東洋太平洋王座11度の防衛、長身無敗の中谷は日本人としては有望な選手だが、相手の格が違う、ボコボコにされてしまうのではないかというのがボクシングに詳しい者の見解だろう。せめて亀海や井上岳志のようにフィジカル、タフネスで対抗できればロペスをトラブルにさせる可能性もあるのだろうか・・・険しいエリミネーターですが、これぞ世界、素晴らしい組み合わせです。こういう時代を待っていた。
テオフィモ・ロペスが世界王者になる運命の瞬間まであと一撃、あと一勝だ。そんな彼に立ちはだかり計画を台無しにしようとしているのが日本の無敗プロスペクト中谷正義だ。
両者は7月19日の金曜日、メリーランド州オクソンヒルMGMナショナルハーバーでIBFライト級エリミネーターとして激突する。勝者は6月28日に行われる、リチャード・コミーVSレイ・ベルトランの勝者、王者の指名挑戦者となる。
同様に、この日は無敗同士のエリミネーターが行われる。マキシム”マッドマックス”ダダシェフはジョシュ・テイラーのもつIBFスーパーライト級王座への挑戦権をかけてプエルトリコのパンチャー、サブリエル・マティアスと対戦する。
彼らの戦績を足すと57勝47KO無敗となる。
その他の試合はエリック・デレオンVSジェイソン・ソーサが予定されている。
テオフィモ・ロペス
「前座とかではなく自分がメインの興行にエキサイトしている。中谷戦後、コミーかベルトランに勝って世界王者になる。けれどそれが全てではない。私の目標は世界的なスターになることだ。中谷に俺を止めることなどできない。超クールなノックアウトを追加するよ。この試合に向けて9週間のトレーニングキャンプをしている。ベストコンディションでいけるだろう。テイクオーバーは7月19日にMGMナショナルハーバーにやってくるぜ!」中谷
「この試合は世界王者になるためのただの通過点です。日本、世界中のボクシングファンが私のパフォーマンスを楽しむことになるでしょう。」ダダシェフ
「誰とどこで戦うかは問題ではない。目の前のこの試合を楽しみにしている。マティアスは危険なファイターだが、何をしてこようと望むところだ。アマチュア、プロで全てのスタイルと戦ってきた。私の経験が勝利を導く。」
選手の経歴などを省きました。
テオフィモ・ロペスVS中谷正義
中谷陣営の大いなるチャレンジは大歓迎だが、なぜいままで過保護だった井岡ジムがテオフィモ・ロペスにGoサインを出したのだろう。この男は王者のリチャード・コミーを軽く凌駕する逸材かもしれない。少なくともレイ・ベルトランよりは強いだろう。
テオフィモ・ロペスはさほど難解なスタイルではないが、スピード、反応、反射神経に優れほとんど被弾しない。そしてワンパンチフィニッシャーとしてのハードパンチぶりが傑出している。最近の強豪との試合で特にそれが顕著だ。それでも全KOというわけではないので、過去判定までいった試合などの映像があれば具体的に検証してみたいとおもう。
対する中谷の特徴は、とにかく長身から繰り出されるジャブや距離のコントロールだろうが、俊敏パワフルなロペスには分が悪い。稲妻のような攻撃にさらされた時にアンディ・ルイスがジョシュアにみせたような抵抗ができるか、カラム・スミスがハッサン・エンダムを狙いすましたカウンター一撃で仕留めたようなカウンターが打てるのかにかかっているだろうが、今は絶望的なイメージしか湧かない。一撃の威力もタイミングもロペスにある。
いきなり相手レベルを上げすぎ、相手が強すぎたという結果になるのか、東洋11度の防衛が確かなる糧となるのか・・・
自信過剰なテオフィモ・ロペスはKO狙いなので少し強引、雑かもしれない。それくらいしか希望がない。もし中谷が勝つようなアップセットが起きれば彼もトップランク入りだろう。
マキシム・ダダシェフVSサブリエル・マティアス
こちらも素晴らしいカードだ。個人的に垂涎のカード。
ダダシェフはロシアのトップアマで281勝の記録がある。アメリカでサクセスストーリーの王道であるエギス・クリマスに管理されトップランクにプロモートされるエリート。アントニオ・デマルコやダーレイ・ペレスなどの元世界王者を撃破しており、挑戦者にふさわしい位置にいる。前戦はリッキー・シスモンド(原田門戸)と対戦しダウンを奪われるも逆転KOに仕留めている。
まさに正しくエリート街道まっしぐらだが、個人的には相手のサブリエル・マティアスに期待している。
[st-card id=25442 ]ダダシェフに比べるとエリートキャリアは劣るが、ここまで全勝全KOの記録どおりにパワーと爆発力を秘めたプロスペクト。ベルデホやペドラサのような輝かしいアマチュアではない。多くのプエルトリカンにみられるようにエキサイティングだがどこか奥の深さがない、打ち合いで墓穴を掘るタイプかもしれないが、試合が楽しいのでこちらを応援しよう。