期待に背き、地味な判定続きのWBSSクルーザー級シーズン2だが、参加選手の覚悟、決意が相当で、個人的には見ごたえ満載だ。それでも、苦戦の判定ばかりでなく、破壊力満点の警察官、ブリエディスやKOドクターを自称するドルティコスのド派手なノックアウトが観たいのだけども・・・
WBSSクルーザー級シーズン2は10月13日にロシアのエカテリンブルクで開催され、米国のアンドリュー・タビティが地元ロシアのルスラン・ファイファーを僅差のユナニマスデシジョンで破った。
タビティ
「ロシアが好きです。ここで戦うのが大好きです。」1週間後には米国で、"KOドクター”キューバのユニオール・ドルティコスが昨年のWBSSトーナメントの雪辱の旅をし、ポーランドの"マスター”マテウス・マステルナク 相手に厳しい戦いを勝ち抜いた。マステルナクは2015年にトニー・ベリューに敗れて以来5連勝中だった。
ドルティコス
「KOドクターが戻ってきました。今年こそアリトロフィーを持ち帰る」11月11日にはシカゴでダブルヘッダーが行われた。
シーズン1で優勝のオレクサンドル・ウシクを追い詰めたマイリス・ブリエディスはドイツの難解なミカエランに対し、厳しい戦いを強いられたものの判定で突破した。
ブリエディス
「ありがとうシカゴ、ラトビアのファンに感謝します。」もう一試合では、ポーランドの元世界王者、クシシュトフ・グロワッキがロシアのマキシム・ヴィラソフをパワーで押し切った。
グロワッキ
「本当にタフな相手だったが、辛抱強く戦った。」勝ち残った4人の準決勝は爆発的な戦いと不確実さをもって新たな道を切り開く。
セミファイナルの日時と場所は間もなく発表されます。セミファイナル
マイリス・ブリエディスVSクシシュトフ・グロワッキ
ユニオール・ドルティコスVSアンドリュー・タビティ
ウィナーテイクオール
WBSSシーズン1で優勝したウシクが名声もお金も全て持ち去ってしまったであろうクルーザー級。振り返ると、ブリエディスの健闘も光ったし、ウシクVSドルティコスがあればどうなったかも興味深いが、ウシクが全てを持ち帰った。五輪金から4団体統一、形だけならロマチェンコの目指す高みまで上りつめ、その後DAZNと契約、P4Pリストにも入る階級の顔になった。
これまで不人気であったクルーザー級に光を照らしたWBSSの功績は大きい。不人気ながらこの階級は、欧州トップアマの解禁、超巨人の世界と化したヘビー級の避難所として実力者の宝庫となっていた下地があった。
しかしWBSSを終え、シーズン2は魅力が半減ばかりか地に落ちた。どんなエキサイティングな試合を経て優勝しても、上には4つのベルトを統一したウシクがおり、その他ランカーは2度目の出場であったり突き抜けない無名選手ばかり。
WBSS存続の危機、不良債権があるとしたら間違いなくこのクルーザー級であろう。エキサイティングなノックアウトが期待できる階級として再び開催されたものの、試合は全て地味な判定続きとなった。
それだけ、このトーナメントに賭けるファイターの準備、覚悟がすさまじく、実力伯仲なのが理由だが、故に派手なノックアウトが生まれにくいという事実を示したともいえる。これはWBSSの背負う宿命、課題だろう。
普段日陰で人気も上がらず、不遇なクルーザー級選手にとっては人生をかけた勝負だけに、開催したからには無事に決着まで見届けよう。
そして、試合で魅せる、新たなヒーローの誕生に期待しよう。
シーズン1のブリエディス、ドルティコスがかなり有望だけどもね。