小よく大を制す/ロマチェンコとデービス他

注目の試合が終わり、やっと一息つけるかなとスケジュールを確認すると、7月3日(日本時間4日)

クリス・コルバートVSツグスソグ・ニヤンバヤルなんてのがある。

井上尚弥に続くアジアの誇りとおもっているのでニヤンバヤルには頑張って欲しいが、Sフェザー級までいっちゃったかぁ。コルバートは強いがシャクールやラッセルで見飽きた黒人スリック系なので、こんなにたくさんいらない。暫定王座戦のようだが、正規王者に負けない実力者ではある。

さて、先週は超一流どころではありますが、「小よく大を制す」結果となりました。

中谷正義VSワシル・ロマチェンコ

中谷はロペス戦やベルデホ戦と同じ中谷、あるいは進化した彼でありましたが、やはりロマチェンコには通じませんでした。はじめてロマチェンコ寄りでなく中谷寄りで観戦したおかげもあって、ロマチェンコボクシングというのを嫌というほど再確認することになりました。

父、アナトリーの指導で、ボクシングだけでなくダンスなどもやってきたロマチェンコですが、彼はバランスの鬼であり、今までのボクシングで重要視されてこなかったであろう、身体の交錯時にガチャガチャと、相手に決して正対せず、横から、下から、斜めから、小突きまわしまくる。試合が止まる、休みたい、クリンチ間際が彼一番の一人舞台、夢芝居である。遠距離ではファイトしない、危機管理に終始する、普通のボクサーと違う戦い方に中谷(もまた)全く対処できなかったという印象を持ちました。

美しく、クラシカルで正直なファイトでは井上尚弥の方が崇高で強い、観ていて楽しいですが、ロマチェンコのスタイルは他のファイターが今までやってこなかったことの集合体のような気がしました。

全然違うけど、ジョン・リエル・カシメロというのも、遠距離では何もせず、何もさせず、突っ込んだところで反則すれすれの荒くれで相手をぶっ潰すという戦い方は似ているなと感じたり・・・。

しかし、反応鋭く強打者のテオフィモ・ロペス、中谷よりも危険を孕んだジョシュ・テイラーやレジス・プログレイスあたりには、ロマチェンコファイトを遂行し続けることは難しいのかもしれない。中に入れないと機能しない。ライアン・ガルシアやデビン・ヘイニーのような長身オーソドックスには強いだろう。しかし次の男にはどうだろう?

マリオ・バリオスVSジャーボンティー・デービス

デービス、もうSライト級なのだ。ジョシュ・テイラーやショージャホン・エルガシェフと同じ階級。ギヤソフやイエレウシノフ、ジャロン・エニスあたりもSライト~ウェルターだから対戦の可能性もなくはないところまで来た。

バリオスはそんな男たちと比べても体格で劣らない、大きな無敗のSライト級、その差を生かして勝ち切る戦術に終始していた。距離とサイズによる戦いにくさを感じる序盤だったが、踏み込んだ大きな右フック一発で戦況を打開した。相手が怯んだ時の仕留めが超一流、本能の野獣だ。終わってみればダメージの少ない圧勝という形で、3階級を同時に保持するクレイジーな男になった。

なんで本場はデービスに辛口なんだろう?P4Pのトップレベルに位置する強さではないだろうか。

しかし、ひき逃げで実刑を食らいそうという話題はどこへ行った、メイウェザープロモーションの相手選びには疑問符が残る。
あの体格でジョシュ・テイラーやレジス・プログレイスあたりに勝てるのだろうか、パワーで負けていないことはバリオス戦でも思い知ったけど。

そして、ロマチェンコとデービスの相性はどうだろう?ロマチェンコが攻略できる空間、間のあるファイトだから通用するとはおもうが、ロマチェンコのSライトはないだろう。プロのリングでの勝ちっぷりではデービスが凌駕している。

ならば私は

テオフィモ・ロペスVSジャーボンティー・デービス

が観てみたいのが本音だ。
一発で倒すパワーもスピードも反応速度も揃っている、ガチムチ対決、判定はないだろう。

「小よく大を制す」

どこまで行くのだろう?

VSクロフォード
VSスペンス

なんてのもあるのかな。

マイキーさん、そろそろ最後の出番です。

おまけ

中谷に戦って欲しい。

おまけその2

もう一人のSミドル級、カネロに手も足も出ないのだろうか?それとも除外リストか。

ロブ・ブラントも何もできず散った。
時代は流れる。

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コメント一覧
  1. 普通の選手は距離の直線で戦おうとするけど、ロマは縦の直線と右回りの斜めの直線で死角に入るボクシングをしてますよね。一人だけ3次元のボクシングをしてます(他の選手も死角を意識しているけど、特化しているわけじゃない)。

    ロペスのように強烈な左フックとカウンターが打てれば斜めを潰せるので、ほとんどのラウンドを直線の距離だけで戦えた。リナレスにはパンチ力が無かったので、ロマは右回りの攻撃が出来たけど、リナレスは独楽のような回転と速さで死角を消す努力をしていた。でも一瞬遅れるのでどうしてもパンチを貰う。バックステップが得意な選手なら横(50度)に回られてもバックステップで25度ほどの角度になり、ロマを見失うことはない。だけどやはり死角に近い角度なので、ロマのパンチを貰う。
    中谷には絶対的なアドバンテージの高さがある。でもバックステップも回転も左フックも無かったから、一方的な試合になってしまった。

    デービスはサウスポーの戦いになるので、両者ともにサウスポーのアドバンテージが消えて、面白いと思います。でもこのレベルになると、スパーのパートナーは呼び放題なので、対サウスポーの苦手意識もないかもしれない。

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  2. 今回の様な体格差を克服した勝利って、サウスポー(小)vsオーソドックス(大)の方が慣れの点で起こりやすいかもしれませんね。長身のサウスポー相手はオーソドックスにとって不慣れに体格差が加わる事で特に難しくなる訳ですから。

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    • ほんとそう思います。ケンカ四つ(オーソvsサウスポー)のほうが体格差を消しやすく、相四つのほうが体格差出やすい。結果論でなく自分がやっててもそう思います。
      左同士だとロマもリゴンドーも、いつもより忙しい試合になる
      パッキャオがスペンス選んですごいなと思うのはそこです。

      ところで関係ないですがカシメロ、ドーピング検査回避でドネア戦中止ですね。

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  3. テオフィモとデービスのスパーリング動画をYouTubeで見た覚えがあります
    ただ何年も前の動画で、当時テオフィモはたぶん10代で身体も細く、デービスより小さく見えたぐらいなのでほとんど参考にはならないですが
    実際デービスもかなり手を抜いていた

    そう考えるとテオフィモはかなりデカくなったなぁ

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    • リゴンドーXロペスのスパーも見ましたがリゴに思いっきり遊ばれてました。しかしそれもロペスが10代の頃だと思うし身体がまだできてない時期だった。

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