プロボクシングは、芸能界と同じ。
プロモーションの思惑や事情で売り出す選手が決まっているだけで、本当に才能あるもの、非凡な選手は知名度、人気とは関係ないところに潜んでいるのだ。
[st-card id=77146 ] [st-card id=98952 ]
カリフォルニア州のランチョ・クカモンガにあるロスオソス高校の廊下は危険だった。彼らが通るのを邪魔すると踏みつけられた。彼らは4人のジュニアフットボール選手で背が高く、周りのティーンエイジャーよりも体格が良かった。
自称ワルの4人組は、鉛筆のように細い、気取らない性格と愉快な笑顔を持つ新入生のことを聞いていた。その痩せ細り、弱々しくみえる子供が、グローブをつけると近所で有名なほど強いとは信じられなかった。
彼ら4人組は当時114ポンドしかなかったレイモンド・ムラタラよりも少なくとも40ポンド(20キロ)は重かった。彼らはムラタラが気に食わなかった。ムラタラはそのことを 父親のガブリエル・シニアに話すと、父はレイモンドに許可を出した。
レイモンド
「やりたければやろうぜ、ウチの裏庭にリングがあるからボクシングでケリをつけよう。」彼らは、フォンタナ(カリフォルニア州)のムラタラの家に訪れた。
あっという間の出来事だった。
最初の一人はレイモンドからボディに強烈な左フックを受け苦しさのあまりのたうちまわった。他の3人はそれを見て、トライすらしなかった。
ムラタラの家族は笑いながら回想する。
それはムラタラの家の裏庭にあったリングにまつわる多くの伝説の物語の一つに過ぎない。レイモンドと彼の兄ガブリエルJrのボクシングの才能を生んだ伝説の場所、そこでレイモンドは腕を磨いた。
スイッチヒッターで5フィート8、23歳のライト級は、最近トップランクと契約したばかりで、9勝0敗、7度のノックアウトを記録している。
南カリフォルニアのボクシング関係者なら誰でも、ムラタラの有名な裏庭のジムについて知っている。ライアン・ガルシアやバルデラス兄弟のホセとカルロス、2020年の米国オリンピック選手、マーク・カストロまで、誰もが行ったことがある。
レイモンド、ニックネーム 「デンジャー」は、アマチュアでライアン・ガルシアを3回破っている。やがて彼らは仲良しになった。
レイモンドとガブリエルJrがボクシングを始めたのは7歳と10歳の時だ。彼らのボクシングテクニックは、トレーナーでもあるガブリエル・シニアが1年後にリングが売っているのを見つけてから加速した。それはトーナメント大会で使われる予定だったが上手くいかず未使用だった。ガブリエル・シニアが購入を申しでると、相手と親交があったため寄付してもらうことができた。
そこ(裏庭のリング)は近所の子供たちやフォンタナ周辺のボクシング関係者にとって磁場のような存在になった。
レイモンド
「7歳の時に父が兄と俺にボクシングを勧めてくれたんだ。最初は正直嫌だった。ビデオゲームに熱中していたんだ。母が蹴ったり叫んだりしながら無理やり行かされたことをよく覚えている。最初は縄跳びの仕方もわからず笑われたよ。でもそれが俺たちに新しい世界を切り開き大人へと自立させた。8歳か9歳の時に父が庭にリングを作ってくれた。」レイモンドは何かに気付き始めた。 アマチュアトーナメントで優勝した。16歳の時「デンジャー」は 全国大会で優勝した。好きなことから始めた事が将来の職業への思いに変わった。しかし父親はレイモンドとガブリエルJr.をプロにすることには消極的だった。
ガブリエル・シニア
「俺たち家族はアマチュアが好きだったし、全国大会レベルでの戦いに夢中だった。世界中を旅した。でも(採点など)気に入らないこともあった。それについてじっくり話し合って決めたんだ。」レイモンド
「プロになるという決断をしたのは自分自身だ。父や家族が全面的にサポートしてくれた。」彼の控えめな態度はバックボーンに由来している。レイモンドが見たことのないスタイルはない。リングに上がるときはいつも、揺らぐことなき自信を持っている。
レイモンド
「幼い頃から父はスマートに戦い、精密なカウンターパンチャーになることを望んでいた。リングに上がったらロックインするんだ。規律を守り、節制している。135ポンドで問題ない。」COVID-19のパンデミックの影響で、全国の多くのジムが閉鎖されている。しかし彼らには裏庭のジムがあるので、スパーリングをしたりアクティブに過ごすことができている。
ロベルト・ガルシアに管理されトレーニングを受けているレイモンドは、COVID-19の流行が収まる年末までに、さらに数回戦うことを目指している。その間、刑事司法の学位を取得し、ロサンゼルス郡の保護観察課で働く母親のモニカの跡を継ぐことになるかもしれない。
規則正しい生活とハードなトレーニングを続けるムラタラ家の裏庭には、何百人もの才能あるファイターがやってきては泣きながらリングを去っていった。
ガブリエル・シニア
「多くの偉大なファイターを見てきたが、レイモンドには彼らを倒す才能があると確信している。レイモンドは全てがスローモーションに見えるんだ。小さい頃から レイモンドが戦う度に注目されてきた。彼とガブリエルのスタイルは世界中が注目している。息子だからというだけではない。レイモンドは試合を重ねるごとに上達していくのが分かる。」テレンス・クロフォードのトレーナーであるブライアン・マッキンタイアは、レイモンドの直近の試合の解説者で、レイモンドは見ていて美しいと述べた。
ガブリエル・シニア
「二人の息子をとても誇りに思っている。レイモンドやガブリエルに指示する必要はありません。彼らは朝起きて、自分たちで何でもする。何をすべきか全て分かっている。」
長かったので、かなり端折りました。
誰も知らないと思いますが、ネームバリューを無視すれば、昨年一番感嘆、驚愕したのが
https://www.youtube.com/watch?v=XEPkEYLMp5s
この最初の左フックでした。VTRではわかりにくいし、相手は立ってきましたが、なんとナチュラルで鋭く危険なタイミングなんだと唸りました。それでもアンダーカードの無名だし、ムラタラがそこまで筋のいいプロスペクトとは知りませんでしたので自分が忘れないように残しておいたのです。
Muratalla puts Mauras on the canvas in Round ☝️#CommeyBeltran | @ESPN+ pic.twitter.com/FxZNaK5MNS
— Top Rank Boxing (@trboxing) June 29, 2019
こっちがわかりやすい。
[st-card id=77146 ]プロボクシングは、芸能界と同じ。
プロモーションの思惑や事情で売り出す選手が決まっているだけで、本当に才能あるもの、非凡な選手は知名度、人気とは関係ないところに潜んでいるのだ。
ムラタではなくムラタラ、ムラターリャ、ムラターヤかもしれませんが
ホンモノです。
上にあげたオマール・ファレスも、やや小粒ですが素晴らしいなと感じた選手です。