アンダードッグ/マーロン・タパレスVS勅使河原弘晶

人生のドラマはテオフィモ・ロペスから井上尚弥に遷移したのではなく、この試合だった。

先週土曜日、カリフォルニア州カーソンのディグニティ・ヘルス・スポーツパークで行われた勅使河原弘晶との対戦で、マ-ロン・タパレスは爆発的で圧倒的な勝利を収めた。IBFSバンタム級エリミネーターで勝利すれば、IBF/WBAタイトル保持者ムロジョン・アフマダリエフへの挑戦が決まるが、敗れればゲートキーパーに降格してしまう。

29歳のタパレス(35勝3敗、18KO)は、1ラウンドで勅使河原から2ノックダウンを奪い、2ラウンド開始数秒で右フックを決めて、この6年間で最も重要な試合で圧勝し、世界戦の切符を手に入れた。

勅使河原(22勝3敗2分、15KO)は2016年の赤穂亮とのスプリット判定以来負けていなかった。

サンマン・プロモーションズのプロモーター、ジム・クロード・マナンキルはIBFが3月か4月までにアクマダリエフVSタパレス戦を命ずる可能性が高いと語る。

元WBOバンタム級王者のタパレスが劣勢なのは間違いないが、マナンキルはタパレスは新しいトレーナー、エルネル・フォンタニラとティン・アリオサのもとで復活したと主張する。

マナンキル
「タパレスは今や別格の怪物だ。岩佐亮佑に負けたとき、誰もが彼を見限った。でも今は違うんだ。彼はとても調子がよくて、強くなっている。彼はMJを倒すだろう」

フィリピン・ラナオデルノルテ州のタパレスは、リング上で安定した成績を残すことに苦心してきた。2015年、タイトルエリミネーターで大森将平を2ラウンドでノックアウトし、勅使河原への勝利を彷彿とさせる活躍で世界の舞台へと躍り出た。

タパレスが2016年にタイでプンルアン・ソー・シンユーに下したタイトルマッチは11ラウンドKO勝ちだったが、5ラウンドに自身が2度のダウンを喫してからのことだった。翌年、大森との再戦で計量オーバーでタイトルを失い、調整試合で低迷した後、2019年12月に岩佐亮佑に11R TKO負けを喫した。

タパレスは、新しいトレーナー、そしてプロモーターのジム・クロード・マナンキルのおかげでキャリアを再び軌道に乗せることができた。ロサンゼルスに残り、世界タイトルのために準備を続けるという。

アフマダリエフ(10勝7KO)は2020年1月にダニエル・ローマンにスプリット判定で勝った統一タイトルを2度防衛している。直近の試合は1カ月前、DAZNカードのヘッドラインで、ホセ・ベラスケスを圧倒している。

タパレスは、アンダードッグであることの挑戦に怯えてはいない。

タパレス
「私は戦う準備ができていて、チャンピオンになる準備ができている」

両者10回戦って、10回はこんな結果にならなかっただろう、いや、なったかな、それくらい、タパレスの圧倒的な劇勝でした。

タパレス(35勝3敗、18KO)はKO率は普通だが、倒す時は凄まじく昔のパッキャオのような力感がある。大森やプンルアンとの試合で、弱点もある程度露呈しているが、序盤の危険度や左右フックに秘める爆弾はかなりのものだ。

そんな相手に勅使河原本人、陣営は過信したのか、これじゃまずいでしょという顔面ガラ空きスタイルで見事に粉砕された。

タパレスは本来、バンタム以下の体格のように感じるが、フィリピンのファイターというのはどこか無尽蔵なところがある。決してアンダードッグではなかったし、むしろ極めて危険で過去一レベルの高い相手だと覚悟して臨むべきだった。

岩佐や和氣、勅使河原など、日本のSバンタムが挫折を味わい、今、マーロン・タパレスが浮上した。

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