日本未公認のWBO世界王座戦、石田は日本ボクシングコミッションを引退、退路を断っての挑戦となります。勇ましい、JBCしょぼい。
アメリカの人気ホープ、当時全勝、ほとんどKOのジェームズ・カークランドを初回KOし世界に衝撃を与えた石田、元世界王者のポール・ウィリアムスにはわずかな差の積み重ねで大差判定負けを屈してしまいましたがボクシングマニア的にはビリビリするものがあるんです。石田が活躍しているフィールドは本場中の本場、日本人のサッカー選手がFCバルセロナの中で暴れまわっているに等しいのです。
世界王者多い日本ですがほとんど日本開催で勝てるかもしれない相手を呼んでやるタイトルマッチとは一味違います。
ボクシングの本場を拠点にし本場で有名な王者級を相手に孤軍奮闘しているのが石田なのです。しかもSウェルター、ミドルと日本人には縁のない難しい中、重量級です。昔は輪島さんや竹原など奇跡の王座奪還者もいましたが、それともまたちょっと違う、本場の超一流の舞台です。
その石田に世界王者からタイトルマッチのオファーが来ました。
王者は
ロシア/ミドル級王者
初代WBC/CISBB/ミドル級王者
初代WBC/ABCO/ミドル級王者
第5代WBO/Asia-Pacific/ミドル級王者
第28代WBC/International/ミドル級王者
第6代WBO/Asia-Pacific/ミドル級王者
第2代WBC/Baltic/ミドル級王者
第20代WBO世界ミドル級王者
ディミトリー・ピログ(ロシア)
Dmitry Pirog
19戦19勝(15KO)
であります。
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防衛2度の新米王者ではありますが、タイトル奪ったダニエル・ジェイコブス戦はじめ、そのボクシングのクオリティが高いので避けられている、試合が組みにくい王者であります。
マニアな僕はこのディミトリー・ピログが強烈に好きでして、得体の知れない強さを感じております。
まだまだ実績不十分、その全貌はベールに包まれたままですがとある雑誌では浜田剛氏がP4Pの呼び声高いセルジオ・マルチネスより上に評価しちゃってたりしてました。
アマ250戦あまり、国内、周辺タイトル総なめだったそうですが、世界的規模での活躍のデータはないそうです。
昔は肥満児でチェスの選手でダイエットとストレス解消のためにはじめたボクシングだそうですが地元では腕っ節強い番長格だったとか・・・
すべて未確認情報です。
そんでもってそのボクシングですが実に淡々としています。チェスのごとく駒を詰めるように多彩な角度からパンチを打ち込んできます。顔面もボディも実にシステマチックに角度をつけて打ちこんできます。コンビネーションがプログラミングされてるかのようです。
ブロッキング、ディフェンスワーク、足さばき、上体の動きも絶やさずなめらかで冷静、淡々としたボクシングでありながら攻撃のテンポ、リズムが速い。よどみなくどんどんパンチを打ち込んできます。嵐のような連打とかラッシュじゃないのにすげぇ攻撃的だったりします。まるでロボット、サイボーグのように無表情、無慈悲な組み立てのボクシング。
ちょっとこんなリズムのボクサーはおもいあたりません。見た目は全然違うけどユーリ・アルバチャコフをおもいおこさせます。
あんなキレとスピードはないけどパンチの多彩さはピログが上にみえます。
特徴的なのは守るにしても攻めるにしても肩の使い方が上手い。L字ブロックや肩効かせたパンチの打ちぬきなど・・・肩使いなら史上最強か。
19戦のキャリアをみてみるとほとんど知らない選手ばかりですが、戦績いい者が多くかませ相手に築いたレコードではないようです。
とはいえ、リズムが同じでマシーンのようでどんな隙、弱点があるのかまだよくわからない面がたくさんあります。
手数は多いがリズムが速いだけでハンドスピードや全体のスピードが黒人のように俊敏というわけではないです。
のっそり、地味に組み立ててる試合も多くそこがまた不思議な選手です。
ジェイコブス戦では彼が王者候補のホープで戴冠をかなり高い確率で期待されていまして、全然怯まないピログにアングリさせられた面もありましたがジェイコブスの才能が光る部分もあり決着まで押してはいましたが一進一退でもありました。
まったく被弾しない完ぺきディフェンスではないし攻撃シフトが強すぎなため危ないタイミングもみられました。
石田と体格はほぼ互角、やや石田の方が大きい。ポール・ウィリアムスのようなやりにくさはない相手です。
石田はパワーでこそ見劣りしますがスピードでは負けていません。できればシャープなジャブやストレート系のパンチでピログを前にこさせない展開が望ましいとおもいます。ジェイコブスもロープ背負ってるシーン多かったですし、ロープ際で深く刺さるパンチをよけ損ねていました。
ピログは不思議なリズムを持ったボクサーですがとにかく攻撃的であることは間違いなく、多彩なコンビネーションを仕掛けてきますが、そんなリズムに惑わされず、押し込まれず、同じ手数で立ち向かえば意外や脆いところも出てくるかもしれません。
かなりディープマニアな世界の強豪王者ですので日本で話題になることはないであろう本格的な世界戦、ピログやっぱ半端ねぇというところも見たいし石田の勝利を願う部分あったり複雑ですが
すんげぇ楽しみです。
こういう試合を受ける石田、最高です。