
「私は彼のスタイルは好きじゃない。でも彼は自分のすべき事をした。一発のパワーがない代わりに、抜群の反射神経でハンドスピード、フットワーク、ディフェンス、コンビネーションを磨いたんだ。」エマニュエル・オーガスツ
昨年はテストの意味も込めてサイトの更新を頑張り、アーカイブすべきこんなサイトも作った。
[st-card-ex url="https://forgotten-legend.com/" target="_blank" rel="nofollow" label="" name="" bgcolor="" color="" readmore="続きを見る"]我ながら、仕事も放棄しよくやった・・・
しかし結果は出なかった・・・アカン、仕事に戻ろう。
ボクシングの歴史を俯瞰することが出来、大いなる学びを得た中でおもうのはやはり温故知新、歴史から学べ、である。ボクシングの歴史上、最高峰のディフェンス技術を持っていたウィルフレド・ベニテスは打たれすぎて廃人同然になった。
[st-card id=86166 ]最近、こんな記事を読んだ。
[st-card-ex url="https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68801" target="_blank" rel="nofollow" label="" name="" bgcolor="" color="" readmore="続きを見る"]井上尚弥
「僕は天才ではない。ボクシングで天才と言うのは辰吉丈一郎さんみたいな人のことだ。デビュー時やプロ4戦目で日本バンタム級タイトルを岡部繁さんからKOで奪った試合の映像などを見ると、まさに天才だと思う。キャリアの浅い時期にああいう動きのできる人が天才なのだ。カリスマとしてファンの圧倒的な支持を受けたのも納得である。」
井上尚弥という逸材がプロデビューした時、周囲は騒いでいたが、正直言うと私の感想も同じだった。あぁ、次元の違うスピードとリズムをもったまさに正しくプロスペクトだが、海外ではよくいるタイプかな?辰吉とはスケールが違うと。
実際、井上はモノが違い過ぎる才能で相手に襲い掛かるが、佐野友樹も田口良一も徐々に慣れて明らかに実力で劣るものの対抗していった。初期の辰吉は遊びを入れながらスイスイ避けて急所に一撃で相手を破壊していた。ボクシングをするために生まれてきたかのような長い腕、懐深いボディ、センスの塊だった。
しかし井上は勤勉だった。ガード、ディフェンス意識も高く欠点がほとんどなかった。修正を重ね階級を上げて才能がスパークした。対する辰吉は「ボクシングは芸術作品、一度でも負けたら引退や」と言い、ノーガードスタイルを貫いた。
そのスタイルでレジェンドになった男はほぼいない。傷つかなかったファイターは一人もいない。究極がナシーム・ハメドくらいだろうが、異能すぎるファイターだ。
ロイ・ジョーンズJrやマイク・タイソンでさえ、いつか綻び倒される日が来る。フロイド・メイウェザーは、負けない、傷つかないファイトを研究し尽くして偉大な記録を残した。
エマニュエル・オーガスツ
「私は彼を特別だなんておもっていなかった。140ポンドで再戦がしたいくらいだ。すべきことをしたと言う意味で評価している。ビッグパンチャーでなかった事が彼を偉大にしたんだ。ジャブ、スピード、フットワーク、ディフェンス、カウンター、距離のコントロール、複合的なものを磨きに磨いて偉大な存在になったんだ。」
フロイド・メイウェザーは臆病だからこそ、己のスタイルを完成したのではないだろうか。
歴史を振り返ろう。
究極のファイター、負けないファイターは、いついかなる試合でも、何よりもディフェンスが鉄壁だ。ワシル・ロマチェンコ、テレンス・クロフォードの一番の魅力はやはりディフェンスだ。すさまじいパンチ、攻撃力を持っていても、全ての相手に通用する、発揮できるわけではない。
井上尚弥のネクストステージが楽しみで仕方がない。
彼は日本史上最強、限りなくコンプリートファイターに近い。
しかし、ブレークしたノニト・ドネア戦のようなファイトを繰り返していると、きっと綻びが出始める。無意識のダメージと激闘の記憶が刻まれる。
歴史を振り返ればそれがわかる・・・
すべきことをする、それが記録、記憶、伝説となる。