフィモ・ロペスを最も苦しめたのは、P4Pナンバーワンのワシル・ロマチェンコではなく日本の中谷正義だ。
しかし、初のアメリカ、初の敗北で中谷は引退、およそ1年のブランクを経て引退撤回、帝拳ジムに移籍、本場を驚かせた日本人の次なる相手もまた世界王者候補だ。世界に向けての環境、視界は良好だが、最難関の試練は続く、それが世界ライト級なのだ。
フェリックス・ベルデホ
https://www.youtube.com/watch?v=azm09yCjRHw
27歳、トップランク所属。素晴らしい成績から次世代のスター候補として語られることもある。
アマチュア時代
2010年4月、AIBA世界ユース選手権にバンタム級(54kg)で出場し、1回戦で中澤奨に勝利するも、2回戦でロシア人選手に敗退。
2012年ロンドンオリンピックにライト級(60kg)で出場した。1回戦を苦戦しながら11-9の判定勝ちを収め突破。2回戦は16-7の判定勝ちを収めたが、準々決勝でワシル・ロマチェンコに9-14の判定負けを喫し敗退、ベスト8の成績を残した。
アマチュア時代に最も強かった相手としてロマチェンコが認めたベルデホはかつてバンタム級で日本の中澤奨と戦っていた過去がある。
身長 175cm
リーチ 182cm
はライト級でも十分な体格だが中谷は
身長 182cm
リーチ 182cm
を誇る。プロでベルデホ唯一の敗北はアントニオ・ロサダ・ジュニア、身長183センチという長身選手だった。
このころのベルデホはバイク事故、プライベートでの不摂生の問題を抱え、パフォーマンスが悪く、日本でも有名なイスマエル・サラスにトレーナーを変えてからはかつてのような序盤圧倒KOで復調してきている。
テオフィモ・ロペスVS中谷正義は、中谷のスタイルをロペスが崩せなかったという点で中谷の勝利でもいい内容で、日本、東洋のライト級が世界トップに通用した驚愕とともに、ロペスの勢いを止めただけであり、ダメージを与えたほどではなかった。そこが気になる点で、ベルデホに勝利するには、ジャブやストレートで接近を許さず判定もなくはないが、やはり倒す決意が必要だろう。
ベルデホは天才パンチャーだが、タフネス、耐久力はない。
プエルトリコのファイターは正直で男らしく、力強くファイトするが、正直すぎて返り討ちを食らうことも多い。
アンヘル・アコスタ
ジョナサン・ゴンサレス
クリストファー・ディアス
エマニュエル・ロドリゲス
ジェイビエール・シントロン
最近のプエルトリカンは皆日本人に負けている。
日本人ファイターを畏怖し、コンプレックスを抱いているはずだ。
ネームバリュー、アマチュアの実績、プロでの倒しっぷり、期待値
全てベルデホが上だが、なにも臆することはない。
中谷の方が成熟した大人であり、ボクシングIQの高いファイターである。
ロペス戦の教訓を生かした、伸びやかなる圧倒を期待する。
やはり、ジャブと左フック、ボディが鍵だろうか。
自分の距離で思う存分暴れて欲しい。