ロマチェンコの空けた王座を争う試合。かつては日本人が占めていたSフェザーの一角に伊藤雅雪は食い込めるのだろうか。7月28日にフロリダ州キシミーというところで決戦です。
クリストファー・ディアス
23勝15KO
アマ137戦29度の敗戦
これぞプエルトリカンというか、映像で見る限りは圧倒的に強そうだ。バンタム級のエマニュエル・ロドリゲスを大きくして荒っぽく攻撃的にした感じか。
この試合でこんなに喜んでいるのは世界戦が近づいた実感と、プエルトリコを襲ったハリケーンマリアで様々なものを失った悲しみと勝利の爆発だったようです。
そんなにエリートアマチュアではなかったようだ。プエルトリカンらしく攻撃的でパンチも強そうなトップランクのホープだが、アマで負けは多いしプロでもそれほどの強敵に勝ってきたわけではない。地味にみえるが伊藤の方が骨太なプロキャリアである。
伊藤雅雪
23勝12KO1敗1分
尾川に遅れ、内藤より先にチャンスを掴んだ。彼が王者になれば叩き上げのプロから誕生した事になるのかな。伴流ジムという(たぶん)世界戦の実績がない小さなジムでいきなりアウェー。世界挑戦にふさわしい前哨戦をしてきたとはいえないが、フィリピン人でも骨のある相手に連勝を重ねこのチャンスを掴んだ。
映像をみる限りはディアスに劣ると認めざるをえないが、生で何度も観戦した伊藤はなかなか魅力があるファイターだ。あまり被弾しない。フットワークと反応の良さで打たせないボクシングが出来ている。運動神経抜群だ。パワーが物足りないが打たせず打つことが出来、僅差のラウンドを勝ち取る勘の良さ、センスのよさがある。右のダブルなど右ストレートに非凡なものがある。
などと伊藤の良さを拾ってみたが、やはり世界で戦うにはパワーレスに感じるし、全く打たせないわけではないので被弾もする。圧勝より接戦が多いかもしれない。
どこからどう見ても世界的には伊藤が不利な世界戦だ。
それでも伊藤に期待してしまうのは、アマ経験がないが故?変なクセがない。柔軟に対応できる天才肌にみえるから。ボクシングの天才というよりはスポーツ万能型なのだろう。まだまだ伸びる。
そして、いかにも強そうにみえるディアスだが、伊藤ほどのレベルの相手とプロで戦ったことはないとおもう。ディアスが168センチでリーチも短いのに対し伊藤は174センチ。勝機としてはディアスの出入り、コンビネーションをどこまで封じ込め、カウンターを当てるかだ。積極性や手数勝負になるとたぶんディアスが上回る。カウンターを当てるしかないだろう。
それでも予想は3-7くらいで不利ですが、海外武者修行で手ごたえも掴んでいるという伊藤の非凡なところが発揮される事を祈る。
尾川VSファーマーも意外なほど尾川が通用したし、伊藤には相手が強いほどそれに順応できる何かがあると信じる。
プエルトリコにマチャドとディアス、2人の王者はいらない。