ビッグマッチ後はいつもしばし放心状態となります。何も言ったり書いたり出来ない気分に。酒場なんかでそのまま語り合える状況があればすっきりするんでしょうね。
昨日のPPV興行は日本でどれほどの人が認知していたかわかりませんが、そういう試合、そして改めて、わかっちゃいるけど色々な事が明確になったような気分でした。皆様のコメント含め、一番ずばりと核心ついていたのはやはり井上尚弥の言葉です。
井上
「やっぱり階級の壁がありますね。適正階級がいかに大事なのかがわかる」
「ガルシアが普通の選手になっていた。あれじゃ階級を上げても意味がない」
「今の時点では、スーパーバンタム級。ゆくゆくは30歳、4年後に行けてもフェザーだと思う。その時の調子に寄りますけど。スーパーフェザー級? 普通の選手になりますよ。埋もれると思う」
個人的にはマイキーのディフェンスと、試合前の発言を確認できる試合ぶりに感情移入してしまい、12ラウンドには
フィジカル、パワー差がすごくてスペンスは倒してこそ勝者
判定だとポイント負けでもマイキーが勝者
なんて書いてしまいましたが、こういう試合でつい見落としていたのが
マイキーのオフェンス
スペンスのディフェンス
でした。
[st-card id=61125 ] [st-card-ex url="https://boxvideo.sports-web.net/premier-boxing-champions/10561" target="_blank" rel="nofollow" label="" name="" bgcolor="" color="" readmore="続きを見る"]スペンスのパワフルな波状攻撃を受けてもマイキーは自らが言っていた「違いを生むのは微妙な小さな動き」でまともには食わない。全てのパンチの芯をあらゆる技術を駆使して外していく。だから判定まで生き延びた。しかしスペンスのパンチが強烈多彩なので、ディフェンスに忙しく、攻撃に移行する間、タイミングも遅れてしまう。守っても効かされてしまう。守れても攻める事ができませんでした。
対するスペンスはウェルター級でもピカ一なパワーとフィジカルでマイキーの攻撃を無効化できていました。ガンガン攻めても上半身の柔らかなスペンスはスウェーやボディワークで顔面は遠く打たせない。軽いブロックでもマイキーのパンチを遮断してしまう余裕がありました。それでもマイキーが一生懸命前に出て攻めるシーンもありましたが、とてもスペンスを効かせる、脅かすものにはみえませんでした。
パワーやフィジカルばかり目立つスペンスですが、実はディフェンスのケアも相当なもので、自分だけ当てて当てさせない、食っても効かない試合ばかりだったのを忘れていました。
しかしこれらは事前に予想できた事、井上尚弥が言う階級差そのものでした。いつものらしさが発揮できない。守れても攻めれない、効かすパンチは打てない。
今後、こういう階級差を超えた試合はこの点を忘れずにいよう。
得てしてこういうビッグマッチは階級下が頑張って判定決着になりがちだ。
それでも試合後にリングインしたパッキャオがスペンスに向かうなら応援せずにはいられないし、今なお強く、瞬間の煌めきとキャリアを持つパッキャオならばわからないという気持ちもあるが、やはり強烈なスペンスのパンチを前に守りで忙しくなってしまうだろうな。当時のメイウェザーより手ごたえがあり厳しい相手といえる。
スペンスがリングインした時にネックレスだらけのメイウェザーと軽い抱擁を交わしていたけど、その一瞬の姿にさえ、メイウェザーがスペンスの事を心から認めている、畏怖の念すら感じました。
スペンスはスペンスで、クロフォードがホンモノ、サーマンが偽物、俺はホンモノを倒してウェルターを統一したいと気持ちのいい発言をするも、次はパッキャオ、無理ならポーターとかサーマンも煽っていたり、言ってることに一貫性がないのが逆に決まらない理由ともおもえるが、P4Pトップ並の超一流であるというのは誰もが認めるところだ。
スペンスがウェルターの域を飛びぬけたフィジカル、パワー、能力なのは認めつつ、それでもスーパーウェルターはもっと大きな選手も多いし、米国人だらけという現状も納得がいかないので、これからもロシア圏のウェルターに期待していく。
ルイス・ネリーVSマックジョー・アローヨ
[st-card-ex url="https://boxvideo.sports-web.net/premier-boxing-champions/10557" target="_blank" rel="nofollow" label="" name="" bgcolor="" color="" readmore="続きを見る"]日本人ボクシングファンには、メインに負けぬ関心があったようです。
「ボクシング界で最も才能ある選手の1人であることは明らか」
と米国でも確かなる評価を勝ち得てしまったようです。
[st-card id=61120 ]勝負にならないフィジカル、パワー差がありました。
ネリーのパンチがかすめるだけでアローヨはそのパワーに畏怖して自ら膝をつく。
とても敵わないと序盤で棄権してしまいました。
反論を覚悟で正直に言うと
カネロVSGGG初戦
ネリVS山中初戦
でドーピングが発覚した両者ですが、この時は改造された肉体にまだ慣れておらず(あるいは改造中)再戦時に完成されたように感じます。
両者共に、パワー化はもちろん、反応、耐久力が備わってサイボーグと化しました。これが練習の賜物で完全な白なら謝罪しますが、薬に手を染めた肉体は二度と元には戻らないと私は判断します。全てが超人化、パンチがかすっただけで効かされてしまうというのはかなりヤバい次元です。山中との再戦も今回のアローヨ戦も、鮮烈なクリーンヒットではなく、かすっただけのようなパンチで倒しまくるようになりました。
みそぎを落とし、世界から認められちゃっているとなっては扱いに困る存在です。
結局ドーピングが発覚しても、みそぎを落とせば復帰できる。しかもより大きなチャンス、舞台で。ここまで見越しているのであれば、それこそやったもん勝ち。日本という本場から遠い陸の孤島、山中戦だけルール違反を犯すのも、将来を見越せば通過点、予定通りだったのかもしれない。
個人的には、カネロ、ネリに関しては技術論とか語る気になれない。改造人間、サイボーグだ。
井上
「サウスポー同士なのでそこまで参考にしていない」
「パワーはありますけど、スピードはそこまでないので」アローヨ
「ネリーを認めねばならない。これが俺のキャリアの終わりではない。ネリーの過去の試合をみてきたが、こんなにパワーがあるとはおもわなかった。」
その他試合含め、体格、フィジカルというのがいかに大事で、試合にどう作用するのかが改めて浮き彫りになる一日でした。
そんなの何度も目撃し、わかっちゃいるのに夢をみる・・・ダメだなぁ。