冷静と情熱が交差する/リチャード・コミーVSイサ・チャニエフ

上位ランカー同士による王座決定戦。当たり前のこのルールが適用されるのも堅実な方のIBF故か。アフリカはガーナの燃える情熱か、極寒ロシアの寡黙なる冷静か

この試合は幕が開けるまで全く読めません。
そして勝者は完全無欠のロマチェンコへと向かいます。

同じくアルバレスVSコバレフ2のアンダーでは、ライト級コンテンダーのリチャード・コミーVSイサ・チャニエフが空位のIBFライト級王座を争います。

ロバート・イースターJrにスプリットで敗れ、デニス・シャフィコフにも敗れた元王者候補の31歳のコミーですが、それから3連勝して再びのチャンスを掴みました。

コミー
「世界王座に2度も挑戦できるのは大きなチャンスです。
チャニエフはいいボクサーです。相手の弱点を狙いたいのであまり言いたくないですが、いいボクサーであることは間違いない。Aゲームでこの試合に臨むけど、自分と同じく苦労してこのチャンスを掴んだチャニエフを尊敬しています。でも勝つのは私です。2月2日に王者になる。言葉では言い表せられません。」

26歳のチャニエフは5年前にプロ転向し、初の世界挑戦です。モスクワから1700キロ離れたナズラン出身です。敗北も経験していますが(13勝6KO1敗)昨年5月にパンチャーのイスマエル・バローゾへの勝利を含む3連続勝利中です。

コミーは以前の挫折、失望から立ち直る必要がありました。

コミー
「2つの敗北ともに、私は勝利したとおもっている。無敗なのだと自分もチームも信じています。」

気持ちの切り替えが必要だったコミーはアメリカに移住し、新たにアンドレ・ロジールと組みました。今回のタイトルマッチでは進化したコミーがみられるはずです。

マイケル・ベデアコ(マネージャー)
「コミーはずっと避けられ続けてきて、トップコンテンダーとして団体の指令を待つしかタイトルマッチのチャンスがありませんでした。ずっと英連邦王者としてイギリスを拠点としてきたけれど、大物は誰も相手にしてくれず、ベルトを返上しなければならなかった。IBFインターコンチネンタルのベルトも同じです。だから今回のチャンスは我々チームにとって非常に大きな意味があるのです。チームの努力、ルー・ディベラ、そして何よりコミー自身の努力によってやっと実現するのです。」

コミーが勝てばガーナ人として9人目の世界王者になります。

コミー
「ガーナの世界王者の多くは私の地元ブコム(首都アクラ近郊の海岸沿いの街)から誕生した。私はガーナの親善大使です。世界王者になってそのリストに加わることが多くのガーナ人ボクサーの夢と希望、礎になるのです。」

マイケル・ベデアコ(マネージャー)
「コミーが王者になったら、この階級の王者はロマチェンコ一人だけではなくなります。当然、この絶対王者との対戦交渉を開始したいとおもいます。ライト級は今活性化していますので、コミーが王者になったら(以前と違って)たくさんのオファーが来るでしょう。まずはチャニエフです。」

https://www.youtube.com/watch?v=Tb1gVr2tDvs

コミーに対する印象は、ガーナで収まりきれないほどの才能であり、チャンスを求めてイギリスで結果を出したはいいが、怖すぎて誰も対戦を受けてくれない。未完の大器のまま、決定戦で米国ホープのロバート・イースターと戦うも、キャリアと環境の違いでわずかに敵わず、その後も続く苦労の連続・・・

といったものです。

正しくキャリアを積み、段階を踏んでいけば、イースターに勝てただろう。接戦だった。相手がおらずいきなりレベルを上げて挑んだチャレンジマッチだったのだ。

時間をかけ、再び真っ当な権利を得ての王座決定戦です。近年、ランキングや権利を無視して組まれる世界戦が多い中で地道にして王道の遠回り。だからこそ、今度こそ王者になっていただきたい。

対戦相手のイサ・チャニエフ、彼にもストーリーはあるだろう。

1敗はヒョードル・パパゾフというロシア人に僅差のユナニマス。議論の残る結果だったようで、パパゾフにドーピングの疑いもあった試合だそうだ。WBCスーパーライト級シルバータイトルマッチとしてジョシュ・テイラー(英)と対戦する予定だったがテイラーがWBSS参戦のため流れている。

チャニエフ
「勝利のために過去最高のモチベーションです。勝利以外に満足できる結果はありません。2月2日、自分の持っているスキルを全て発揮して臨みます。勝利を断言はできないがショックを受ける人もいるだろう。コミーに対しては挑発も、侮蔑の言葉もありません。彼は強いファイターです。」

チャニエフが勝てば色々と情報も出てくるだろうが、今はなにもない。ミステリアスで寡黙なボクサーです。スイッチングサウスポーのボディパンチャー、アマ歴もあるでしょう。パワーはありそうですが、なかなか慎重で冒険しない手堅いファイトスタイルです。強打のイスマエル・バローゾに勝っているからコミーの強打にも耐えられそうです。

チームコミーの想い、執念、爆発力が上回りそうですが、静かなるロシアの闘志も不気味です。

どちらを応援するともなく観戦できそうです。
ロシア人ボクサーというのは器用にはみえないが、スイッチするのは当たり前ですね。
日本には中谷というコミーのように不遇な選手もいるライト級、皇帝ロマチェンコがいる階級、リナレスも戻ってくるそうです。そしてマイキーも戻ってくることになるかもしれません。

マニア必見の試合になりそうです。

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