究極の挑戦には究極の報いがつきものだ。これは私の人生で最もハードな戦いになるだろうが、この戦いに勝つことは、私の人生で最も報われ、最も満足のいく瞬間にもなるだろう。
バンタム級のジェイソン・モロニーが、世界最高のパウンド・フォー・パウンド・ファイターの一人と言われている井上尚弥を相手にする場合、大いなるアンダードッグになることは間違いない。
しかし、モロニーは "モンスター"を倒すために必要なものを持っていると信じている。
モロニー
「井上は偉大なファイターであり、現在世界No.1のバンタム級、そしておそらくパウンド・フォー・パウンドでもトップ5だと思う。彼はとても爆発的でパワーがあるが、私は彼を二本の腕と二本の足を持つ一人の男として見ている。どんなファイターにも弱点があるし、負ける可能性がある。私は井上を倒すために必要なものを持っていると信じているし、それを証明する大きなチャンスだ。」トップランクは10月31日にラスベガスのMGMグランドのカンファレンスセンター内のバブルからESPNのテレビ放映カードのヘッドラインとしてこの試合の最終決定の過程にある。
モロニーは、バンタム級の世界のタイトルを持つジョン・リエル・カシメロと井上の試合の日程がずれるだけだと想定していたが、彼らの試合がキャンセルされたのを受けて呼び出しを受けた。無観客試合で報酬が下がるのを考慮し、カシメロ陣営は試合を放棄した。
当初、ジョシュア・グリアと戦う予定だったモロニーのためのドアが開かれた。
元WBAスーパーフライ級王者アンドリュー・モロニーの双子の兄であるオーストラリア出身の29歳のモロニー(21勝1敗、18KO)は、6月25日にバブルの中で復帰し、レナード・バエズを7ラウンドでノックアウトした。その後すぐに、3階級(ジュニアフライ級、ジュニアバンタム級、バンタム級)で世界タイトルを獲得している井上(19-0、16 KOs)、27歳と戦うオファーが来た。
モロニー
「これは最大の挑戦だから、とてもエキサイトしている。究極の挑戦には究極の報いがつきものだ。これは私の人生で最もハードな戦いになるだろうが、この戦いに勝つことは、私の人生で最も報われ、最も満足のいく瞬間にもなるだろう。」モロニーは直近の4試合すべてノックアウトで勝利しており、2018年10月にフロリダ州オーランドで行われた8人制ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ・トーナメントの準々決勝で当時のバンタム級世界王者、エマニュエル・ロドリゲスに挑戦した時のスプリット・デシジョンによる敗北だけが唯一の黒星だ。ロドリゲスは準決勝では2回で井上にひどくノックアウトされた。
モロニーは、11月7日に埼玉で行われたワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ決勝で、元4階級チャンピオンのノニト・ドネアを相手に、117-109、116-111、114-113で全会一致の判定勝ちを収めた井上の最後の試合を見るなど、井上のことを研究してきた。
この試合は複数のメディアによって2019年のファイト・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、アメリカのボクシングライター協会によってファイト・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。
モロニー
「井上VSドネアは信じられないような試合だった。二人とも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。多くの人がドネアの活躍に驚いていたが、正直なところ、私はそうはおもわなかった。ドネアは私がすでに信じていたことを証明してくれた。井上だって人間だ。殴られることもあるし、傷つくこともあるし、負けることもある。そのためには頭脳と勇気が必要で、私はその両方を持っていると信じている。」確かに、ドネアは第2ラウンドに鋭い左フックで井上の右目上に切り傷を開け、問題を引き起こした。井上はその後、モノが二重に見えるようになったと言い、2、3ラウンド目には眼窩骨と鼻を骨折した。
そこに井上の弱点をみたモロニーは、今回の対決に向けて自信を持っている。
モロニー
「これが私にとっての全てだ。自分の夢をすべて叶えるチャンスだ。ボクシングにすべてを捧げてきた。この試合に勝てば、人生が変わるだろうし、これ以上の興奮はない。世界に衝撃を与える準備ができている。」
井上尚弥の快進撃を見せつけられれば、誰もがこのような感想を抱くだろう。それを素直に告白し、それでも人生最大のチャンスと立ち向かうモロニーの意気込みに敬意を表す。
ジェイソン・モロニーはアマチュアエリートで、マイケル・コンランに勝った過去を持つ。
井上VSモロニー、両者の対戦は、WBSSの延長にあったのだ。
準決勝の相手がロドリゲスでなくモロニーでもおかしくないほどの接戦だったから、あの時からモロニーには井上と戦い、勝って優勝する意欲があった。
エマニュエル・ロドリゲス戦でモロニーがみせたファイトは、技術戦でやや不利とみるや、ボディを中心にしぶとく前に出て引かない戦術に切り替えた。テクニシャン潰しの2番底だ。井上との試合も序盤を超えたらそういう戦術に切り替えてくるだろう。
あるいは、何かを捨て、極端な何かを狙ってくるだろう。
普通の競い合いでは分が悪い。
総合力、破壊力ではとても井上に敵わない。
しかし、ジェイソン・モロニーには頭脳と勇気の両方がある。それが「モンスター」を攻略できるほどのものだとはおもわないけれど。
長いブランク
先の見えないスケジュール
ドネア戦の克服
トップランクデビュー
無観客試合
井上尚弥にとっても不確定要素はある。
モロニー
「究極の挑戦には究極の報いがつきものだ。」
井上と戦うことがゴールなのではなく、勝ったその先に究極の報いがある。そう考えれば、カシメロだって試合をキャンセルしなかったはずだ。彼の陣営はリスクと報酬を天秤にかけたのだろう。井上の前に外堀をかためて未来のデカイ報酬狙いに変えたのだろう。そんなカシメロに報いはあるだろうか。
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