タンクVSマーティンはマニア垂涎のカードですが、前座にも興味深い試合がありました。
デビッド・ベナビデスVSオレクサンドル・グウォジク
デビッド・ベナビデス
28勝24KO 身長188センチ、リーチ190センチ、27歳
ベナビデスは過去最強の相手かとおもわれたデメトリアス・アンドラーデにも圧勝し、いくら待ってもカネロが相手にしてくれないから階級アップ。過去に減量ミスやコカインなどの犯歴もあることからこの階級かクルーザーあたりが適正だろう。
規格外の怪物的選手で昔から高く評価してきたが、フィジカルパワーと高速連打が持ち味の唯一無二のスタイルだ。相手より常にデカくてフィジカルが強い。それでいて連打が異様に効く。しかし個人的には彼のスタイルには少し飽きてきて、手打ち連打なんだよなぁ。それでもパワーがあるから厄介なのだが、はじめて、自身と変わらぬ体格の相手となる。
オレクサンドル・グウォジク
20勝16KO1敗 身長188センチ、リーチ192センチ 37歳
この年齢と一度引退して燃え尽きた状況を考慮すると不利は否めない。オッズもそうなるだろう。傑出したアマチュアで既に完成された状態でプロで無敗のまま長期王者のアドニス・スティーブンソンをノックアウトし病院送りにした。統一戦でアルツール・ベテルビエフに敗れ引退したのが2019年。それから3連勝2KOで再びの世界戦(暫定)
どう考えても、若いベナビデスが有利だろうが、グウォジクは正真正銘のLヘビー級の元王者であり、かなりのテクニシャンだ。テクニックだけでなくパワーもある。おもえばベテルビエフが一番苦戦したのがグウォジクだろう。
ひねくれ者の私は全力でグウォジクを応援してしまう。
グウォジクの復帰には理由がある。
家族は常に危険なボクシングを心配しており、ベテルビエフに敗れたタイミングで引退を決意、これまでの実績でウクライナでカジノを経営、幸せな第二の人生を送るつもりがまさかのロシアの侵略
家族も仕事もバラバラとなり、再び稼がねばならぬ状況に置かれたのだ。
当時はドミトリー・ビボルより評価の高かったグウォジクにとって再起戦の格下は楽勝だったが、次の相手、ベナビデスはボクシング界屈指のツワモノだ。
グウォジクは祖国を離れ、ずっとカネロのチーム、エディ・レイノソの元、ロサンゼルスでトレーニングをしているそうだ。カネロはもちろんヒルベルト・ラミレスらとのトレーニングで手ごたえを感じているそうだ。
年齢やブランクさえなければベナビデスに初黒星をもたらすのはグウォジクだと言いたい。
オッズではデビッド・ベナビデスが有利だろう。
グウォジクがリード、健闘するも、後半ベナビデスのパワーにねじ伏せられてしまう画が浮かぶ。
カネロのチームにとってもカネロを挑発し続けるベナビデスの査定とみなされているかもしれない。
しかし私はオレクサンドル・グウォジクの番狂わせを願っている。
それだけ偉大な元王者であり、技術も経験もベナビデスを凌駕している。
最近、ロマチェンコ、ベリンチクとウクライナ勢の復権も目立つ。
この試合は、スタイルは全く違うが
エマニュエル・ナバレッテVSデニス・ベリンチク
と同じような結果になるんじゃないか
私はデビッド・ベナビデスが好きで昔から怪物認定していたが、なぜかこの試合が決まった時からオレクサンドル・グウォジクを応援している。