オミクロン株やらで再規制、年末の楽しみな試合は消滅しましたが、この試合は実現します。しかしどっかのPPVとかで、私の関心は14日のドネアvsガバリョ、カシメロvsバトラー、そして前座の勅使河原に向いています。
井上の前にSバンタムの日本の旋風になれるか勅使河原。
ボクシングと人生は似ているというのはこのサイトのサブタイトルだが、井上戦の注目は勝敗よりも、先日のある試合に詰まっていた。
テオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソスJR
戦国ライト級の全てのベルトを持つ若き無敗のスーパースター候補は、P4Pのロマチェンコに勝った男として、序盤KOで圧倒する気ムンムン。初回から自慢のパワー全開で飛ばしていく。倒せずとも、確実に10-9という支配で初回終了直前にカンボソスの右で派手に倒されてしまう。これで8-10その後もKO狙いで強気に攻めるも、ハヤる気持ちを削ぐような忍耐強いカンボソスの抵抗にあい、いつになく大苦戦、大流血の激闘に。
普段のロペスはディフェンス、反応もよく、あんなに被弾しないはず。ハヤる気持ちとダウンで冷静さを欠いたよう。それでも10回にダメージを残すダウンを奪い、遂に逆転かというところ、最後の2回を挽回したのはカンボソスの方だった。
両者病院直行という熱戦、翌週の試合にはゲストでカンボソスが引っ張りだこ、元気に回復しヒーロー交代ムードでトークや挨拶をしていた。
ロマチェンコを破った無敗で強打の若きロペスはよもや防衛0で全てのベルト、尊厳を失った。皮肉にも間際にライト級の試合が重なり、主役はヘイニーやデービスに移った。彼らみんな、カンボソスとやりたいと言い、ロペスの名すら出てこない。ロペスは減量だけでなく、呼吸器系の問題を抱えているらしく、リベンジはおろか、復帰すら危ぶまれる状況だ。
温故知新、ロペスをみた時から、フェルナンド・バルガスに存在感が似ていると感じたが、彼のように台風みたいな短いキャリアでシーンを去っていくことは願っていない。
[st-card-ex url="https://forgotten-legend.com/legend/82336" target="_blank" rel="nofollow" label="" name="" bgcolor="" color="" readmore="続きを見る"]この試合に、ボクシング、人生の教訓を感じざるを得ない。
井上尚弥の試合に、これと同じリスクが潜んでいるとはおもわない。彼は万全だ。相手より自分の仕上がりに重きを置いた完璧なプロフェッショナルにみえる。相手が誰であれ、そんな事は意識せず、12ラウンド完璧な試合運びを心がけ、流れの中で隙あらばいつでも倒すと言っている。その姿勢を尊敬するし、何一つ異論なく信頼しているが、それでも、このPPVにそこまで関心が持てないのは、普通にやって序盤KOでしょという実力差を感じているから。
相手のタイ人は高いKO率を誇り、ボクシングのキャリアは少なくとも、他の格闘技の経験値を感じる芯の強さがある。千載一遇のチャンスをものにする気迫と自信がありそうだ。自分のパンチが当たれば誰だって倒せる、武器は秘めている。
しかし過去試合をみた限り、井上の敵ではない。
危惧するのは、唯一、試合中のアクシデントだけ。日本凱旋試合でファンを楽しませよう、長いラウンドを試そう、そんな計画が少しでもあるなら無用だ。井上は過去、タイ人には割と長い時間ラウンドを重ね、圧勝も無傷とはいえない試合をしてきた。
解説の川島曰く「打たれているのではなく打たせている」んです。
試合が長引くと、骨折、痙攣、バッティング、何らかの不可抗力が働くリスクがある。
私はドネアとの試合を傑作とおもっていない。
この試合に関しては、まったくの無傷、ノーダメージで通過して欲しい。この先に広がるビッグマッチのために。
ボクシングは言葉でも分析でもなく、インパクトで評価、人気が決まる。ロマチェンコの高度な技術より勝ち負け、インパクトが全てだ。タイソン最強論もそこが強い。14日の試合は井上のスキルを12ラウンド堪能するよりも、瞬殺であって欲しい。
井上尚弥の第二章、最終章はまだ訪れていない。さして観る価値なしのチューンナップ、歴史的な王者とランカーの違いを世界中に知らしめる内容であって欲しい。