土曜日の夜、ロンドン、WBSSスーパーライト級決勝戦はジョシュ・テイラーがレジス・プログレイスにMDで勝利しアリ・トロフィーの栄冠をつかんだ。しかし勝敗は陳腐であり、そこに敗者はいなかった。
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[st-card id=93027 ]両選手が死闘を演じ、試合後の互いに健闘を称えあうスポーツマンシップをみてこの複雑なスポーツを愛する理由を再確認する思いがした。
スコットランドのテイラーとアメリカ、ルイジアナ州のプログレイスは大会当初から優勝候補の本命で共に順当に決勝に勝ち上がってきた。そして、決勝ではリングで相互に尊敬しあう地点にまで到達した。
ジョシュ・テイラー
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レジス・プログレイス
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共にサングラスをつけずに友情を交し合った。
それは激しい競争であり魂の出会いでもあった。二人の男は互いを限界まで追いやり、一人の男の手が挙がり優勝が決まった。プログレイスは優雅さと品位をもって敗北の失意を処理した。彼の株は下がることはなかった。勝者を称え、文句も言い訳もしなかった。彼の態度は敗者、失望に対処するためのローモデルであることが証明された。
正々堂々戦い、最後まで美しかった両者に感謝する。
全盛期でトップレベルを極める者同士の対決は互いに強打者であっても競った判定決着になる事が多く、この試合はエロール・スペンスVSショーン・ポーターに似た駆け引きなしのガチバトルだった。
テイラーは長身、リーチ、フットワークに頼ることなく一見、プログレイスが得意そうなインサイドで打ち合うことで相手の優位性を潰していった。バランチェク戦とは違う戦い方で見事だった。
プログレイスは一歩も引かないテイラーの攻勢に面食らい、下がることを余儀なくされるやや受け身の戦い方になってしまった。それでも器用な彼にしてみればその方が自分から試合を作っていくより楽だし、天賦の才能でタイミングを見出し逆転していくだろうとおもっていたが最後までテイラーの勢いを止められなかった。
それがピークのテイラーの底なしの体力と精神力だ。
勝敗はついたが、ダメージ、疲弊度でいえばどちらが勝者かわからない激闘だった。
ペースを支配し断続的に攻め続けたテイラー
単発、時折魅せるパンチや動きはテイラーの上をいくプログレイス
決勝にふさわしいハイレベルな両雄のクロスファイトでした。