井上尚弥にはバンタム級のスペック以上のエンジンが入っているから、使い方を間違えると壊れやすいともいえそうだ。
https://www.youtube.com/watch?v=nW2Jdc0d5b4
ハロウィンでモンスターに直面するという考えは、ジェイソン・モロニーにとって全く気にならない。
実際、1年以上前から彼の目の前にあった課題なのだ。
オーストラリアのキングスクリフ出身の29歳は、日本の"モンスター "井上尚弥を追いかけて、バンタム級で2度目の世界挑戦に臨む。10月31日、ラスベガスのMGMグランドのザ・バブルからESPN+で生中継され、井上のWBAとIBFのタイトルがかかっている。
モロニー
「ラスベガスに戻り、自分の夢を達成するために、そして世界ナンバーワンバンタム級になるために戦うことに興奮している」双子の弟アンドリュー・モロニーに続き、2戦連続でザ・バブルに出場することになる。兄弟の試合は、昨年6月に行われた2日間で大きく異なる結果となった。アンドリュー(21勝1敗、14KO)はジョシュア・フランコに12ラウンド全会一致の判定負けを喫し、キャリア初の敗北を喫し、ジュニアバンタム級王座に終止符を打つと同時に鼓膜が破れた。
その2日後の夜、ジェイソン・モロニー(21勝1敗、18KO)は家族の名誉を回復し、ESPNのヘッドライナーでレオナルド・バエズを7ラウンドで止めた。この試合は米国での2度目の試合で、2018年10月にフロリダ州オーランドで行われたワールド・ボクシング・スーパーシリーズの準々決勝で、当時無敗だったバンタム級のタイトリストであるエマニュエル・ロドリゲスに12ラウンドのスプリットディシジョンによる悲痛な敗北を喫した。
ジェイソン・モロニーは4連勝中で、母国オーストラリアで3連勝した後、アメリカに戻ってきた。WBSSバンタム級トーナメントで優勝した井上(19勝16KO)は、今日の世界最高のパウンド・フォー・パウンドのタレントの一人として世界的に称賛されている。
それは、挑戦者への期待に火をつけることに他ならない。
モロニー
「100%の準備ができているし、何か特別なことを成し遂げようとしていると自信を持っている」
実質的にはWBSSの幻の一戦といってもいい。
準決勝にモロニーが上がってきても不思議ではなかった。
ノニト・ドネアを第一シードのライアン・バーネットに取られた第2シードの井上は、パヤノとアロイヤンの選択でパヤノを選んだ。当時から、IBF王者のエマニュエル・ロドリゲスとジェイソン・モロニーのIBFタイトルマッチは決まっていた。
大橋会長が大絶賛する井上尚弥は、相手とはスペックが違い、序盤決着を予感させる圧倒感がいつもある。スピード、パワー、様子見で手を出していない時でさえ、一打必倒のオーラがあり、スパークしたらそれで終わりそうな凄みがある。トイレにもいけない、瞬きすら出来ない。
しかしその嵐が過ぎると、試合ペースが平坦になることもある。
国内でやっていた頃はタイ人を倒すのに時間がかかったが、試合中、なんらかのアクシデントを抱えていたようだし、判定まで長引いたデビッド・カルモナ戦では拳の怪我をしたようだ。
河野公平は井上の凄まじいパワーに開き直って勇敢に打ち合い、玉砕したが懸命なファイトを演じた。エマニュエル・ロドリゲスは初回から勝負に出てきた結果、短期決着となった。ノニト・ドネアとの決勝も調子が良く、序盤決着を予感させたが、歴戦のレジェンドには奥の深さがあった。
試合が長引くと、想定外の様々なアクシデントが生じてくる。
井上尚弥にはバンタム級のスペック以上のエンジンが入っているから、使い方を間違えると壊れやすいともいえるのだ。軽自動車のボディに究極の高級エンジンを積んでいるようなものだ。長引くと拳や身体がそのスペックをカバーしきれなくなる。そこだけが唯一の懸念事項とさえいえそうだ。
少なくとも、ジェイソン・モロニーは河野公平よりは自力があり、しぶとく食い下がってくるだろう。最高のコンディションで生涯最高の自分をぶつけてくるだろう。
その執念と実力は侮れないが、だからこそ、中盤、後半でどんなアクシデントがあっても大丈夫なように、否、序盤から圧倒的にどうにもならない差をみせつけて完勝して欲しい。3分、6分で試合が終わっても構わない。
序盤で圧倒的なKO勝利。
それが世界の”モンスター”井上尚弥が求められている姿だ。
WBSSに出場資格すらなかった、ジョン・リエル・カシメロが優勝候補の一角、ゾラニ・テテをあれだけ圧倒し、その後も大暴れしている現状では優勝者、井上尚弥も大爆発しなければならない。
無傷で問題なくクリアしてくれればそれでいいけれど・・・