静かな週末、恒例のサタデーナイトではなくサンデーナイトに行われたメインイベントは反響少なく静かに幕を閉じたが、ラモン・ピーターソンVSセルゲイ・リピネッツのウェルター級サバイバルマッチは白熱の興奮のボルテージに包まれた最高の試合でした。
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レイモンド・ピーターソンVSセルゲイ・リピネッツ LIVE
エロール・スペンスに敗れたピーターソンは強くなって帰ってくるのか、錆び付いているのか、まだまだいぶし銀の技巧を発揮して欲しい。対するはWBSSに出場できずにウェルター級への転向を決めたリピネッツ。キッ ...
歴戦のキャリアで傷つき、ダメージを蓄積させた35歳の古豪のピーターソンが、おのれの集大成というべきフルファイトを繰り広げリードするも、痛恨の逆転パンチを浴びて力尽きる、長年連れ添ったトレーナーであり父親代わりのバリー・ハンターが我が子を救った感動的なラストでした。
この試合もまた墓場まで持っていくべき忘れがたき名勝負でした。
週末に行われた、ファイトオブジイヤーレベルの試合、セルゲイ・リピネッツVSラモン・ピーターソンの試合はFox Sports1で大盛り上がりをみせた。
ワシントンDCのピーターソンは約3年ぶりに彼のホームで戦った。メリーランド州オクソンヒルのMGMで観戦したファンも周辺地域でTV観戦したファンも、ピーターソンが10ラウンドにストップされるシーンをみて感涙にむせぶ想いだった。
長年、ピーターソンをトレーニングし、メンターでもあり、父親代わりでもあったバリー・ハンターによってタオルを投入された元2階級王者のピーターソンは、起き上がるとリングの中央に立って引退を発表した。ハンター自身も感傷的になっているようだった。
ピーターソン
「長いボクサー人生だったが、今日がその時のようです。みなさんのサポートに感謝します。俺はみんなが大好きでこれからも地域のみんなをサポートしていきたいとおもっているけど、グローブを吊るす時が来たようだ。ここよりいい場所を俺は知らないけれど、リングで会うのは今日が最後だ。」勝者のリピネッツでさえ、この瞬間をうまく受け入れられないようだった。
リピネッツ
「ピーターソンが引退を発表した時、悲しくなりました。彼はまだまだ強く、たくさんのオファーがあるだろうし、素晴らしい試合をファンに提供できる。」ピーターソンはプロアマ合わせて25年間のボクシングキャリアで人々に多大な影響を与えてきた。多くのアスリートが壮絶な過去を持つピーターソンをリング内外でローモデルとし尊敬してきた。ホームレスからボクサーへ、比類なき彼の倫理観と練習の虫が15年のプロキャリアで2階級の王者となり話題になった。
ピーターソンの次の人生設計はまだ明確ではないが、この復帰戦までに1年以上の休養をとっている時から想いをめぐらせていた。無敗のウェルター級王者、エロール・スペンスに敗れてから14か月の静養をとっていたが、その間、より健康的な人生について常に考えていた。ライフスタイルを変える以上に気づいたことはもっと学ぶことだった。
ピーターソン
「ボクサーとして身体についてたくさん研究してきた。栄養学や解剖学について。リングを離れている時に最も関心をもって取り組んできたことでもある。だから、スポーツ栄養学を学ぶために学校に行こうとおもう。学生に戻るかもしれない。」彼のリングでの経験と実績を加味すれば、スポーツ栄養学の教師になるというのはとても理にかなっている。
アンソニー・ピーターソン(弟)
「実際にそんな夢を抱きつつ、それが何を意味するかまではわかんないんだけど、ラモンは俺に世界王者レベルのコーチをしてくれた。彼が素晴らしい先生であることはわかっている。若い連中とスパーリングする時でさえ、ラモンは鋭い指摘をして俺たちを導いてくれた。」
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レイモンド・ピーターソンVSセルゲイ・リピネッツ LIVE
エロール・スペンスに敗れたピーターソンは強くなって帰ってくるのか、錆び付いているのか、まだまだいぶし銀の技巧を発揮して欲しい。対するはWBSSに出場できずにウェルター級への転向を決めたリピネッツ。キッ ...
ラモン・ピーターソンVSセルゲイ・リピネッツ
ボクシングの醍醐味が凝縮された試合。
攻防共にピーターソンのクオリティが上で、彼が勝つ展開だった。負けたら引退、悔いなきラストファイトを意識していたのか、ピーターソンはファイターのリピネッツに対し真っ向から打ち合う選択をしていたが総合力、熟練の技巧で常に上回っていた。
しかしそこはリピネッツの真骨頂、しこたま打たれ、特にボディを削られても、持ち前のフィジカルとパワーで耐え続け、10回に試合をひっくり返した。リピネッツにとっても苦しい、ギリギリの逆転勝利だった。
ショッキングな逆転負けを屈したピーターソンはどこかさわやかで吹っ切れたような表情で、地元ファンの前で引退を発表。ある程度、これが彼の見納め、ラストファイトになりそうだというお膳立てが整っていたのだろう。
親に捨てられ孤児となったピーターソン兄弟のストーリーは以前書いてきた。
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これらの記事をみても、彼がボクシングテクニックだけでなく、コンディショニングや健康管理について、単なる学問としてでなく自らアスリートとして悩み苦しみながら学んでいったことがよくわかる。
子供時代に学校に行けず、教育を受けてこれなかったからこそ学びなおしたいという気持ちもよくわかる。アメリカのホームレスキッズ出身といえど、このピーターソン兄弟からは悪童のような気質も犯罪っぽい匂いもまるで感じず、いつも穏やかで優しいイメージがあった。
きっとこういう男が指導者としても人間としても優れている。
スペンスも偉大な先輩に敬意を表していた。
かつては高い壁であり、学び、吸収し、乗り超えて今がある。
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