
大橋ジムの方針、思想が詰まった世界戦という印象です。
今年9月3日に京都で久保隼からWBAスーパーバンタム級タイトルを奪ったダニエル・ローマンは、2月28日に後楽園ホールで初防衛戦を松本亮と戦うため、日本に戻ります。
ローマンは世界チャンピオンであるにも関わらず、名声からはかけ離れています。
ローマン
「現状に満足できません。誤解しないでください。世界チャンピオンの称号は誇りにおもいます。しかし意義ある防衛をしてその価値を高める必要があります。松本戦がそのはじまりです。彼は死に物狂いでベルトを奪いに来るでしょう。負けるわけにはいきません。納得する試合をし、勝ちにいきます。この試合は想定内でしたので、準備してきました。これからトレーニングキャンプにも入ります。試合を楽しみにしています。」アレックス・カンポノボ(マネージャー)
「2018年はダニエル・ローマンにとって活発な年になるでしょう。今この階級は活気があります。ダニエルが健康で防衛を重ねていけば統一戦の機会も訪れるでしょう。しかし、そのチャンスは今のところ開かれておらず、ただ、待機しているような状態です。」もし、ダニエル・ローマンが防衛をしたら、次こそ、アメリカでTV放映されるチャンスが訪れるだろう。
「テレビ局が私やダニエルと仕事してみたいとおもってくれたらいいね。けれどテレビは馬鹿げていて、放映に値しない選手を持ち上げたりしています。アダム・ロペスなどがもてはやされてきましたが、ただのテレビ向けキッズでした。ダニエルにテレビ放映のチャンスが訪れるといいですが・・・
ここ、アメリカではダニエルにマーケットが開かれていません。そんな状況なので、どこに行ってでも試合をこなす必要があります。」
やはり、久保隼という無名の王者に勝っただけの、同じく無名のダニエル・ローマンは、米国では認知されていないようです。現状はフィリピンやタイ選手が日本にやって来るのと変わらぬ状況でファイトマネーも安いでしょう。
個人的に、どちらのボクサーも世界レベルにはみえません。
ローマンが正攻法の模範的なボクサーファイターであるのに対し、松本は国内アマの実績、プロ戦績、KO率も見事だが、強さがわかりにくいボクシングです。長身の強打者らしいが、手打ちのようなパンチを多用するファイターっぽい印象があります。セレスティーノ・カバジェロのようなボクシングと言ったらいいのかどうか・・・KO率が高いですが、小さな相手、ロートルなどが多いからというのもある。非常に多く手を出す積極的なスタイルなので、激しい試合が予想されますが、リコンドーが王座を剥奪されて、この両者が王座を競う事に違和感はあります。
レイ・バルガスやジェシー・マグダレノ、新年早々にはマグダレノの休養王座にセサール・ファレスVSアイザック・ドグボエなんかもセットされており、IBFには新米王者の岩佐もいます。
が、著名どころは皆この階級を去りフェザーに移行してしまいました。今、微妙にスター不在の王座がSバンタム級といえそうです。そのスキをついて、フェザーでは厳しそうなトップアイドル、マイケル・コンランやシャクール・スティーブンソンが急接近している気もします。彼らの方が集客力もオッズも既に上でしょう。
2018年、きっとこの階級には動きがあるだろう。
松本は井上弟と違い、海外格下選手でキャリアを構築してきた感が強く、正しく力を査定しづらい選手ですが、何でもない選手に痛恨の敗北をした過去があります。これは甲状腺の持病による体調不良だったそうで、手術を経て問題なくリベンジしました。個人的にもこれと同様の持病を持つ管理人から言わせると、よくこの持病を抱えてボクシングをしてきたなという気持ちです。すぐ疲れ、スタミナが持ちません。熱くもないのに大量発汗します。症状によっては視力も狂います。薬でごまかしていたのだろうが、この病気を克服した松本には頑張って欲しい気持ちもあります。
今のところ、全階級で最も無名、ノーマークといえそうなダニエル・ローマンですが、その存在を自国に知らしめるべく、TV局などのサポートがつくような試合を演じることはできるでしょうか?
この試合は、個人的にはどちらも応援することなく、ただ、冷静に見届ける世界戦となりそうです。予想するには未知数な部分が多すぎる。KO率は低いが対戦者の質ではやはりダニエル・ローマンの方が説得力はある。