意外にもウンベルト”チキータ”ゴンザレスがキーマンでした。賭けれるならダークホースの彼らを買う、そんなアジアVS世界な組み合わせです。
週末はルーカス・マティセとホルヘ・リナレスをフューチャーした試合が予定されています。このダブルヘッダーが2018年HBO最初のテレビ放映です。今回は主役の彼らではなくダークホースの挑戦者にスポットを当ててみましょう。
ウェルター級のタイ人、テワ・キラム、ライト級のフィリピン人、メルシート・ゲスタ、同じ会場で歴史が繰り返されるならば、アジアからやってきた2人にとっては好都合かもしれません。
キラム
「サマン・ソーチャトロンがチキータ・ゴンザレスをノックアウトした場所に来ているのはうれしいです。」この試合の時、キラムはわずか3歳でしたが、この歴史的事実を知っていました。
キラムはWBA1位として辛抱強くこの日を待っていました。8年間も待っていたといいます。15歳でプロになる前からキラムには格闘技の経験があり、ボクシングは彼がたどり着いた挑戦でした。
キラム
「ムエタイで王者になった後、これ以上証明する事がなかったのでボクシングに転向しました。」キラムにはムエタイで約100試合の経験があります。仏教寺でボクシングのアマチュアキャリアに匹敵する修行をしました。6戦目で既に12回戦を戦っていたキラムにとって、そこからこの試合までは長い待機といえました。
キラム
「マティセは強い。打ち合いにくることをしっています。決して侮ったりしていません。私は卵から鶏の数を数えたりしません。リング上で私に何ができるのか披露します。」タイは軽量級が多く、ウェルター級で世界王者は過去一人もいません。
キラム
「スパーリングパートナーを見つけることも難しいので、お金を払って他国からタイに来てもらわねばなりません。」キラムはマティセに比べ大きく、リーチも長い。彼の強く突き出た頬骨はボクシングのために生まれてきたような狂暴な印象を与えるが、リングを下りれば温和な仏教徒です。
フィリピン人トレーナーのJJホルダとの練習でキラムは型破りなミット打ちをしていました。右だけの強打者という印象を与えるものでしたが、彼は不器用なタイプではありません。
キラム
「アウトボクシングもインファイトもできます。万能に戦う事ができます。」22年前のサマン・ソーチャトロンのパフォーマンス、最近のシーサケット・ソールンビサイの成功、それらが、8-1のオッズで不利と出ているキラムに勇気とモチベーションを与えています。
偶然にも、メルシート・ゲスタにも、心強い歴史があり、チキータ・ゴンザレスが関係しています。同じくゲスタが3歳の時、フィリピンのローランド・パスクアが6ラウンドKOでゴンザレスに初の黒星をつけました。大きなアップセットでした。
ゲスタ
「アップセットは常にある。リングでは何が起きるかわかりません。」
25-1というオッズで不利となっているゲスタですが、皆がリナレスを支持している事を認めつつ、偉大なフィリピンの先輩ボクサーを引き合いに出しました。ゲスタ
「アンダードッグなのはわかっています。私は挑戦者です。全く気にしていません。もしリナレスが私を過小評価しているなら好都合です。パッキャオがバレラと戦った時、誰もが敗北を予想したでしょう。でもあれがパッキャオにとって全てのはじまりだったのです。」ゲスタはかつてリナレスがフレディ・ローチに指導されていた頃スパーリングパートナーを務めた事があります。ゲスタは今もローチの元でトレーニングしているので、戦略的にとても自信があるといいます。
ゲスタ
「知識、技術、リナレスへの対処法など頼りになります。私はローチのゲームプランに従い、リナレスに対処するだけです。ローチの教えは大いなる助けになるでしょう。」ゲスタはフレディ・ローチだけでなく、コンディショニングコーチにジャスティン・フォーチュンも加えました。
ゲスタ
「トレーニングキャンプでこんなに準備、調整したのははじめてです。以前はせいぜい2か月程度でしたが、今はジャスティンが調整してくれます。この点で今までとは違います。スパーリングでは強さを実感しています。リナレスは、スピードとタイミングの選手です。パワーはさほど警戒すべきではないので、私は打ち返す事ができます。リナレスはチェスゲームのようにタイミングを見計らっていますが、私も慎重にスマートに戦い、そのタイミングを狙っています。」
キラムもゲスタも、ダークホースである事に変わりありません。
ですが、チキータ・ゴンザレスが示したように、そこには彼らが戦う理由が十分にあります。
8-1
25-1
そんなに結果を絶対視できるような試合ではないだろう。
ベテランで序盤の凶暴さ、左フックさえ凌げば幅のないマティセ
美しいが、ケガや耐久力で接戦、判定ばかりのリナレス
共に、危うい、隙のあるボクサーという印象だ。
華やかさ、ルックス、人気、知名度、アウェー
何もかも、全てで劣る、アジアのダークホースのアップセットを期待しない訳がない。
キラムは特に、ボクシングモンスターな風貌なので、ここで目立って欲しいよね。
アジアではパワーや体力が別次元に感じるキラム、どこか内山高志のそれを彷彿させるものがあるので、彼がなしえなかった世界でどこまで通用するのか、確かめたいです。