未だ無名ながら、キラリと光る技とタイミングを誇るカレブ・プラントと(トミー・モリソンの再来みたいな)ビンセント・フェイゲンブッツ。技か力か、一方的かアップセットは起きるのか、スタイルマッチとしては究極の組み合わせだ。
2月15日、テネシー州ナッシュビルのブリヂストンアリーナで、IBFスーパーミドル級王者、カレブ・プラントVSビンセント・フェイゲンブッツが行われる。プラントは19勝11KO、フェイゲンブッツは31勝28KO2敗だ。
ビンセント・フェイゲンブッツは手配されたホテルを既にチェックアウトしていた。ドイツのカールスルーエ出身の24歳は200ドルもする酸素入りの水を飲んでいる。
フェイゲンブッツ
「自分のものだけ飲みます。別に魔法の薬じゃありません。爽やかで清潔な水です。食事も同じです。ここアメリカのファンを愛しているが、食事や水に関しては誰も信用していません。」プラントのチームはプロフェッショナリズムに欠けます。まだプラントは無名の王者だから誰も彼を知らないはずですが、これは彼の地元での試合だから私たちは誰も信用できません。プラントの地元に招かれて街をドライブしていたら彼らのチームが隣にやってきた。ハローと挨拶したら、俺たちに中指を立ててきた。俺たちには誠意や教養があるからあんな真似はしないけど、いいホストチームとはいえないよね。
だから、彼らをプロとして信用できるわけがない。食事も水もそうだろ。」
https://www.youtube.com/watch?v=qjau-hpASRM
カネロの対戦候補に名前すらあがらないカレブ・プラントは新王者であり人気や知名度が低いのがその理由だが、試合内容自体は素晴らしい。若くスケールのあるホセ・ウズカテギから華麗にダウンを何度も奪い、初防衛戦のマイク・リー戦でも教科書のようなダウンを何度も奪って圧倒した。実はカラム・スミスやビリー・ジョーより上ではないか。
身長185センチ、リーチ188センチとあるがそれより小柄にみえ、かなりクールでクレバーな動きをする天才肌だ。
しかし、対戦者の質はこれからだ。華麗なテクニックとシャープなパンチでダウンを奪っても相手は死んでいない。タイミングのダウンだ。そして前半強いが後半疲れる、テクニシャンとしての脆さ、フィジカルの弱さが垣間見える。まだ査定不可能なボクサーだ。デビッド・べナビデスと3センチしか変わらないようにはみえない。
それでも、スピード、華麗さ、テクニックはスーパーミドル級で一番だろう。
対するビンセント・フェイゲンブッツはドイツなのでよくわからない。
こういう世界戦は随分久しぶりなような気がする。
KOの少ないドイツで31勝28KOというKO率、178センチの強靭な肉体からしてKO型のファイターだ。若さも大きな武器だ。若いうちからドイツで活躍しマイナータイトルなどを獲得してきたが、2016年にジョバンニ・カロリスにTKO負けして挫折を味わっている。
ドイツではKOプリンスと呼ばれ、そのファイトは上体の筋肉が発達して脇の締りが甘い超パンチャースタイルだ。トミー・モリソンの小型版のようだ。
どう考えてもフェイゲンブッツの勝機はフィジカルごり押しのKOしかなく、カレブ・プラントにとってもそこが不安材料だからスタイルマッチとしてはかなり面白そうな組み合わせだ。マイク・リーもフェイゲンブッツみたいな肉体をしていたが、プラントのシャープさにコテンパンにやられた。
私が階級ナンバーワンだとおもうデビッド・ベナビデスはデカい上に破壊的なのでスケールが違うとおもうが、フェイゲンブッツのようなパンチャーはどこでも人気者になれる可能性がある。
アップセットを起こせるだろうか。