もう一試合、ダイジェストでしかみてないですが、感情をゆさぶるのがルシアン・ビュテの動向です。
まるで、長谷川や内山、モンティエルの幻影のようではないか。
無敗のまま王者となり強烈な左アッパーを武器に9度も連続防衛した名王者。
キャリアの中には15度連続KOなんていうのもある。
けれど、スーパーミドル級最強決戦のスーパー6に出場しなかったことで評価が微妙なまま、準優勝だったカール・フロッチに痛烈なKOで破れて以来、一度も過去の栄光を取り戻せずにいる36歳。強打者にして打たれ脆さもあり、年齢的にもそこは克服できないだろう。
再起をかけLヘビーにも挑戦したが、同国対決のジャン・パスカルに敗北、ノンタイトルならクリアするが、Sミドルに戻しての王座戦、若き王者といえるジェームズ・テゲールや先日のバドゥ・ジャックにも引き分けで勝ちきれなかった。両試合とも接戦であと少しだったが昔の彼なら判定じゃなくKO決着してもおかしくない相手だ。
元々ルーマニア人なので、ボクシングを続ける限りは帰る場所もなくカナダでやっていくしかない。
そして、栄光と挫折を経てもう過去の人になりかけの今、結果がでずとも引退の2文字もなく黙々と再挑戦し続けている姿がかっこいい。
カナダで自分が自分らしくいられるにはボクサーであり続けるしかないのだ。
一度や二度の敗戦や年齢で軽々しく引退を意識するなんてもってのほか。
これは想像でしかないが、完全燃焼し、もう勝てない、弱くなったと自覚するまでずっとこのままでいてくれと願う。
現役の若き王者とは引き分けだ。あと少しで再び王者になれる。
チャンスがあるのがまだ恵まれているが、長谷川も内山もモンティエルもビュテのような気概で頑張り続けて欲しいとおもう。