なかなかいい記事なので、省略してご紹介。最近最も顕著なのがシーサケット・ソールンビサイだな。デビューで負け、カマセ犬、アンダードッグからはじまったボクサーが栄光を掴むストーリーは胸が熱くなる。
古くは日本にもペンドルトンはいた。先日紹介したOK牧場だ。その他多くのボクサーが敗北を糧に這い上がった。
ヘンリー・アームストロング、歴代屈指の伝説のボクサーだ。誰もその事について議論する余地もないだろう。全スポーツ界の巨人だ。
アームストロングはデビュー戦でノックアウト負けしている。
その後の180戦に及ぶキャリアでそれが唯一の挫折というわけではなくその後も時々負けている。フェザー級、ライト級、ウェルター級を同時に制覇したこの巨人のスタートは1勝4敗からはじまった。下手くそな負け犬からキャリアを始めて、のちに偉大なファイターになることを想像するのは難しい。いかなる時代でも誰もがヘンリー・アームストロングのようになれるわけではない。特に最近では少ないキャリアで勝負する傾向があるので、敗北は命取りだ。
とても困難な道のりだが、それは不可能な事ではない。
今週土曜日、32歳のキューバ人、ヨルデニス・ウガスは9試合連続勝利をしようとしている。そうなれば9勝目は31歳のIBF王者ショーン・ポーターを下すことになる。
23勝11KO3敗のウガスが世界戦にこぎつけたのは驚く事ではない。2005年の世界選手権ライト級金メダル、2008年北京オリンピックの銅メダルという堂々たるトップアマチュアだった。
ウガスがここまで来た道のりは尊いものだ。2014年にエマニュエル・ロブレスとアミール・イマムに連敗した時、ウガスはプロとしての自分を再構築する旅に出た。彼がどれほどの遠回りをしてきたか感慨深いものがある。
それは誰もが学ぶべき教訓だ。ほとんど全てのファイターはキャリアの途中で敗北する。無敗の輝かしい世界王者になり大金を稼ぎたいファイターにとって敗北は心を傷つける。しかし世界戦の前だろうが後だろうが、23勝3敗であろうが、実際は関係ないのだ。
ボクシングで大事なことはキャリア全体が最後にどのような意味を持つかだ。
最近のいい例にIBFスーパーフェザー級のテビン・ファーマーがいる。彼はデビュー戦で負け、12戦目で後の世界王者、ホセ・ペドラサにも負けている。ファーマーはそれでも戦い続け、7勝4敗1分から28勝4敗1分まで記録を伸ばし続けている。ペドラサ戦以降は負けを知らない。
ミドル級の巨人、バーナード・ホプキンスもデビュー戦で負けている。初めての世界戦でロイ・ジョーンズに敗れ、2度目のチャンスでもセグンド・メルカドと引き分けてタイトルを獲得できなかった。
しかし、そこからエイリアンの快進撃がはじまった。
殿堂入り候補といわれるラファエル・マルケスもデビュー戦でビクトル・ラバナレスにストップされ、マーク・ジョンソンに勝って世界王者になるまでに2度敗北している。その後はバンタム級周辺で一時代を築いた。
1990年代、キャリア初期の逆境を克服していく男として人気を博したのがライト級のフレディ・ペンドルトンだった。初めて王者のパーネル・ウィテカーに挑戦した時の彼の戦績は24勝16敗3分だった。ウィテカーにとっては気楽な夜のはずだったがペンドルトンは大健闘してみせた。その後、苦節を経てIBFの王者になるも長く防衛することは叶わなかった。しかし彼は戦い続け、今やペンドルトンを何も成しえなかった男という者は誰もいない。(47勝35KO26敗5分で引退)
ペンドルトンのストーリーに比べれば、ウガスには遥かに可能性がある。しかし32歳の今、土曜の夜は彼が掴んだ生涯一のビッグチャンスだ。勝とうが負けようが、ウガスがそこに到達するのに無敗記録など必要なかったのだ。
ウガスが戦い続け、諦めない限り、夢はリングにあり続ける。そういう男のまた一つの物語だ。
マイティさんのコメント
敗けた事の無い人間より、敗けても諦め無い人間の方が怖い、ですよね。
そうだ、負けを糧に出来ないファイターが一番ダメで、敗北を克服し学び、進化、成長するファイターこそが本当のプロボクサーだ。どんなボクサーもヘンリー・アームストロングの精神で自分を信じ勇気を出して欲しいと願う。アンドリュー・カンシオのように・・・
トップアマの戴冠が常識となった現代にも雑草のストーリーは花を咲かせる、いついかなる時代でも。
ヘンリー・アームストロング(Henry Armstrong、1912年12月12日 - 1988年10月22日)は、アメリカ合衆国出身の男性元プロボクサー。ミシシッピ州コロンバス出身。元世界フェザー級、ライト級、ウェルター級王者。
身長わずか166cmの身体でありながら、「スポーツマン心臓」と呼ばれる驚異的なスタミナと強打でフェザー級、ライト級、ウェルター級の三冠を手にした、
史上唯一の三階級同時制覇者。ウェルター級王座は同級史上最多の19度防衛を達成している。当時のボクシングの階級が8つしかなく、王座も分裂前の統一王座だったことを考えれば、その偉業の価値は計り知れない。「ハンマリング・ハンク」「殺人ハンク」と畏怖された猛ファイター。左手を下げたクラウチングスタイルで絶えず身体を振りながら鋭い追い足で敵に迫り、パンチをかいくぐって至近距離から「永久機関」(Perpetual Motion)と形容された左右フックの連打を叩き込む。敵の反撃は巧みなボディ・ワークでかわし、その動きをすかさずパンチの動作に繋げていく。
1分間の鼓動が29という特異体質とさえ言われたスタミナとタフネスがこれを支えた。一見ラフなスタイルであるが、思い切った近接戦に持ち込むことで敵のパンチの威力を減殺できる上、回転の速い連打が出せるこの戦法は、特に体格で優る相手に極めて効果的であった。フェザーからいきなりウェルターにウェイトアップしたり、ミドル級の強打者セフェリノ・ガルシアを圧倒し得たのはこの戦法の故であろう。
通算戦績
181戦151勝(101KO)21敗9引分け
https://www.youtube.com/watch?v=TtMzU4Ah-Ao