井上VSドネアの衝撃の余韻は誰とも共有せずに浸っていたい。
初回の右ショート、井上は抜けるような感覚で手ごたえはなかったと言っていたが、ドネアは失神しており何が起きたかわからなかったようだ。それでも本能で当たり前のように立ってきた。レイチェル夫人に腕を上げてと言われて我に返り、あわててファイティングポーズをとっている。
あのダメージで、2回のドネアは死に体だったが、プレスしていくことで逆境を乗り越えようとしていた。最後の左フックで、予期されていたように、あのドネアがひっくり返り、試合は終わったが、すぐに立ってきたことに畏敬の念を抱いた。
初回のダウンも自分自身が右カウンター入れる過程だったし、2回もあのダメージの割には逆転の気概を感じた。あの日のドネアは恐ろしく強かったはずだ。だから、これで引退かどうかは本人が決めればいい。
私なんぞの生き遅れは、井上の劇勝よりもドネアの敗北に心を痛めてしまった。
未だ、キャリアや対戦者の質が問われるかもだが、あの圧倒感とスピード感、フィクションを軽く超えるパフォーマンスに、P4Pナンバーワンは納得だ。
難解なディフェンステクと、拳を身体のどこかにぶつけてパワー勝ちしているカネロ様とはボクシングの質が違う。
ウシクは成し遂げたことはすごいが、試合は常に眠いし、クロフォードやスペンスはたしかに凄いが、ジャロン・エニスの勝ちっぷりの方がヤバくねという印象だ。
なので、当サイト的には
井上がナンバーワンでエニスが2番。
ポール・バトラーの努力と献身は認めつつ、稼げる試合なので記念にやったところで勝敗はスルー
次なるステージ、Sバンタム級に目を向けると、スティーブン・フルトンの名前ばかりが出てくる。
身長でもリーチでも井上を大きく上回り、恐らく本質はディフェンスマスターであるフルトンをあのインパクトでノックアウトすることが出来るだろうか、恐らく出来るだろう。フルトンはまだまだ全く無名だが、メイウェザーの系譜に連なる判定ボクサーだ。パワーは微塵も脅威ではない。
井上VSドネア戦を受けて、もう一人、気になる人がコメントしていた。
「見たよ、凄かったね。俺はドネアの人間性もボクシングも好きで良く知っている。何度も一緒にスパーリングした仲さ。でも、俺ならもっとうまくやれる、井上に勝てる。」
こう豪語したのは、ライース・アリームだ。
WBA暫定王者だったが、暫定廃止の煽りを受けて無冠になってしまった。
やったところで無名なので価値はあまりない。
個人的には、異論はあろうが、フルトンよりアリームのファイトの方が好みだ。
KOパンチをぶち込んで魅せるファイトをするのでフルトンの試合よりは面白い。
井上より遥かに大きくて、ドロドロのファイトをするブランドン・フィゲロアはフェザー級へ転向か。
アフマダリエフも黙ってはいない。Sバンタムで強打者で鳴らしている。
いずれにせよ、井上尚弥の最終章、いや、あと3年くらいはSバンタムが主戦場であろう。
もはや
エデル・ジョフレを超えて
ファイティング原田には失礼だが
カルロス・サラテも超えちゃって
オーランド・カニザレスやミゲル・ララは好きだけど
ドネアだったと言いたいが
井上尚弥こそ
歴代、史上最強のバンタムだ。
ナルバエス戦
マクドネル戦
パヤノ戦
ロドリゲス戦
ドネア2
期待を上回る衝撃度の勝ちっぷり。
もはやエマニュエル・ロドリゲスは母国に同姓同名のプロスペクトが出てきちゃってなんてややこしいんだ。次はリゴンドーに勝ったフィリピン人とやるそうだ。遠回りを余儀なくされている。
このあたりは井上拓真のライバルか。
ドネアは拓真に勝ったウバーリに圧勝だ。
井上尚弥、もう個人的にはボクシングマニア人生の見納めでいい。
だがそこに、強烈な人気と個性のライバルはいない。